2008年9月アーカイブ

Ironman ああ面白かった、というエンタテインメントを外していない作りに好感を持った。主人公のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・ジュニア)は兵器産業の社長で天才的な頭脳を持つ。アフガニスタンで新兵器のデモンストレーションの後、無国籍ゲリラに拉致され、新兵器のジェリコミサイルを作るよう要求される。重傷を負っていたトニーは同じく監禁されていた医師インセン(ショーン・トーブ)から人工心臓を移植されていた。トニーは会社で開発していたアーク・リアクターを応用して、心臓の動力にし、ミサイルではなく鉄のパワードスーツを作って脱出、アメリカに帰る。

アフガニスタンで戦争の悲惨さを見たトニーは兵器作りをやめると宣言、パワードスーツの改良版を作り、アイアンマンとしてゲリラに対抗するが…。というストーリー。テロ組織を敵役に持ってきたのは現代的と思ったら、そのうちアメリカ国内にもゲリラに通じた敵がいることが分かる。テロ組織を殲滅するだけの映画に終わっていたら、ふん、アメリカもいい気なものだと思ったかもしれない。「ロボコップ」に近い題材だが、「ロボコップ」ほど残酷でないのはR指定を警戒したためだろう。俳優でもある監督のジョン・ファブローは手堅くまとめている。

ダウニー・ジュニアは好演と言って良く、過去の醜聞を払拭できただろう。秘書役のグウィネス・パルトローもひたすら良い。演技派なのに女性の魅力だけで見せるのはさすが。決して正当派の美人ではないと思うのだが、この人、魅力ありますよね。

最後に「エンドクレジットの後に続きがあります」という字幕が出るのは余計か。クレジットの途中で席を立つ人が多いので仕方ないか。というより、これは2011年に公開予定の映画の布石でもあるから、言わずもがなの字幕を付けたのだろう。こうなると、「インクレディブル・ハルク」を見逃したのが痛い。DVDで追いかけよう。

Dmc 予告編を見て、全然見る気が起こらなかった。次女が見たがっていたのと、トロント映画祭であちらの観客にも受けた( 松ケン『DMC』にトロントニアンもぞっこん そうなので、見る気になった。松山ケンイチのオーバーな演技も元がコミックということであるなら許せる。というか、ゲラゲラ笑いながら見た。

おしゃれなポップス歌手を夢見た青年が悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカルをさせられるという設定だけを借りて、原作とは違う話になっているらしい。原作がまだ終わっていないためもあるが、漫画の脚色としてこれはうまいと思う。最初の方に出てくる「ノー・ミュージック、ノー・ドリーム」というテーマをきっちりと描いている。芯がしっかりしているのでまとまりも良くなるのだ。主人公が思いを寄せる女(加藤ローサ)に正体を知られないようにあたふたする姿を見て、これ、「スーパーマン」のバリエーションだなと思った。

出演者の中で良かったのは「フラガール」に続いて松雪泰子で、たばこの火を舌に押しつけてジュッと消し、「あたしゃ、そんなんじゃ濡れねえんだよ」と言うこの女社長の弾け方はおかしいおかしい。しかも色っぽい。映画としてはベストテンには入らないかもしれないが、密かに松雪泰子は助演女優賞候補に決めた。

Gururi 「じゃ、口紅つけてよ」のシーンで血の通ったユーモアとリアリティに感心し、その後のどのシーンにも30代の夫婦のリアリティがあふれているのに驚く。橋口亮輔監督は主演の2人にエチュードと呼ぶ即興の芝居を何度もさせたそうで、それが2人の呼吸の良さにつながっているのだろう。口紅のシーンも即興かと思ってしまうが、ちゃんと脚本通りに演じているとのこと。脚本が脚本に見えないのがうまい。子供を亡くした妻が徐々に精神を病んでいくところに1993年から2001年までのさまざまな事件を法廷画家の夫に絡めて描く構成も良い。病んでいるのは妻だけでなく、日本の社会も同じだったのだ。

前半は2人のシーンを中心に長回しが多いが、後半、妻が健康になっていく過程はカットを短くし、音楽を加えてテンポが良くなる。気分的にうきうきした感じになり、ラストの小さな幸せをほんわかと描くあたりが心地よい。夫は裁判でまたも陰惨な事件に遭遇するが、2人の小さな幸せは変わらないだろう。リリー・フランキーは包容力というと硬くなるが、ほんわかした風情が良く、木村多江もいつもより随分きれいに見えた。

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