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シネマ1987online

空の大怪獣ラドン

怪獣映画の教科書

物語は九州の炭鉱から始まる。坑内で起きた連続殺人の犯人は人の3~4倍もあるヤゴだった。ヤゴを倒すため坑道の奥に進んだ主人公は何匹ものヤゴをついばむ、卵からふ化したばかりの巨大な怪鳥の雛を目撃する。雛はやがて何倍もの体長の成鳥へと育つ。もう一羽の仲間とともに戦闘機を上回る超音速で飛び、世界中の空を荒らし回る。福岡の街に飛来したラドンは圧倒的な力で街を破壊する。

力を持ちすぎた熊襲(くまそ)の王が滅ぼされてしまう神話のような物語である。ミサイルを撃ち込まれ、噴火を誘発された阿蘇山が2羽のラドンをのみ込むラストの神々しいほどの哀切さに涙がこぼれる。監督本多猪四郎、特技監督円谷英二の黄金コンビによる初のカラー怪獣映画であり、怪獣映画の教科書のような作品。初公開から66年を経て4Kデジタルリマスター版として鮮やかによみがえった。(2022年12月22日・後藤)

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