<参加者>加賀・酒井・笹原・横山・林田・杉尾・野口 <書記>矢野
今月の課題作は「アビエイター」と「Shall we Dance?」です。残念ながら書記の私が見逃してしまいましたが、皆様の話を聞いておりますと盛り上がりまして、楽しい合評会となりました。話の筋に合わないところもあるかと思いますがどうかよろしくお願いいたします。
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ジョン・ローガン
出演:レオナルド・ディカプリオ ケイト・ブランシェット ケイト・ベッキンセイル ジュード・ロウ アレック・ボールドウィン
林 田 見たときはやたら興奮しましたが、今思えばそれほどレオは良かったかな?と熱が冷めてきました。最初の飛行シーンが長すぎて、たいしたことないと誰かに言われていたのですが、私は何回も飛行機のシーンを撮り直すところはぐーっとうれしくなって…最後のほうはだんだんどうでもいいかなという感じ。だけどディカプリオが再生したいい映画でした。昔の女優さんの本物のまねをするところは見るに耐えない。物まねしているみたいで好きじゃない。ハワード・ヒューズの幼児の時の潔癖性が途中でそんなに重要かなと思うところがありました。すごくスケール大きくてお金を湯水の如く使う彼にうらやましくなるような気持ちのいい映画でした。
横 山 ケイト・ブランシェットのファンなので彼女がアカデミー助演女優賞取っただけで良かったです。映画全体としては面白いのですが、前半は退屈だし、後半も内面を描くのがうまくいっていないなという感じで表面だけを追っていました。ディカプリオに関しては全く興味ないので、他の俳優で良かったのでは。どうしてもディカプリオは幼い顔なのでハワード・ヒューズはこんなんじゃないはずと思っていました。
加 賀 ハワード・ヒューズの半生を描いているけど尊敬されるような一目置く人じゃない。お金があっておもいっきり勝手に使ったとこが凄いのですが。こんな人だったのかと知るには良かった。ディカプリオは童顔でもっと大人っぽいパンナムの社長のような人だと現実味が出ていいのに。あの人が作った映画、飛行機にしてもはその場限りでニュースにはなるけれど、あとに残っていなくて儚い感じがした。
笹 原 主人公に感情移入できない話としてはこういうものもあるよね。評判悪かったのでまあよかったかな。「ギャング・オブ・ニューヨーク」より10倍良かった。ただ、スコセッシ本来の映画ではないなという気がします。ディカプリオは熱演でした。あれが限度ですね、まぁしょうがないか。
酒 井 ハワードヒューズは嫌な奴だなと、思わせたところが成功作だと、あまりにも嫌な奴で主人公にどうしても感情移入できない、だからアカデミーとれなかったのでは。スコセッシーはそういう描き方をしている、そういう意味では成功作。ディカプリオは老けた演技はまだまだで、50−60代の演技になると存在が薄くなる。今までの映画からするとましになっていて、眉間に皺寄せるくらいの演技ができるようになっていて、それは進歩かな。所々印象的なシーンがあるのですが、もう少し内面的というか憎々しいハワードヒューズに切り込み足りないのでは。そこまでディカプリオに求めるのは酷で、やはりシナリオとかでうまく山場を持っていけなかった。話が少し長い。最後あんな風に終わるのはわかるのだけど2時間40分引っ張ってなんか尻すぼみ感がある。飛行機が飛ぶかどうか…。そして飛んだ、そのあとの悲劇なところをあのような感じで語っているけれど、インパクト弱い。楽しめましたけれど決してトータルで見て成功作でないように思えた。
杉 尾 少しも楽しめなかった、ディカプリオは好きなんですが彼に合う映画ではない。私はハワード・ヒューズ知らなくてその人の半生だったのかもしれないけれど、作るほどのものじゃないような気がします。ディカプリオは格好良かったけど何の印象にも残りません。アカデミー賞は取らなくてよかったと思います。
野 口 ディカプリオよく頑張ったなー、ケイト・ブランシェットは誰だろうとわからなかった。本人がおかしくなって追いつめられる所から良くなって面白かった。 なぜあんなに飛行機にこだわるのだろう、最初の映画製作の所、飛行機が好きだから飛行機の映画を作ったのですか?(皆:そういうことです)
林 田 映画にしては良かった。場面場面は良かった、走る、飛ぶは大好きだから、あの人のわがままで中止させるシーンだとか。わがままでやりたい放題できる富というものに対してかっこいいなと思う。
杉 尾 大きらい!
