かそけきサンカヨウ
父の再婚に戸惑う娘
女子高生の国木田陽は父の直と2人で暮らしている。ある日、父から再婚することを告げられる。平穏な日常は一変し、新しい母・美子とその子供で4歳のひなたとの新たな暮らしが始まる。そんな家庭環境への戸惑いを幼なじみで同じ美術部の清原陸に明かす。幼いころに家を出て画家である母の佐千代の個展に陸を誘う。
「ふがいない僕は空を見た」などで知られる窪美澄の同名短編を「愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉監督が映画化。「愛がなんだ」で今泉監督と組んだ澤井香織が共同で脚本を担当した。主演はこれが3度目の今泉作品となる志田彩良、共演に井浦新、鈴鹿央士、菊池亜希子、石田ひかり。父親の再婚に戸惑う女子高生が悩みながら成長していく姿を繊細に描いている。サンカヨウのように、透明感のある思春期の女の子をうまく表現し、見ていていい気持ちになる作品だ。(2021年11月25日・酒井)