いとみち
「生」の活力与える快作
青森県弘前市の女子高生・相馬いと(駒井蓮)は強い津軽弁なまりで人見知りなのに「じょっぱり(意地っ張り)」。ある日、青森市のメイド喫茶の時給の高さを知り、アルバイトを始める。父親の耕一(豊川悦司)が気をもむ矢先、店のオーナーが逮捕され、閉店の危機に追い込まれる。いとは店を存続させる集客のため得意な津軽三味線でのライブを決意する。
越谷オサムの同名小説を青森出身で「俳優 亀岡拓次」の横浜聡子監督が映画化。津軽弁の大半は分からないが、字幕はないのが面白い。地元に根を生やしたような主人公が土着性をプラスに変えて成長していくのが良く、青森出身の駒井蓮が好演。店での演奏の朝、自宅からメイド服で出勤する姿に胸がすく。ライブの最中、恥ずかしがっていた大股開きになるのにも喝采。閉塞感ある今の私たちに「生」の活力を与えてくれる快作だ。(2021年9月16日・小野)