1917 命をかけた伝令
戦場の迫力と緊迫感
第1次世界大戦中、1917年のある日、英国軍兵士のウィリアム(ジョージ・マッケイ)とトム(ディーン・チャールズ・チャップマン)に重要任務が課せられる。それは前線にいる1600人の友軍の指揮官に、ドイツ軍の策略を逃れるため作戦中止の命令を届けることだった。2人は戦場を駆け、無事に命令を伝えることができるのか。「アメリカン・ビューティー」で米アカデミー賞受賞のサム・メンデス監督が全編ワンカット映像で描く話題作。正しくは巧みな編集で「ワンカットのように見える」作品だが、価値をいささかも減じない。
敵陣での爆発や廃屋に戦闘機が墜落する場面の迫力。至る所に仕掛けられた敵のわなの中を進む緊迫感は途切れない。死が隣り合わせの戦争の残酷さ、命の尊さをリアルに伝える。21世紀でこそなし得た戦争映画の逸品だ。(2020年03月05日・小野)