出席者 加賀・酒井・笹原・杉尾・手塚・横山 書記:野口
杉 尾 最近は涙する映画が続いたので新鮮でした。テンポが速く、話の展開も速くて面白かったです。 悪役のトム・クルーズがターミネーターみたいに強くて、なかなかかっこよかった。音楽もおしゃれで、タクシーの運転手の黒人の人もすごく味があって、私は好きでした。
加 賀 昔観た、ジャッカルの日を少し思い出したのですが、今回はアクションよりも会話、タクシー運転手とトム・クルーズや最初の女性検事との会話など、良く脚本が練られていて、登場人物が生き生きと描いてあって、その辺りがすごくよかったです。 ラストは途中で読めたけれど、全体的に良い作品だと思います。
笹 原 大好きな作品です。この監督の作品は深みと重みがあって、それをじっくり見せてくれる、今時珍しい監督さんです。予想通り良かったです。単純だけど面白くて、結構描き方は深いですよね。トム・クルーズとタクシー運転手の会話が面白い。運転手が非難したらトム・クルーズも非難し返して、その繰り返しが、人間の生き方を良く考えてありますね。最後まで飽きさせない、なかなか良い映画だと思います。
酒 井 非常に好きな映画で、機会があればもう一回見たいくらいです。ロサンジェルスの夜の雰囲気が良く出ているのではないかと思います。トム・クルーズはどう演じても、100%悪役にはなりきれないようですね。以前に演じた良い役の良い所、というか、そういうイメージが出てきて、そういう意味では得をしているのか損をしているのかわからないですね。面白かったのは母親の見舞いに行くところ。何でそこまで行くんだ、と思うのだけれど、その会話が非常に面白い。最初が長すぎたせいでラストが読めるため、もう一ひねり欲しかった。あそこに戻ってくるということがわからないようにした方がよりスリリングになったのでは?ただ、非常にスマートな映画で、秀作でした。一晩でアレだけの出来事が起こるというのは、夜は長い、という事ですね。
野 口 実は可もなく不可もなくという感じだったので、特に何も言うことが無くて困っています。一番アクションの激しいシーンで爆睡してしまい、目を覚ましたら女性検事が登場していて、いつの間にか終わってしまいました。 面白いところは会話だとは思うのですが、トム・クルーズが物悲しさを引きずっていて悪役になりきれておらず、それで少しだるくなりました。
横 山(後から来ました) つまらなかったわけではないのですが、褒めるところもあまりなかったです。主人公の男がトムに勝てるわけないと思うんですが。やっぱりいまいちでした。
酒 井 非常にキレイな映画だけれど、時期はずれで残念でした。これはやっぱり6月に観る映画です。久しぶりにきれいなホームドラマです。僕は好きなほうなのですが、お父さんの中村獅童が弱々しいところがとても良い。子どもがしっかりしている、そういう家庭と、そこでお母さんが出てくると言う。良く使われる映画の手なんだけれども、すっかり中に入り込んでファンタジーに包まれてしまい、観終わった後に幸福感の残る映画です。そういう反面、薄っぺらい感じがしないでもないという作品です。すっと入ってすっと抜けていく感じがしたのですが。
笹 原 観る前に周囲が絶賛していて、ラストがすごいとも聞いていたので、どんなラストかな、と言う思いでずっと見ていたら、え?と言う感じでした。最初の七割くらいはちょっともたもたして、描き方、というか脚本がちんたらしているな、と思いました。最後はよくある手で、えぇっ!と思わせるのだけれども、それほどではなかったし、期待した分これだけ?と言う感じで、残念でした。「ある日どこかで」などは似たような話なのですが、もっとインパクトがあった様に思います。俳優はみんな良かったです。でも、たしかに絵柄はキレイだったけれど、話としてはそれほど褒められないと言う感じでした。
手 塚 家族の話だと思って観に行ったんですが、観て判ったのですがこれは男の子と女の子の話で、そこに子どもが居るというのは家族だからそれはいいのだけれど、それであれば、私だったらラストはやっぱり旦那とではなく子どもと手をつないで消えたいという気持ちがあります。そこでやっぱり観に来なければ良かったと思いました。最後の、学生時代の二人の話はとてもいいけれど、でも、(ラブラブなのは良いけれど)子どもが居て、長いこと結婚していて、それでもそれでいいのか、そうなのかなあ、おめでとう、みたいな感じでした。私は竹内裕子が嫌いなので、あーこんな役をしているんだな、というくらいです。YOUの先生役は、ポーっとしてるんだけれど言いたいことは言う役で、こういうことをYOUにさせるのはあまり・・全体的には、可もなく不可もなくです。
杉 尾 泣ける、というのだけは聞いて行って、泣けなかったです。途中で、終わるのかな、と思ったところで展開が変わって、そこで終わったら本当につまらなかったところで、前半で「これはどういう事なんだろう??」と思ったところを納得させるような説明があって、面白い造りだなあ、というのは思いました。中村嘉葎雄の台詞が「夏だなぁ」という一言しかなかったのが印象にのこりました。森の中の映像がファンタジックで印象的だったのと、子どもが賢くて物分りが良くてびっくりしました。導入の部分ももう大人になっている親子から始まって、ひまわりがぱあって咲いているところはおお、っと思いました。中村獅童がおどおどするのは、わざとらしくて私は好きではなかったけれど、まあまあの良い映画でした。一緒に行った友達はぼろぼろ泣いてました。映画の日だったので、とても多かったです。何で未来が見えたんでしょうね??
