みをつくし料理帖
江戸の料理と人情味
江戸の料理屋「つる家」の女料理人の澪(みお)には二つの願いがあった。一つは料理人としての腕を上げ、大坂で修業中に焼失した「天満一兆庵」を再興すること。もう一つは、幼児の時に水害で離ればなれになった野江との再会だった。慣れない江戸での困難な生活の中、いろいろな人との出会いを重ねながら、澪は自分の夢をかなえることができるのだろうか。
原作は髙田郁(かおる)の同名時代小説。「汚れた英雄」や「天と地と」の角川春樹が最後の作品として監督した。澪役の松本穂香と野江役の奈緒の若い2人を、角川監督作品にゆかりのある若村麻由美や反町隆史などベテラン俳優たちが支えている。澪の成長を描きながら、人情味あふれる作品となった。澪の生き方や「つる家」の内部、数々の料理がどのように表現されているのか見るのも楽しい作品である。(2020年10月22日・金川義守)