アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台
予想外のラストに感心
サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」は何者であるのかわからないゴドーを待ち続ける2人の浮浪者を中心に、登場人物わずか5人で演じられる不条理劇。売れない役者のエチエンヌはワークショップの講師として刑務所を訪れ、囚人たちが演じる「ゴドー」を上演することを思いつく。関係者を説得し、一筋縄ではいかない囚人たちの納得と共感を得ながら、芝居の稽古を進め、非常にリアルな「ゴドー」が形作られていく。この劇は大変な評判を呼び、1回限りの上演だったはずがいろいろな劇場からお呼びがかかり、フランス演劇界の最高峰、パリ・オデオン座から招待を受けるに至る。
ラストは予想外で、アメリカや日本の映画のような成功を積み重ねていくカタルシスとは違う、さすがはフランス映画のテイストだと感心する。1980年代のスウェーデンの実話をベースにしている。(2022年9月15日・後藤)