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シネマ1987online

エルヴィス

自分を貫く姿に胸熱く

「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれるエルヴィス・プレスリーの生涯を映画化。「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督作である。

エルヴィス(オースティン・バトラー)の生きざまを強欲なマネージャー、トム・パーカー大佐(トム・ハンクス)の視点から描くのが一筋縄ではいかないラーマン監督ならでは。幼いころ黒人居住区の近くに住み、教会音楽に親しんでいたこと、黒人文化を取り入れたパフォーマンスが非難を浴び、人種問題と人生の歩みが歩調を合わせていたことを見事に描き出す。

時代の反逆児のように言われスターとなったプレスリーが、後年、テレビのクリスマス特別番組に出てゴスペル調の「明日への願い」を歌うシーンは感動的だ。時流に流されず自分を貫いてきた姿に胸が熱くなる。見たあとプレスリーの名曲の数々を聴き直したくなる。(2022年7月14日・小野)

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