参加者:林田 酒井 杉尾(久) 笹原 金川 鬼束 手塚 書記:加賀
監督:マイケル・ベイ 撮影:マウロ・フィオーレ
出演:ユアン・マクレガー スカーレット・ヨハンソン ショーン・ビーン
鬼 束 面白かったです、もう少し品みたいなのがあればなと思ったんですけど、まぁあれで良かったのかなという気もします。 アクションシーンがすごく面白くて、パールハーバーでも、それなりにやっていたから、これくらいは作るだろとは思っていたんですが、予想以上にテンポも良くていい出来でした。息をも吐かせない感じで身動ぎひとつせずに観られた映画は久しぶりだったです。
金 川 とても面白かったです。クローンをどのように複製していく…あの会社が速く育成していくところが、ちょっと面白いかなと思いました。アクションシーンはさすがユアンだなと思って、「スター・ウォーズ」を思い出してしまいました。最終的に終わりかたが、クローンの人達が解放されるというところで終わったんですけど、ああいった問題が将来、実際起こってくるのかなとちらっと思わされました。
笹 原 久々に面白い映画で、マイケル・ベイはあまりたいしたのは撮っていないんですけど、「パールハーバー」はまぁまぁだったと思ったんですけど、前半の話が面白いのと後半のアクションシーンが凄く良くて、うまくバランスのとれた映画だなと思いました。 旬の二人が中々良くて。クローンを主役にした映画って有ったのかなと思って、しかもだんだん思い入れがそっちに入っちゃって、人間が、本人の方がやられても何とも思わないというのは、自分でも不思議だったんですが。 クローンの方を応援してしまうっていうというね、そういう面白さのある映画でしたね。
杉尾(久) 観にいく前に内容を聞いて、クローンを普通の人間のように育てていて臓器を取る為に殺すていうのを聞いていたので、それを聞かずにいけば衝撃とかも、もうちょっと違っていて更に面白かったんじゃないかと思います。あとアクションがすごくて見ごたえがありました。 クローン人間と注文主が入れ替わるところがたくみだったなと思います。 最後もみんな助かって良かったなと思って、ほっとしながら観ました。
酒 井 私も皆さんと同感で今回はストーリーもキチンとできていたので、前半後半楽しめました。前半もそうですが、後半のアクションもよくて、ただマイケル・ベイならこの程度やるだろうなと言うことを考えてましたし、さほど、ド派手にやらないとマイケル・ベイらしくないなと思って、その点でも満足したんですけど。ただ最初の部分の緻密さ、緊迫したところが今回はいままでの彼の作品と違ってよかったんじゃないかと。 ストーリー的にありえそうな話をとりいれて、クローンの感情を交えてということで。実はアメリカでもあまりヒットしなかったということなんですが、それなりの見る価値のある作品なんではないかと思います。
加 賀 前半の施設のなかの雰囲気がSFぽくってよかった、けっこう面白かったです。 前知識が無くて観に行ったんですが、内容がわかるに連れて話に引き込まれてドキドキしながら、引き込まれました。 後半は打って変わってアクションシーンが多かったんですが、ちょっと嘘くさいけど、上手くできてて、面白かった。時代設定が2017年くらいだったと思いましたが、出てくるくるまが微妙に近未来的で、実際今販売してる車やモーターショーのコンセプトカーらしき物、来年あたりに販売しそうな車など出てきて見てて楽しかった。
監督:坂本順治 脚本:長谷川康夫 撮影:笠松則通
出演:真田広之 寺尾 聡 勝地涼 中井貴一
笹 原 はっきり言って「ローレライ」よりこっちが面白かったです。ただ、どっちも手放しに褒めるような映画じゃないというような気はするんですけど、まだ「イージス」のほうが面白く作ってあったような気がしましたね。 私は悪役をやった中井貴一とか、結構頑張ってるなと思いました。ただ「ローレライ」も一緒なんでけど、女の子が出てくるんだけど、それが上手く描けて無くて意味がよくわからない。 今回はっきしてるのは中井貴一の悪と真田広之の正義との闘いというところがはっきりしてて分かりやすいというところはありました。
金 川 私は原作を読んでなくて、いきなり映画を観たんですけども、やっぱりどちらかというと、アクション中心の方に関心がいってしまいました。船の中でのアクションというのが非常に面白かったです、閉じ込められた船から出て、また船に戻るというシーンが非常に面白かったです。ただ原作は綿密に書かれてあるんだろう中井貴一と寺尾聡の出会いとかが、あっさりといった感じで、そんなふうな形での接触がおこりうるのかなというようなことを思ってしまいました。面白かったんですけど、真田広之が派手なアクションじゃなく地道に闘っているというアクションが日本的で良かったと思いました。
