WAVES ウェイブス
多彩な楽曲で描く10代
「ミッドサマー」を手がけたA24スタジオの作品。
学校生活は順調で交際中の彼女もいるタイラーの10代は順風満帆に見えたが、左肩の故障を境に彼女の妊娠、たばこ、飲酒運転、ドラッグ…と転落の一途をたどっていく。思春期の青少年の心は不安定だ。この映画はそれを多彩な楽曲とビビッドな色彩で埋め尽くす。タイラーの不安は鮮やかで落ち着かない。
ある事件によって映画の中心はタイラーから妹のエミリーに替わる。後半は事件の失望から立ち直る様子を描くが、その事件の失望も前半とは違った形で映し出される。私たちも希望と失望の狭間はざまにある10代を送ってこなかっただろうか? 自分もかつてそうだったというある種の共感が呼び起こされる。監督は「イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツ。(2020年8月20日・滝田)