「ぐるりのこと。」

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Gururi 「じゃ、口紅つけてよ」のシーンで血の通ったユーモアとリアリティに感心し、その後のどのシーンにも30代の夫婦のリアリティがあふれているのに驚く。橋口亮輔監督は主演の2人にエチュードと呼ぶ即興の芝居を何度もさせたそうで、それが2人の呼吸の良さにつながっているのだろう。口紅のシーンも即興かと思ってしまうが、ちゃんと脚本通りに演じているとのこと。脚本が脚本に見えないのがうまい。子供を亡くした妻が徐々に精神を病んでいくところに1993年から2001年までのさまざまな事件を法廷画家の夫に絡めて描く構成も良い。病んでいるのは妻だけでなく、日本の社会も同じだったのだ。

前半は2人のシーンを中心に長回しが多いが、後半、妻が健康になっていく過程はカットを短くし、音楽を加えてテンポが良くなる。気分的にうきうきした感じになり、ラストの小さな幸せをほんわかと描くあたりが心地よい。夫は裁判でまたも陰惨な事件に遭遇するが、2人の小さな幸せは変わらないだろう。リリー・フランキーは包容力というと硬くなるが、ほんわかした風情が良く、木村多江もいつもより随分きれいに見えた。

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このページは、hiroが2008年9月 7日 07:16に書いたブログ記事です。

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