泣く子はいねぇが

秋田県男鹿地方の伝統行事なまはげを泥酔してぶち壊したたすくは妻子を捨てて上京した。2年後、たすくは成長した子どもに会い、父親として秋田で人生をやり直していく。

作中にたびたび訪れる不自然な「間」が、この作品の根幹にあるようだ。それはたすくのだらしなさであり、また妻だったことねが水商売で必死に食いつなぐ中の葛藤であり、周囲からの非難にもなる。この間は意味を変えて私たちに迫ってくる。その間を、そしてたすくが最後に下した選択を私たちは最後まで見届けたい。

たすくを演じる仲野太賀は今年だけでも数々の作品に出演する人気俳優。その妻ことねの吉岡里帆はCM「どんぎつね」で見ない日はない。地元秋田県在住の柳葉敏郎にも注目だ。監督の佐藤快磨は秋田出身で「万引き家族」の是枝裕和の支持を受ける注目株。（2020年12月24日・滝田）