東京裁判
4時間半 映像の迫力
第二次世界大戦で日本が降伏した後、連合国が日本の指導者などを裁いた極東国際軍事裁判。2年半の裁判の内容を記録した170時間のフィルムが1973年に解禁され、「人間の條件」の巨匠・小林正樹監督が記録映像も盛り込みながら、5年をかけて4時間半のドキュメンタリー映画に完成させた。83年に公開され、大きな話題となった映画が4Kデジタルリマスター版で映画館に帰ってくる。
記録映像のみが持ちうる迫力、巧みな編集によって、長さを全く感じさせない。事実は決してシンプルではなく、東京裁判の肯定・否定論者とも、自分が思い描くストーリーから外れるカウンター的な映像を見出すに違いない。戦後75年の節目の夏、この映画で東京裁判を追体験し、我々はなぜこのような世界に生きているのか、これからどこへ向かうのかについて考えてみたい。(2020年8月6日・後藤)