キネマの神様
映画を愛した男の生涯
原作は原田マハの同名小説。監督の山田洋次と朝原雄三が脚本を手掛けた。
ゴウ(沢田研二)は無類のギャンブル好き。借金などで妻や娘、孫に迷惑をかけながらも気ままに生活している。若い頃には映画の撮影所で働き、監督を目指していたこともあった。だが当時のゴウ(菅田将暉)は監督に初挑戦した作品「キネマの神様」で失敗し、青春のすべてをかけた映画界から去った。
それから半世紀後の現在、「キネマの神様」の脚本を孫が読んだことから、ゴウや周りに変化が起きてくる。
映画を愛する主人公と周りの人々を描きながら、昔の撮影所や監督・俳優のエピソードを交え、山田監督が手堅く仕上げた。昨年亡くなった志村けんさんの役を引き継いだ主演の沢田と、菅田ら他の出演者の演技が素晴らしい。(2021年8月12日・金川)