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シネマ1987online

サバカン SABAKAN

少年たちの冒険と友情

「鯖の缶詰を見ると、思い出す少年がいる」という小説家・久田(草彅剛)の回想から始まる。1986年、長崎の田舎でけんかは多いが愛情深い家族と暮らす小学5年生の久田(番家一路)は、家が貧しく級友から仲間外れにされている竹本(原田琥之佑)と、イルカを見るためブーメラン島へ冒険に出る。日帰りの旅で2人の友情が芽生えるが、やがて悲しい事件が起こる。

人気テレビドラマ「半沢直樹」の脚本家・金沢知樹の初監督作品で、自伝的要素の多い脚本も手がけている。

あばら家を見せたくない竹本が級友をまこうとするが、失敗して笑われてしまう場面がある。久田が竹本に、なぜ自分を冒険に誘ったのか聞くと、「家、笑わなかったけん」というところがいい。久田が両親に愛と正義を知らず教えられていたのが分かる。長崎ロケも効果を上げ、友情を描いた佳品となった。(2022年8月25日・小野)

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