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シネマ1987online

アンダーワールド

「アンダーワールド」パンフレット

吸血鬼(ヴァンパイア)と狼男(ライカン)一族の数世紀に渡る戦いを描くホラーアクション。アイデアからしてB級で、内容も「ブレイド」を思わせるようなものである。主役のヴァンパイアを演じるケイト・ベッキンセールだけは黒いロングコートにタイトなボディスーツがよく似合い、魅力的に撮られている(このファッションとか動きは、日本のアニメを参考にしたのではないか)。監督のレン・ワイズマンはMTV出身でこれが長編デビュー作。画面構成などにはセンスを感じるが、話にあまりオリジナリティがないし、狼男の変身シーンも水準的なレベルで、「ハウリング」のころからあまり進歩していない感じがある。2時間1分もかけて語るべきほどのものではなく、平凡な出来に終わっている。

ヴァンパイアのセリーン(ケイト・ベッキンセール)は処刑人として狼男一族を追っている。戦いがなぜ始まったのかはもはや明らかではないが、長年の戦いでライカンはもはや絶滅寸前と言われている。ある夜の戦いでセリーンはライカンたちがある男を探していることを知る。その男、マイケル・コーヴィン(スコット・スピードマン)は普通の人間だった。セリーンはマイケルのアパートを突き止めるが、狼男たちが襲撃。マイケルは、死んだと思われていたリーダーのルシアン(マイケル・シーン)に噛みつかれてしまう。このままでは2日後の満月の夜に、マイケルは狼男に変身してしまうことになる。一方、ヴァンパイア一族の中にもリーダー、クレイヴン(シェーン・ブローリー)の不穏な動きがあった。

戦いで銃を使うのはやはり「ブレイド」を参考にしたのかもしれない。スタイリッシュなアクション自体は悪くないが、途中で飽きてくる。話が大きく動くのはクライマックスからで、ヴァンパイアと狼男の血を巡る出自が明らかにされ、いかにも続編ができそうなラストを迎えることになる。その通り、続編の製作が決まっているとのこと。しかし、もう少し話を深くして、VFXを炸裂させないと、続編は難しいように思う。

狼男のことをライカンと呼ぶのは初めて知った。パンフレットで仁賀克雄が「ライカンはドラキュラに匹敵するだけの傑作を生んでいないのは残念である」と書いている。原作ということで言えば、確かにそうだが、狼男ものでは平井和正のウルフガイシリーズがある。

【データ】2003年 アメリカ 2時間1分 配給:ギャガ=ヒューマックス共同配給
監督:レン・ワイズマン 製作:トム・ローゼンバーグ ゲイリー・ルケシ リチャード・S・ライト 製作総指揮:スキップ・ウィリアムソン ヘンリー・ウィンタースターン テリー・A・マッカイ ジェームズ・マッカイド ロバート・ベルナッチ 原作:ケヴィン・グレヴィオー 脚本:ダニー・マクブライド 撮影:トニー・ピアース=ロバーツ 美術:ブルトン・ジョーンズ 衣装デザイン:ウェンディ・パートリッジ クリーチャー・デザイン:パトリック・タトポロス
出演:ケイト・ベッキンセール スコット・スピードマン マイケル・シーン シェーン・フローリー アーウィン・レダー ビル・ナイ ソフィア・マイルズ ロビー・ジー ケヴィン・グレヴィオー

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