あのこは貴族
女性が抱える息苦しさ
榛原華子は東京生まれの箱入り娘で結婚こそが幸せという価値観を抱いていた。これまで何不自由なく育ってきたが、20代後半になり、結婚を意識していた恋人に振られてしまう。名門女子高時代の同級生たちの結婚や出産を知って焦る彼女は相手探しに奔走、良家出身で容姿端麗な弁護士・青木との結婚が決まる。一方、時岡美紀(水原希子)は富山から上京して慶應大学に進んだが、父親の失業で学費が続かず、中退してしまう。
山内マリコの小説の映画化で、監督は「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。主演は「さよならくちびる」などの門脇麦と「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」などの水原希子が演じる。住む環境の異なる2人の女性の人生をうまく交錯させ、それぞれに息苦しさを抱える2人を女性監督ならではの鋭い感性で描いている。(2021年3月4日・酒井)