鬼 束 面白かったです、出演者が多い割には入り乱れることもなく「どんなに情けなくても死ぬな」っていう台詞が印象的でした。
加 賀 原作を読んでないせいもあるんですが、話がよくわからなくて、あまり面白くなかったです。船がテログループにのっとられるあたりも、あまり緊迫感がなく今ひとつでした。また、亡国の特殊部隊の隊員もあまり強くなさそうで、演出が良くないのかなと思いました。この作品よりは前作の「ローレライ」の方がまだ面白かったような気がします。 ただ自衛隊の内部組織とかは分かって面白かったです。
酒 井 原作は四分の三読みました、なんで四分の一読まなかったかというと読んでいる時に枕元に置いていた本に犬がおしっこをして読めなくなりました。原作のほうは非常に綿密に書いてあるんですね、なんで反乱をおこしたのかとか、最初の部分にスパイの生い立ちの部分もずっと書いてあって、それが所々描いてあって、暗い過去とか、そこらへんが上手く描いてあって本としては非常に面白いと思いました。僕は最後のほうを読まなかったのでドキドキしましたけど、ああいう終わり方はがっかりしました。
それで映画としてですけど、配役も良かったと思いますけど原作は女っ気が無いので、そこらへんの華がうすかったかなという気がしました。もうちょっと華がほしかったんじゃないかなと思いました、別の人物を設定して。イージス艦の最高の機能の話しだから、もっとドンパチ、ミサイルを数発打って、飛行機も打ち落としてもらいたかった。映画だからそこまで見せてくれないと思いました。ストーリー展開とかは非常に面白かったんですけど、個人的には真田広之は昔の精悍さとか無くなって丸くなって普通のおじさんになってたのにはがっかりしましたね。
なんとか成功作に入るんじゃないかなと思いますけど、「ローレライ」との比較があるんですけど、「ローレライ」はロマンチックなところがあって、それが作品の好き嫌いに分かれるんで、今回は社会的な現実的なところの話という、両方とも同じ原作者だけど視点が違うので、それはそれなりにお互い良かったんじゃないかと思いますね。「ローレライ」は戦闘シーンがあったので、ああいうところを今回もだしてもらいたかったなとは思いました。
監督:アレハンドロ・アメナーバル 脚本:アレハンドロ・アメナーバル アテオ・ヒル 撮影:ハビエル・アギーレサロベ
出演:ホビエル・バルデム ベレン・ルエダ ロラ・ドウエニャス
林 田 娯楽としての映画とかじゃなくてドキュメンタリー映画だなと思いました。ものすごく気持ちは分かるんですよね、自分がそうなったらと思うと、まず死なせてほしいと思いますよね、でもあの映画が言っているとおりのことがどの人にも起こるんだろうなと思って、夢の中で海の上を飛ぶシーンとか胸が痛くなりました。面白いというわけにも感動というわけにもいかないし、これから先簡単に殺すわけにもいかないし、やっぱり迷う映画ですね。泣きながら見たんですけど、あの映画は沢山は見たくないかな、やっぱり映画は楽しいほうがいいかなって思いながら帰りました。
鬼 束 主人公の言うことが的を射てるので退屈せずに見ることができました。 ラスト近くで、弁護士として着ていた女性が、いつの間にか認知症になって主人公のことを忘れていたのがショックでした。 夢で空を飛ぶシーンは、ぎりぎり低空で撮ってあって、どうして撮ったのかなと思うような映像でした。
金 川 入る時にはいろいろと考えたんですけど、やっぱり結論的には自分の命を自分できちんと対応できない、そういったシステムができているのかなと思います。
死に対する考え方、生きることに対する考え方というのが人それぞれ違うんだと思いますけども、同じような状況で実際に生きている人もいらっしゃるし、それから考えると彼が自分の命を自分から絶とうというような感じも認めてあげなくてはいけないのかなという感じがします。
ただ自分がまわりにいて、そういう相談をされた時には生きていることはもっと素晴しいことですよ、こういうことがあるんですよ、ということが提示できるかどうかといったら、あの映画を見てかなり難しいなと思いました。
自分の意思で命を絶つということで、彼自身は納得できるかもしれないけども、回りの残された人達は、どう思うのかなということを考えた映画でした。
笹 原 先日編集してるときに、杉尾歯科の先生に今月の1本は何にしますか?の返事をメールでもらった時に、この映画を迷わず書かれてたんで、すぐ観にいって観てよかったなと思いました。
