やがて海へと届く
帰らぬ親友の別の姿
引っ込み思案の真奈は、誰とでもすぐに打ち解ける自由奔放なすみれと大学で知り合い、親友となる。すみれは一人旅に出たまま行方知れずになる。5年が過ぎても、真奈はすみれの不在を受け入れられない。周囲が彼女のいない日常を受け入れていることが許せず、反発してしまう。そんな時、真奈はすみれと付き合っていた遠野から、すみれが大事にしていたビデオカメラを渡され、そこに残されていた彼女の別の姿を知る。
彩瀬まるの同名小説の映画化。監督と脚本は「わたしは光をにぎっている」の中川龍太郎監督。「愛がなんだ」の岸井ゆきのと「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波が主演し、杉野遥亮、光石研らが共演している。思い出の中でもがく主人公を、東日本大震災の被害者のインタビューやアニメーションを織り交ぜながら繊細に描き出している。情緒豊かな作品である。(2022年4月14日・酒井)