花束みたいな恋をした
5年間の甘く切ない関係
終電を逃した大学生の山音麦と八谷絹は好きな音楽や本がことごとく同じで、たちまち恋に落ちる。一緒に暮らし始め、楽しい日々を送り、就職活動にも励むが…。
すうっと、体の中に入ってきて五感を気持ちよく刺激し、その温かさを保ちながら少しほろ苦さも残る。そんなラブストーリーである。「映画 ビリギャル」などの土井裕泰が監督し、「ナラタージュ」の有村架純と「あゝ、荒野」の菅田将暉が主演している。恋に落ちた若い男女の5年間の甘く切ない関係を繊細に描いている。「東京ラブストーリー」の坂元裕二が手がけた脚本には巧妙に伏線が張り巡らされている。多くの恋愛映画は主人公に悲しい過去や重い病気の設定があるが、この作品では特別なことが何もなく、淡々と2人の日常を綴る。しかし、その日常がいかにいとおしい日々であるかを映画は語りかけてくる。(2021年2月11日・酒井 )