すべてうまくいきますように
親の尊厳死巡る問題作
脳梗塞で病院に担ぎ込まれた80代の父親は全身に麻痺が残り、ほとんど動けない身体になった。小説家の50代の娘は懸命に病院で父親の身の回りの世話をするが、父親は尊厳死したいので手伝うよう娘に頼む。人生を好きなように生きてきた父親は現在の自分の状態に我慢ができないのだ。心優しい娘は何とか翻意させようと努力するが、父親の気持ちは変わらない。仕方なくフランスでは禁じられている尊厳死の、スイスでの実施を検討する。
娘役はソフィー・マルソー。アイドル時代から一緒に年齢を重ねてきた世代には同じような境遇の人も多いと思われ、共感力が半端ではない。外国の裕福な家族の話で宗教なども違うため、そのまま日本に当てはまるわけではないが、誰もが向かい合う親の死という問題をどう考えるかの示唆に富み、見る人にさまざまなことを思い起こさせる。(2022年2月23日・後藤)