82年生まれ、キム・ジヨン
韓国女性の生きづらさ
韓国で社会現象を巻き起こしたチョ・ナムジュの同名小説の映画化。
神経科医のもとへデヒョン(コン・ユ)が訪れる。相談は妻のジヨン(チョン・ユミ)のことだった。彼女は最近、他人が乗り移ったような奇行に走るのだ。結婚と出産を機に会社をやめ、育児と家事に追われるジヨンは疲れから心が壊れてしまったのか。
タイトルの人名は韓国の1982年生まれの女性で最も多い名前だという。一女性の歩みを、幼少期からの回想を挿入し、思春期時代、男子生徒の付きまとい被害や会社での男性社員との人間関係、夫の親との関係などを通して女性の生きづらさを描き出す。
夫デヒョンの目線を取り入れ、女性の苦難は男性の問題でもあることを痛感させる。終幕は原作と違い、未来への希望があって心に残る。幅広く共感を呼びそうな一作だ。監督はキム・ドヨン。(2020年11月12日・小野)