以下ねたバレです!
手 塚 未来が見えたから、こうしよう!と思って戻ってきたんですよね?じゃあせめて子どもが戻ってくるまで消えるのを待っていて欲しかったです。
笹 原 お話はタイムパラドックスなんですよ。交通事故で寝ている間に未来に行って、帰ってきて、その後病死するんですが・・
杉 尾 じゃあ、あの話は繰り返すの?
笹 原 事故をきっかけに、未来(自分の死後)の家族に会って、また戻ってきて、自分が死ぬと判っていながら繰り返し生き続けるというところが泣き所なんです。未来に行った時に記憶を無くしているのは納得できないですが。
このあと、このタイムパラドックスの矛盾についてしばらく話しました。
横 山 (後から来ました) タイムスリップですよね。(笹 原:夢の中の出来事と思ってる人がいて・・(杉 尾・奇跡かと思ってた)僕はすごく感心しました。途中に沢山引っかかることがあったけれど、最後で納得がいったので。竹内結子がひまわり畑に行くところとか。
以下、疑問と回答の押収でした。
笹 原 私は大好きな映画でほれ込んでます。「たそがれ〜」をみんなが褒めるのは当たり前で、それと比較されても、ちょっと違うんだ、と言う思いがあります。主人公の行き方・考え方・行動力が違うし、・女性の方の描き方も違うのに、同じように比較されるのが違うと思います。永瀬正敏がなかなか芯の強い役で好感を持ちました。山田洋二とは息子で組んでいるが、あれ以来で良かったです。松貴子は良かったと思う。報知映画賞を取るくらいの演技はしたのではないでしょうか。比較するのではなく、ひとつの作品としてみて欲しいです。ラストは少し能天気なのがみんなは気に入らなかったみたいで、評価の分かれるところですね。
酒 井 山田洋二の時代劇を見ていると、徹底的にリアリズムにこだわっていて、細かいところまで時代背景を十分に含み、その時代の人の考え方も入れて、妥協せずに作っているのがわかります。この「たそがれ〜」から続く完全主義は、すごいことをやるな、とびっくりしています。 この作品にも、そういう山田洋二のこだわりが出ています。今までの映画は、虐げられた人に対する優しい視線でずっと見て来ていて、決して権力にこびる視線がないのですが、この映画でもそういった監督の持ち味が貫かれていて、その点では「たそがれ〜」にひけを取らないと思います。ただ、話の構成が色々な筋を含んでいて、まとまりの面で難点、欠点ではないのですが、ちょっとしたことがあるようには思います。隠し剣の話と松たか子の話と、二つのストーリーが展開するのですが、二つの関わりがいまいち・・欠点ではないのですが。最後の展開は監督の特徴が出たと思います。あの時代の、完全に武士になりきっている人間に、それを捨てて恋人を連れて北海道に行くと言う発想が、当時持てるんだろうかと言うと、私は持てないだろうと思います。最後にそういう事が出てくるというのは、それまでの緻密さ・完全主義と矛盾してしまい、とても違和感を感じます。そういう意味で、最後に監督の楽天性の色が出たのは残念です。
加 賀 結構好きでした。「たそがれ〜」と比べると、主人公が明るくて、自分の好きなように前向きに生きている感じがしました。藤沢修平の用心棒シリーズの主人公に似ている感じがして、好感が持てました。松たか子はあまり好きではないけれど、彼女のシーンで泣いてしまい、結構良かったとおもいます。決闘相手を今ひとつ描いてなかったので、もっと描けていれば深みが出たのかとも思いました。
杉 尾 酒井先生に完全同意しながら、すべてまったく面白かったと思います。主人公の永瀬が理不尽な事をうやむやにせずに、全部きちんとカタをつけて進んでいくところが気持ちよく、素敵でした。松たか子は健気で、あの時代はあのくらいじゃないか、アレで十分だと思います。かわいかったし。命令ですか、と言うところも逆に好感が持てました。「隠し剣」は必殺仕事人みたいで、すげえかっこいい!とても良い映画でした。もう一回観たいです。
横 山 「たそがれ〜」は非常に好きで、10年に一本くらいの傑作だと思うのですが、これは二、三カ月に一本くらいの作品じゃないかと思います。話が二つあるのですが、それを全然まとめていないし、また、例えば「たそがれ〜」だったら果し合いに行く前に宮沢りえとのクライマックスがあって、宮沢りえが家で待っていたのに、隠し剣の方ではそうではなくて、誰に対して生き残らないといけない、というような勝つ意味が何も無くなってしまいます。そういうところがありました。「雪明り」のほうはまあまあ良かったです。松たか子が病人に見えないですが、まあ面白かったです。「隠し剣」の方は、御前試合のシーンがあるべきでしょう。ここでは勝ったけれども真剣では負けるかもしれない、という事があるので、シーンが必要です。後半は普通の時代劇です。前半は面白かったけれど。
加 賀 主人公が決闘の前にはをつぶしたのはなぜ?_?
一同 ??そうでしたっけ??
笹 原 ドリーマーズ
横 山 Mr.インクレディブル
酒 井 誰も知らない
杉 尾 ミステリートレイン。雰囲気が好きです。
手 塚 モンスター
加 賀 東京原発 軽く楽しい映画でした。
野 口 池袋ウエストゲートパーク(小説)