ラーゲリより愛を込めて
諦めずに生きる大切さ
二宮和也主演で、辺見じゅんのノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を映画化した話題作。「糸」の瀬々敬久監督がメガホンを取っている。
第二次大戦の終戦間近、満州にいた日本軍の山本幡男(二宮和也)は妻と4人の子どもと生き別れ、シベリアの収容所に抑留される。零下40度にもなる過酷な状況下、日本人捕虜たちはわずかな食べ物で強制労働させられ、死と隣り合わせの日々を送る。山本は家族との再会の約束を胸にロシア語通訳を担うとともに、仲間を励まし続ける。
山本が「愛しのクレメンタイン」を英語の歌詞で歌うところがいい。収容所では日本軍の上官が威張り、ソビエトの軍人の前では意味をなさない。二宮や松坂桃李らが好演し、戦争の愚かさ、非道さ、諦めずに生きていく大切さを教えてくれる好編だ。(2022年12月15日・小野)