大河への道

伊能忠敬の遺志次ぐ弟子たち

千葉県香取市の市役所職員・池本（中井貴一）は、まちおこしのため初めて日本地図を作った郷土の偉人・伊能忠敬を主人公にした大河ドラマ制作を提案し、採用される。だが、企画を進めるうち、伊能忠敬は地図完成の3年前に死去していた事実が判明する。1818年の江戸で忠敬の弟子たちは地図をどう完成したのか。池本たちは大河ドラマ化を実現することができるのか。

立川志の輔の新作落語「大河への道　伊能忠敬物語」の映画化。中井貴一のほか松山ケンイチ、北川景子らが現代と江戸の人物を一人二役で演じる。企画に名を連ねる中井は時代劇を残したい気持ちが強く、映画作りに動いたようだが、命がけで師の遺志を継ぎ地図を完成させた弟子たちと通じるところがある。監督は「花のあと」の中西健二。大事な誰かの思いを受け継ぐ大切さを描き出した好編だ。（2022年6月9日・小野）