パーフェクト・ノーマル・ファミリー

女性として生きる父親

デンマーク郊外で暮らす11歳の少女エマは地元のサッカークラブで活躍し、充実した日々を送っていた。しかし父親のトマスが女性として生きることを決め、両親は離婚する。姉はそんな父の決断を尊重するが、エマは戸惑いを隠せない。ホルモン治療で女性らしくなっていく父を受け入れられないエマだったが。

これが長編デビューとなるマルー・ライマン監督が自らの体験を基に映画化した作品。主演はカヤ・トフト・ローホルト、「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」などのミケル・ボー・フルスゴーが父親を演じている。トランスジェンダーを描いた映画はいくつか作られているが、その家族を描いた作品は例がなく今回が初めてだろう。大好きだった父親が突然トランスジェンダーであることを告白し、女性になってしまった現実を受け入れられない少女の葛藤と成長を見事に描いた意欲作である。（2022年2月3日・酒井）