BLUE ブルー
負け続きのボクサー
ボクシング映画に駄作なしという言葉がある。この作品にもこの言葉は当てはまるようだ。瓜田信人は誰よりもボクシングを愛し、ジムで黙々とトレーニングしているが、試合では負け続きで、いつも青コーナーが定位置のチャレンジャーだった。彼の後輩で才能に恵まれた小川一樹は日本チャンピオン目前で、しかも瓜田がひそかに好意を寄せる天野千佳と交際していた。しかし彼は脳の病気が発覚し、引退を迫られる。ある日、ボクシングをして女性にモテたいという軽薄な青年・楢崎剛がジムに通い始める。
ボクシングを心から愛している吉田恵輔監督(「ヒメアノ~ル」「犬猿」)の力作。人一倍ボクシングに情熱を注ぎながらもなかなか報われないボクサーを松山ケンイチが演じ、脇を東出昌大、柄本時生、木村文乃が固めている。3人のボクサーのそれぞれの生き方を監督は温かい視線で描いている。(2021年8月19日・酒井)