加 賀 飛行機の映画なのに「ライトスタッフ」のような緊張感がない。
このあと雑談に入りました。本当はここからが楽しいのです…
………。などなどでした
監督:ピーター・チェルソム
原作:周防正行
脚本:オードリー・ウェルズ
出演:リチャード・ギア ジェニファー・ロペス スーザン・サランドン スタンリー・トゥッチ ボビー・カナヴェイル
杉 尾 期待するのが間違っていた、邦画に勝るものではありませんでした。リチャード・ギアはタキシード着てバラを持ってきたところだけがよくて。日本人は社交ダンスの細かいノウハウ知らなくて、邦画ではそういうところを見せていく。周防監督は相撲やお坊さんにしてもそういうところが面白い。リチャード・ギアとスーザン・サランドンの夫婦の話になっていて。期待していたのと違う。ダンスの先生、ジェニファー・ロペスの魅力を感じない。草刈民代のような繊細なものを感じない。スーザン・サランドンは良かった。あそこまで同じに作ってあるとどうしても比べてみてしまう。竹中直人の臭さはまだ許せるけれどあの竹中直人役の人の演技の臭さは許せない、うざかったです。見なくてもいい映画。
酒 井 邦画の方をすっかり忘れていて、結構楽しめた。うまくアレンジされていてアメリカ映画になっていた。すらっとしていて甘いマスクの主人公のリチャード・ギアで成功している。
笹 原 期待していなくて良かった。リチャード・ギアのファンです。踊るところが違うのではとまた納得いかなかった所があったので、夜ビデオで見直した。全く一緒でした。違うのは最初のダンスはこういうものだよという説明がなかったこと。外国のは、はしょってある。それとラストに花を持っていくところ。一番気になったのがスーザン・サランドンの存在がすごく大きくて、日本のと違うなと思ってみたら原日出子も結構出てました。台詞もたくさんあって。ただ最後の花をもらうところがない。ふたりの存在感の違いがありました。私は竹中直人は嫌いなんで彼のほうがいいです。ジェニファー・ロペス、草刈民代どっちもどっちかな。納得いかないのは主人公同士はお互い気持ちが通じていて、実は私のほうも見ていましたって言っておきながら最後は何なんだって気になって、両方告白しながら結局別れる。両方の映画の疑問なんですけど。
林 田邦画がインパクト強かったので、どうしても比べてしまう。細やかな点でハリウッドは日本に勝てない。ステップも踏んだことのないサラリーマンの話が、リチャード・ギアでは何でもできそうで違和感がある。外国ではダンスは子どもの頃から親しんでいるだろうし、日本人は全くダンスもしたことがない、女性と組んだこともないような人の話、日本人には精神的にばれたくない面白さがすごくある。それをハリウッド映画で掘り下げてもなんだかおかしい。上手に真似をしたなという感じ。ハリウッドらしく作り替えている、日本の白黒映画がカラー映画にぱっと変わったなったっていう感じ。真似はしているけれど別物。よかった。どっちをとるかと言われれば日本映画取るかなぁ。私の習っているダンスの先生に映画のことを聞くと、全然面白くないって。少しやったくらいで「ブラックプール」に行くっておかしい、そんな簡単なものじゃないとのことでした。私はジェニファー・ロペスは嫌いで男性と女性と見方の違いはあるだろうけれど、女性が女性に対して好きになるのは、凛として清純で潔癖、男性は肉感的でかわいくて、そういう意味で、草刈民代はジェニファー・ロペスにたいして憧れ的なものはなかった。あの人はやっぱりラテン系、ワルツには合わないと思いました。私は両方大好き。
野 口 日本の映画とそっくり。1つだけ違うのはジェニファーロペス。社交ダンスの取り扱いが違う。社交ダンスする男性はゲイだという見方。あーなるほどねって、日本人だったら踊るだけで恥ずかしいけど向こうは普通だから恥ずかしさが変わっている。夫婦の話がわかりやすくなっていた。アメリカの方がダイレクトだからより分かり易くなっている。ジェニファーロペスの声はかわいすぎる、草刈民代の方が社交ダンス向き
手 塚 まず言わせていただくなら私はオリジナルの大ファンです。憧れてやまない人と同じ土俵に立ちたい、せめて視線でも合えばその日一日ハッピー!それが短期間でも同じ目標に向かって一緒の時間を過ごせるなんて、もう幸せの極み!手が触れる瞬間のアノ緊張感、体が近くにある事の胸のときめき・・・・そんな「憧れの構図」が切ないくらいに伝わってきて、私の胸を熱くさせるのです。だいたいあんな素敵な女性、私だってドキドキしますもん!なので、役所がどんなに原日出子に冷たかろうが、あの夫婦がこの先なんとなくビミョ?な雰囲気、なんて事はどうでも良かったのです。そんな「思ってるんだけど言わないでおく」部分が今回のハリウッド版では見事に払拭されてたわけです。だからこそ、普通ならば「けっ!」と済ますようなラストシーンにとても感激したのです。サマになってるタキシード姿、一輪のバラもけしてキザではなく、心から奥さんを愛していたのだ、と素直に思える。パーティのパートナーとして奥さんを誘う、だなんて嬉しいじゃないですか。オリジナルでは、何となく観ていて奥さんに対して後ろめたかった男性たちは、ハリウッド版で名誉回復(というか言い訳?上手な嘘?)できるのではないでしょうか(笑)。作品としてはオリジナルが断然、上だと思います。お笑いキャラなんかはもう少しハリウッド版の独自性を出してほしかった。
このあと雑談です
杉 尾 「インファナル・アフェアIII」
酒 井 「黄色い大地」 20年前の映画、1984年撮影チャンイーモウ 黄河 木の1本も生えていない土地
笹 原 「エターナル・サンシャイン」 ピカデリーで上映中、脚本はマルコビッチの人
加 賀 カートゥーンネットワークの「サムライジャック」 アクションアニメで面白い 声、菅原文太など
横 山 「SAW」DVDでみました。 なぜそうするのか、最初からラストまで引き込まれる
林 田 「甘い人生」 キネマ館で上映中 イ・ビョンフォン 韓国映画 残酷
矢 野 「インファナル・アフェアIII」
野 口 「Ray」