生きる LIVING
黒澤監督の名作リメイク
1953年のイギリス・ロンドンで役所の市民課に勤めるウィリアムズは毎日同じことの繰り返しに虚しさを感じていた。ある日、医師からがんで余命半年であることを告げられる。最期が近いことを知った彼はこれまでの味気ない人生を見つめ直し、人生の意味を問い直す。そして地域の母親たちからのある陳情と真剣に向き合おうとする。
黒澤明監督の不朽の名作「生きる」をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクした。監督はオリヴァー・ハーマナス。「パレードへようこそ」のビル・ナイが主演を務め、「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」のエイミー・ルー・ウッドが共演している。展開は前作にほぼ忠実で黒澤作品への敬意が垣間見える。特徴を言えば、前作の泥臭さが消えてよりシャープな作品に仕上がっている点だろう。人生を考え直す機会を与えてくれる作品だ。(2022年4月20日・酒井)