出席者:♂ 加賀 酒井 笹原 横山 ♀ 池堂 手塚 林田 野口 杉尾(書記)
今回の課題作は「交渉人 真下正義」「Ray レイ」「インファナル・アフェアIII 終極無間」の三本です。初めてのICレコーダでのレポートで、どうなることやらと思っていましたが、どうにか起こし上げる事が出来ました。機能をマスターすれば、なかなかの優れものかもです。
監督 本広克行
出演 ユースケ・サンタマリア 寺島進 國村隼 高杉亘 他
加 賀 見る前は、真下というキャラが映画を背負っていけるのかなぁと不安で、あまり見る気がしなかったんですけど、面白いと聞いて行ってみました。主人公のキャラクターが弱いんで、その分、回りのキャラクターが凄く個性的で助かっていると思います。キャスティングが上手いですよね。話も結構もたつく部分もあったけど、最後までグイグイ引っ張っていってくれて楽しめました。「踊る大走査線」のパターンで、テレビの2時間ドラマの雰囲気を脱しないけど、それは、それで割り切ってみればいいかなと思います。エンディングに知っているキャラクターも出てくるし、皆和気藹々とした映画でした。
酒 井 面白かったですね。あれくらいあれば、日本の映画もなんとか世界に通用するんじゃないかと思います。無駄な部分がなくって、ひたすらグイグイ引っ張っていくところはいいですよね。
恋愛のところとかおちゃらけのところとかなくて、ああいう感じで期待をもたせてスピーディな部分というのは良かったと思います。最後のところで、犯人が誰だったか分からないところは、議論の分かれてるところだと思いますが・・・。動機が誘拐犯的なところだったのか、他にあったのが、そこらへんの説明が不足で非常に弱いですね。それ以外は、水準に達していると思いますよ。
笹 原 非常に面白く見ました。ま、ユースケ サンタマリアは、ああいうキャラなんで、かえって中心に置いて回りが引っ張っていく感じかなぁと思っていたらその通りでしたね。脇が上手いですよね。寺島とか國村隼がちゃんと描けているのがいいです。犯人がつけ込んだのもユースケが弱い人間だったからで、そういうのが良く分かりました。最後まで楽しめましたよ。飽きない映画でした。
横 山 僕は、こういうタイプの映画ってのは非常に好きなので、楽しみにして行ったんですけど、そのわりには、ちょっと・・・・。脚本家がはじめて劇映画を撮ったひとなんですけど、出てくる”ジャガーノート”とか”オデッサファイル”とか・・その辺が好きなのはよく分かるんですけど、それを引き合いに出している割には、何もないなぁという感じです。パトレイバーの影響もあるなと思ったんですが、同じように考えた人もいっぱいいるみたいでした。寺島と國村隼は非常に良かったと思いますが、ユースケは・・どうかなぁ・・と思います。ま、もうちょっと頑張ってほしいなぁと思いました。
杉 尾 私は、単純なのでただただ面白く見ることが出来ました。今の時期、あの脱線事故の後だったし、見ているだけでドキドキするところもありました。無人の電車が迫ってくるのが凄く不気味な感じがして恐かったです。交渉人というタイトルがついていると、どんなふうに交渉するのか、そのテクニックの部分に気を取られてしまって、そこらへんが自分でもどかしかったです。
最後に犯人がわからないというのも面白かったです。
酒 井 もっと、地下鉄のシーンで縦横無尽に走らせて、わっとパニックになるところがあったら良かったですよね。
笹 原 警視庁とか、湾岸署とかでなく、地下鉄の管理室っていうのが良かったですよね。織田裕二が出てこなくてもこれだけ面白い映画が出来るんだなって思いましたね。
酒 井 ちょっと物足りなかったのは、爆弾の線を切るというところで、ちょっと割愛されている部分が多くて・・・ジャガーノートまで名前をだしたんだから、もっと盛り上げてもよかったんじゃないですかね。スリリングさに欠けますね。細かいところは凝ってたんだけど・・。
野 口 ユースケ・サンタマリアは、はまり役だったと思います。演技しているのかしていないのかわからないところが交渉人という感じで・・・。回りが皆強面で引っ張っていってたのがよかったかなぁと思います。
監督 テイラー・ハックフォード
出演 ジェイミー・フォックス ケリー・ワシントン 他
