HOKUSAI
田中泯の鬼気迫る演技
江戸時代、貧乏絵師の勝川春朗(後の葛飾北斎)は粗悪な素行で師匠に破門されたが、版元の蔦屋重三郎に才能を認められる。しかし、歌麿や写楽らライバルたちに先を越され、北斎はなかなか認めてもらえず、苦しんでいた。北斎は本当に描きたいものを見つけるべく放浪の旅に出る。
日本が世界に誇る天才絵師、葛飾北斎が90歳で亡くなるまで“画狂人生”をまい進する姿を描く。北斎の青年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じ、玉木宏、瀧本美織、永山瑛太、阿部寛らが脇を固める。監督は「劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班」「探偵はBARにいる」の橋本一、脚本は「余命」の河原れん。
江戸時代の浮世絵事情がうまく描かれており、お上に逆らいながら浮世絵を続ける庶民のしたたかさは現代に通じるものがある。田中泯の鬼気迫る演技には圧倒される。(2021年6月3日・酒井)