尊厳死のことはともかく、映画として凄く素晴しく良く出来ている、主役の方の演技、ほんとに首だけの演技なんですけど、あれだけもたせる、話の持って行き方ですね。これは実話なんですけども、それをあれだけ上手く描いた監督も素晴しいなと思って見てました。
尊厳死に関しては何とも言えないとこで、これという意見はないんですけども、皆で話すのを聞いてみたいと思っています。
手 塚 観てきたばっかりなんですけど、いきなり座ってたおばさんが途中から号泣されて、そっちが気になって…家族と別れる時なんかも凄く泣かれて、彼女がこんなに泣いてると私泣けないという感じでした。
ただ、すごく心に残った場面というのは、女性の弁護士さんが自分の詩を読んでる最中に犬の散歩に行ってるて言われて自分の気持ちを犬の方にそらしますよね、あの時のあのシーンが一番すごい残ってて、尊厳死はどっちかというと肯定する方で、最近また話題になってるけど臓器移植カードを持ってて、私は死んだらどこでも使ってくださいていうふうに書いてだしてるんですけど、主人と話して、いいかな?というけど、その時の状況にもよるかな。
映画を観てても、残された人達の気持ちっていうのはすごく考えて、そっちの方に感動じゃないけど考えるところがありました。
観たばっかりなので気持ちが整理できてないので…
杉尾(久) はじめ、やっぱり安楽死の映画ということで、2年まえに観た「皆さんさようなら」あまりにも私ダメだったから、おっくうだなと思ってたんですけど、笹原さんのすごいお勧めで観に行きました。生きるということに対して、死ぬことよりも生きるということはどういうことかということに対して進士に描いてあって表現してあって見てるうちにだんだん引き込まれていくっていうような感じでした。安楽死を望む主人公の気持ちも見てると納得するっていうか、その部分も上手く描かれていたなと思います。
それとラモンの家族と友人、それと支援する団体の心理描写ていうのがすごく丁寧で、家族のお兄さんが仕事を変わってまで尽くして、家族は裁判で安楽死を勝ち取りたいラモンの気持ちが理解できない、すごく複雑だと思うんです。動けない苦しさっていうのは分かるけど、動けなくても人とのふれあいの中でちょっとした幸せていうか、そんなもんじゃだめなのかっていうような部分ていうのが家族にはあると思うんですけど。そこらへんの苦悩というのも、お姉さんの私達は愛をもってラモンに接している、あなたにはわからないって神父に言うところがあるんですけど、そこらあたりが爆発して表してるなと思いました。甥っ子もかわいくて、言ったことがピンとこないところが、またすごくリアルっていうか丁寧に撮ってあるから、あの子が中盤あたりラモンが車に乗っていくところを一生懸命走っていくところで私も涙がぼろって出て、感極まった感じです。
「ミリオンダラー」も安楽死だったんだけど、死を選ぶっていうのにその人の状況がそれぞれ違っていて、精神的にどうしても耐えられなくて死を選ぶっていうのもあるだろうし、癌とか最後の末期で、死しか待ってないのに、苦しまなければならない、痛みにたえなければいけないのとか、ああいう時に安楽死を選んだりとかいうのもあるだろうし、一概に良いとか悪いとか言えないと思います。
さっき鬼束さんが言ってたように、主人公の気持ちが海の方に渡っていくシーンていうのは、すごいお腹がひゅっとひっこむくらい、ジェットコースターに乗ってるような浮揚感ていうか、どうして撮っているのかと思いました。大変真面目で自分の人生を自分で選択するっていうことについて考えさせられる映画だったと思います。
酒 井 僕の意見は笹原さんと同じで、映画としてみると並々ならぬいい映画だなと思いました。内容はともかく、この監督がここまで破綻なく説得力のある、しかも暗い話だけど決して話は暗くないような、いろんなところで演出が上手い。扱っているテーマの話よりは、やっぱり監督が上手く、手際よくまとめたところが映画として一番評価できるところじゃないかなと思います。
話は非常に複雑というか難しい問題をかかえていますけども、ああなった場合に生きるという希望を本人がどう持ち続けるかということが非常に重要なことで、ラモンの場合には逆説的なんですけど、自分が安楽死になるっていうことを生きがいにしているんですよね。
あれがそこまで支えているんですよね、死のうと思えばいつでも死ねるんですよね、でも自分が認知されて、それで死ぬっていうことに彼は生きがいをもってるんですよね。
映画としては非常に良く出来た映画で次の作品が非常に楽しみです。
林 田 「皇帝ペンギン」
手 塚 「奥様は魔女」
鬼 束 「ウオーターボーイズ」
杉尾(久)「リチャード・ニクソン暗殺をくわだてた男」
笹 原 「容疑者 室井慎次」
酒 井 「バッド・エデュケーション」