手 塚 ま、普通の伝記映画で・・・。ただ見終わって、お母さんのエピソードがすっごく印象的で、あそこだけ大変感動して帰ったんですけど・・・。大変な落とし穴があって、それは・・、また、あとで雑談の時に話します。
池 堂 私は、レイ・チャールズのファンだったので、歌を聴くだけで楽しめました。もちろん、レイ・チャールズが、ああいう生い立ちであったということは知らなかったんですけれども。映画そのものは、子役の目が見えなくなる前の表情がお母さんの子供に対する接し方とか・・、ヘロイン中毒になって、回りもだめにして自分も駄目になっていくところとか、知らなかったんで、結構楽しめました。音楽は、懐かしい曲がたくさん流れましたし、それだけで充分でした。
林 田 いい映画でしたけど・・・、やっぱり、ものまねを一生懸命やっているという感じがして鼻につきました。ジェイミー・フォックスの本人に似せようとしているのは、やっぱりあんまり好きじゃなかった。映画自体は、単なる、ああそうかって最後までいったんですけど・・・。私はだいたい、ああいう麻薬とかにおぼれる男は嫌いで(笑)、女にもだらしないし理解出来ない。あの映画を見てから、レイ・チャールズは、あんまり好きじゃないなぁと思いました。なんか、黒人差別のところも、本人はなんか流されている感じで、正義の何かとか一切なくて・・。アカデミーはやっぱりアビエーターの方が良かったです。(笑)
横 山 僕は、「アビエイター」とどっこいどっこいだと思います。(笑)つまらなくはないんですけど、あまりにも、ヘロイン中毒とかそこらあたりを強調していて、音楽の部分がちょっとないがしろかなという気がしました。あのそういう環境にありながらも、すばらしい曲をいろいろと作った人ですけれど、子供の頃のお母さんとので・・、あんないいお母さんなのに、なんであんなことになって成長するんだろうと思ったりもしました。ジェイミー・フォックスは、深みもありいい演技をしていたと思います。監督がもう少し脚本を書くときに考えて欲しかったです。
笹 原 あの時代に、目も見えなくて、しかも黒人で・・というのは、ほんとものすごく大変なことだと思うんですよ。それをあんなにいろんな意味でいじめられながら、乗り越えてきて、音楽の才能があったからよかったんだけど、・・・だから、薬にはしったり、ある程度のことは、私はやむを得んと思います。同情、共感は出来ないんだけど・・。あの環境で、よく自殺もせずやってきたなと思います。そんな見方をしました。話としたら、これがコーラスの彼女と喧嘩したら、それがそのまま歌になっているとか・・あの辺はびっくりしました。実際あった事を歌にして、ジェイミー・フォックスのちゃんと研究した演技も良かったと私は思います。よく頑張っていました。アカデミーをとっても、良かったと私は思いましたね。(笑)
酒 井 「アビエイター」と比較できる映画ですよね。両方とも伝記的映画であって、なおかつ最初のお母さんの影響が大きくてトラウマになって、後の人生まで関わってくる。「アビエイター」ってのは、非常に複雑なんだけど、レイの方は、単純なんですよね。だから、すごく解りやすいんですけど、トラウマの部分で、レイの方が上手いんじゃないかと思うんです。弟が亡くなるシーンを、最後に見せていきますよね、「アビエイター」の方は、「あなた、さわったら汚いわよ・・」って、ずっときているんです。レイの方は、最後になって何があったというのを明かそうとするんです。トラウマの部分を解明するようにもっていくというやり方が、上手かったですね。
ただ、いくつか物足りないところもあって、黒人差別で、ジョージア州で歌うのをやめたところあったけど、あそこは非常に描き方が浅いと思いました。あの映画は、本人が死ぬ前に公認の映画ですから、彼にとって黒人差別というのは、もう身についてしまっていて、なんというか皮膚で感じるって感じで、今更っていうのがあったのかもしれないですね。だから、むしろ、差別について戦おうっていうのは最初から考えていなかったのかもしれないと思います。この映画のいいところは、音楽が占めるところが大きいと思います。それを差し引けば、それほど褒めるところもないかな。
手 塚 お母さんの話に感動して、映画を見た後、英会話の先生に話したら、「本当は、レイはお母さんには育てられてない、おじさんおばさんに育てられたんだよ」と言われ、すんっごくショックだったんですけど・・・・、本当なんでしょうか。
