モスラ
圧倒的な色彩と音楽
モスラ(MOTHRA)は、マザー(MOTHER=母)のアナグラムであり、守護神となって守る島はインファント(幼児)島である。卵からかえった巨大な幼虫が誘拐された30センチの双子の美女を助けるために海を渡る姿は母親を慕う幼児のようであり、東京タワーに繭を作り羽化して成虫となり空を飛ぶ姿は子供を取り戻そうとする母親のようだ。
また、モスラは怪獣映画とミュージカルの見事な合体だ。ザ・ピーナッツが歌う神秘的な歌、古関裕而作曲の幽玄のメロディー、南海の孤島の原住民の踊りと東京の劇場のレビューが共鳴し合い熱狂の絶頂で卵がボカンと割れ、モスラが出てきてピーと鳴く。圧倒的な色彩と音楽に包まれ、めまいがするほどの興奮を覚える。1961年公開なのでモスラも今年で還暦。4Kデジタルリマスター版で鮮やかによみがえった60年前の奇跡をぜひ劇場で体験していただきたい。(2021年12月9日・後藤)