デトロイト・メタル・シティ
予告編を見て、全然見る気が起こらなかった。次女が見たがっていたのと、トロント映画祭であちらの観客にも受けたそうなので、見る気になった。松山ケンイチのオーバーな演技も元がコミックということであるなら許せる。というか、ゲラゲラ笑いながら見た。
おしゃれなポップス歌手を夢見た青年が悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカルをさせられるという設定だけを借りて、原作とは違う話になっているらしい。原作がまだ終わっていないためもあるが、漫画の脚色としてこれはうまいと思う。最初の方に出てくる「ノー・ミュージック、ノー・ドリーム」というテーマをきっちりと描いている。芯がしっかりしているのでまとまりも良くなるのだ。主人公が思いを寄せる女(加藤ローサ)に正体を知られないようにあたふたする姿を見て、これ、「スーパーマン」のバリエーションだなと思った。
出演者の中で良かったのは「フラガール」に続いて松雪泰子で、たばこの火を舌に押しつけてジュッと消し、「あたしゃ、そんなんじゃ濡れねえんだよ」と言うこの女社長の弾け方はおかしいおかしい。しかも色っぽい。映画としてはベストテンには入らないかもしれないが、密かに松雪泰子は助演女優賞候補に決めた。