笹 原 レイ・チャールズの公認だから、そうそう嘘はないと思いますよ。
酒 井 そうなるとトラウマ自体が、なんだったんだってことになっちゃう。(笑)
野 口 私は、良かったと思います。なんと言ったらいいか・・・解らないんですけど。ずっと引きずっていたものが、長い長い間にいろんなことがあって、最後に解決していったというようなところが良かったと思います。
監督 アンドリュー ラウ アラン・マック
出演 アンディ・ラウ トニー・レオン レオン・ライ チェン・ダオミン 他
林 田 見終わったときに、映画というものはこうでなくちゃと思いました。作り話でいいんです。映画として楽しめればいいのであって・・・。やっぱりヤクザ映画はこうでなくちゃと思うほど面白かった。キャスティング自体も、皆はまり役だったし・・。私は、その前に、韓国の【甘い人生】を見ているんですが、韓国映画と香港映画の違いというのを感じたのは、韓国のは、人を殺したり、拷問をしたりするところをこれでもかというほど執拗に撮ってあり、ともすると、これは、監督が人間を痛めつけているシーンを楽しんでいるのではないかと思ってしまうくらいなんですけど・・。それに比較すると、香港映画は、この映画でいうと、シリーズのどの部分であったかはっきりしないんですけど、あのウォン軽視が殺されるシーンで、「十分間痛めつけたのに何も喋らなかった」という言葉だけで、あとは、その惨酷さを見るものに想像させている。そんなところが韓国と香港の違いだと思うし、そんな意味でも、私は香港映画の方が好きです。警察の中に、悪者が紛れ込むという設定はすごく新鮮でした。私は、トニー・レオンが嫌いだったんだけど、今回は、同情しました。アンディ・ラウは、警察に入って、心が揺れ動くところが、すごく面白かったです。
横 山 僕は、一作目が面白くって、二作目はめちゃめちゃ面白くって、三作目は、ちょっと落ちるかなぁと思いました。それでも、トニー・レオンとかチェン・ダオミンとか、二人ともよくって、それに比べると、アンディ・ラウはあんまり好きではない。最後のIIIとかしつこいとしか思えなかったです。とにかく、二作目が非常に好きでした。
笹 原 私も一作目が面白くって、エリック・ツァンとトニー・レオンの二人の存在感だけでも面白くって、もちろん他の俳優たちも良かったんですが。でも、IIIは、正直わけが解らなくなって混乱してしまいました。(笑)でも、いいシリーズだと思います。
酒 井 僕も、横山さんと同じで、一作目は面白くって、二作目は非常に面白くって、IIIはかなり落ちるなって印象でした。シリーズで見ると日本の【仁義なき戦い】が、ぱっと浮かんでくるんですけど・・・・、えっと、今日はIIIの話ですね(笑)。やっぱり、ちょっと面白くなかったのは、あまりに回想シーンだけなんですよね。つまり、問題は、主要人物を一作目であんまり沢山殺しすぎたんですよ。だから、三作目は、どうしてもつぎはぎだらけで、もう死んだ人がどんどん出てきて・・・それを時間時空をずらして取り繕うとしているんですけど・・・、なんかいまいちね。現在進行形の部分が物足りないですよね。そういう意味でもうちょっと作り方ってのがあったんじゃないかという思いがあります。
杉 尾 理屈抜きで面白かったです。物語の細部の疑問を、徐々に解き明かしていく面白さがよかったです。
酒 井 バックグラウンドが、香港の返還からその後というのが非常に上手く描かれていましたよね。経済的な発展とか・・。
林 田 そうでしたね。私が香港に行ったときもちょうどその時期で、慌しかったのを覚えています。
手 塚 【ミリオンダラー・ベイビー】コレしかない
【しんきらり】漫画 単なる日常かと思ったら凄かった。
池 堂 【サマーストーリー】もう一度みたいです。
林 田 【君たちに明日はない】垣根涼介著 山本周五郎賞。とにかく、面白い。
加 賀 【日本酒 水芭蕉】栃木県の酒です。まさに今月の一本。
横 山 【ミリオンダラー・ベイビー】僕は、これ。
笹 原 【理由】大林宣彦監督 BOMには二本置いてあります。
酒 井 【エレニの旅】見終わった後から、だんだん良さがにじみ出てきます。
野 口 【ミリオンダラー・ベイビー】
【マッハ】CGを使わないアクションが凄い。シンプルな筋肉必見です。
杉 尾 【ミリオンダラー・ベイビー】やっぱ、今は、これです。