ソウル
韓国を舞台に日本の刑事(長瀬智也)と韓国の刑事(チェ・ミンス)が、頻発する現金輸送車強奪事件とアジア首脳会議開催阻止を予告するテロリストグループを追うアクション映画。ミンスに殴られ続けて「またグーかよー」と愚痴をこぼすTOKIOの長瀬は意外な好演。韓国の大スター、チェ・ミンスはやや類型的な役柄ながら貫禄の演技を見せる。加えて通訳役のキム・ジヨンも清潔感があっていい。軽い長瀬と重いミンスという好対照の2人は刑事ものでよくある組み合わせである。問題は脚本で、あまりにも「ホワイトアウト」の脚本にも参加していた長谷川康夫は引き出しの少ない脚本家なのだな。この脚本のせいで長澤雅彦(「ココニイルコト」に続く2作目)の演出にも大味な部分を感じてしまう。スタッフは日本と韓国から参加しており、合作映画の趣。日本人俳優も長瀬智也しか出ていないが、予算のほとんどは多分日本側の出資ではないか。ビリングのトップに長瀬が来るのを見てもそんな感じ。「日韓国民交流年記念映画」との字幕はちょっと恥ずかしい。
韓国を舞台に日本の刑事(長瀬智也)と韓国の刑事(チェ・ミンス)が、頻発する現金輸送車強奪事件とアジア首脳会議開催阻止を予告するテロリストグループを追うアクション映画。ミンスに殴られ続けて「またグーかよー」と愚痴をこぼすTOKIOの長瀬は意外な好演。韓国の大スター、チェ・ミンスはやや類型的な役柄ながら貫禄の演技を見せる。加えて通訳役のキム・ジヨンも清潔感があっていい。軽い長瀬と重いミンスという好対照の2人は刑事ものでよくある組み合わせである。問題は脚本で、あまりにも「ホワイトアウト」の脚本にも参加していた長谷川康夫は引き出しの少ない脚本家なのだな。この脚本のせいで長澤雅彦(「ココニイルコト」に続く2作目)の演出にも大味な部分を感じてしまう。スタッフは日本と韓国から参加しており、合作映画の趣。日本人俳優も長瀬智也しか出ていないが、予算のほとんどは多分日本側の出資ではないか。ビリングのトップに長瀬が来るのを見てもそんな感じ。「日韓国民交流年記念映画」との字幕はちょっと恥ずかしい。
逃亡犯を韓国まで護送してきた警視庁の刑事早瀬祐太郎(長瀬智也)が現金輸送車強奪事件に巻き込まれる。祐太郎は犯人を追い詰めるが、格闘の末、誤って1人を射殺、もう一人は取り逃がしてしまう。ソウルでは最近、現金輸送車の強奪事件が頻発していた。犯人の唯一の目撃者である祐太郎には72時間の滞在許可が出され、ソウル市警の捜査に協力することになる。市警の刑事部長キム・ユンチョル(チェ・ミンス)はどこか影のある気難しい男。祐太郎に容疑者の顔写真3万枚の中から犯人を探すよう命じ、捜査に口を挟んでくるのを嫌う。一方、市警のコンピューターには最近、「民族の夜明け」というテロリストグループが頻繁にクラッキングを繰り返していた。グループは間近に迫ったアジア首脳会議の開催を予告。訪韓した日本の外相を誘拐し、巨額の身代金を要求してくる。祐太郎は通訳のユン・キョンヒ(キム・ジヨン)とともに勝手に捜査に加わり、錯綜した事件の謎を追う。
対立する2人が言葉の壁を越えて次第に心を通わせてくる展開はよくあるし、もう少しきめ細かな描写がほしいところではあるのだが、長瀬とミンスの組み合わせはなかなかいいと思う。長瀬の軽くて熱血漢のキャラクターには好感度が高く、主演を張ってもおかしくない。長澤監督はパンフレットで「長瀬クンというのはまっすぐで、礼儀正しくて、それでいて特定の色に染まっていないという魅力があるんです。そんなことあえて言うなよと言われそうだけど、言いたくなってしまうぐらいなんです」と誉めている。ただし、どこかテレビのバラエティ番組のような演技が残るのは今後の課題。韓国側スタッフは「シュリ」に参加したメンバーという。アクション場面は充実していて確かにそれを感じさせるが、南北分断の悲劇を根底に置いた「シュリ」ほどの出来にならなかったのは、韓国と日本との関係を深いところでとらえる視点が脚本に足りなかったからだろう。
【データ】2002年 1時間49分 配給:東宝
監督:長澤雅彦 製作:亀山千広 島谷能成 気賀純夫 藤島ジュリーK 脚本:長谷川康夫 撮影:山本英夫 音楽:住友紀人 美術:ジョン・ソンウォン アクション監督:ジョン・ドゥホン 衣装:パク・サンフン
出演:長瀬智也 チェ・ミンス キム・ジヨン イ・チャンヨン チェ・ソンミン チェ・ソン ハン・フン ジム・ゼウォン ゴ・ジンミョン ジョン・ハンソク ウォン・ブンヨン カン・キウォン イ・ドヒョン