なぜ君は総理大臣になれないのか

ある議員の理想と迷走

昭和の名監督、大島渚の次男・大島新によるドキュメンタリー。香川県出身で旧民主党から出馬した小川淳也衆院議員の17年間の軌跡を追っている。

2003年、32歳で官僚を辞して立候補する小川の表情は希望に満ち、ひたむきさを超えて愚直とさえ感じさせる。小川は2005年に初当選を果たす。しかし政権交代の2009年を境に、表情に陰りが見え始める。“党利党益”に貢献しないと党内の地位は向上しない。選挙区当選でなければ、発言権も弱い。野党再編と共に苦悩し、迷走していく。

議員として政治に思い描いた理想は現実にいくどとなく弾き返される。小川を評価する政治評論家や大島監督は「彼は政治家に向いていないのでは？」と思い始めた。それでも彼は、持ち前のひたむきさで2017年の選挙を戦っていく。小川はどのような戦いを見せたのか。（2020年7月30日・滝田）