ANNA アナ
二重スパイの殺し屋
1990年、モスクワの露店でマトリョーシカ人形を売っていた女子大生のアナ(サッシャ・ルス)はパリのモデル事務所にスカウトされる。アナは事務所の経営者と付き合い始めるが、男の本業が武器商人と知るや暗殺する。彼女はソ連の諜報機関KGBの殺し屋だった。彼女は上司のオルガ(ヘレン・ミレン)から過酷なテストを受け合格し現場へ。だが、米CIAの罠にはまり、二重スパイとして生きることを強いられる。
「ニキータ」「レオン」などリュック・ベッソン監督十八番の女殺し屋もの。時系列が入り乱れる構成だが、テンポがよく戸惑うこともない。モデル出身のサッシャ・ルスが美しく、レストランで皿やフォークなどを駆使したマーシャルアーツも文句なし。他者を信じられず、誰をも心底愛することができない悲哀も巧みに表現している。娯楽映画の一級品だ。(2020年7月23日・小野)