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2010年01月01日 [Fri]

ウラシマ効果

「トップをねらえ!」第2巻

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

大晦日は昼間、「トップをねらえ!」全3巻を見て、夜は見逃していた「重力ピエロ」、原作を読んだ「フロム・ヘル」をDVDで見る。紅白歌合戦はスーザン・ボイルと矢沢永吉のところのみ見た。永ちゃんは相変わらずですね。

「トップをねらえ!」はなんとなく見たくなって、先日中古DVDをamazonで買った。1巻に2話入っていて全6話。3巻目は急遽、製作が決まったそうで、4話が終わった後にある予告編はほとんど未完成である。このあたり、エヴァの最終2話を思い起こさせる。スケジュールが厳しかったのだろう。というわけなので、4話目まででも話は完結するのだが、5話、6話はSFらしい作りで好感が持てた。タイトルは「お願い!愛に時間を」「果てし無き、流れのはてに…」。もちろん、ロバート・A・ハインライン、小松左京作品のタイトルのもじりだ。

エイリアンとの戦闘で父親を亡くした主人公のタカヤ・ノリコが戦闘ロボット・ガンバスターのパイロットを目指し、沖縄女子宇宙高校に入学。お姉様と呼ばれるアマノ・カズミに憧れ、素質を見込んだ鬼コーチにしごかれながら、宇宙を目指す。この設定は「エースをねらえ!」を借用したもので、タイトルはこれと「トップガン」を組み合わせたものだそうだ。

Wikipediaには「映像作品においては存在しないものとして扱われる事の多いウラシマ効果を積極的にストーリーに取り入れるなど、根底には(後の庵野作品にも通じる)重厚なSF描写や細かい科学設定があり、21世紀に入ってもなお根強い人気を誇っている」とある。光の速度に近づくほど時間の進み方が遅くなるというウラシマ効果はアインシュタインの相対性理論に基づくもので、SFではおなじみ。アニメでは珍しいが、新海誠「ほしのこえ」はこれを利用して物語を構成していた。

21年前のアニメなので、技術的な部分にそれほど見るべきものはないが、SFの部分がしっかりしていると、安心して見ていられる。できれば、ウラシマ効果をもっと本筋に絡めてくれると、良かったかもしれない。第2話でノリコが遭遇する父親の乗った戦艦(光の速度で移動している)が後で絡んでくるかと思ったら、それはなかった。

「重力ピエロ」は家族4人を演じる俳優たち(小日向文世と鈴木京香、加瀬亮、岡田将生)がそれぞれに良い。特に小日向文世。若いころのメイクには無理があるにしても、一家を襲った災難を受け入れ、「俺たちは最強の家族だ」と言う場面などグッとくる。ただ、話としては少し底が浅い印象を受けた。伊坂幸太郎の原作は家にあったので、読んでみようと思う。監督は森淳一、脚本は「大停電の夜に」の相沢友子。

「フロム・ヘル」はまだ途中まで。アラン・ムーア、エディ・キャンベルの原作(グラフィック・ノベル)は読むのに骨が折れるほど重厚な作り(上下2巻)で、先月初めに読み終えたが、感想が書けない状態。コミックではなくて、挿絵の多い小説と言った方が良いぐらい(ノベルなのだから当たり前か)。もう一度しっかり読んで感想書きたい。映画は原作の重厚さをどこかに置き忘れたような作りになっていて、評判が悪いのも肯ける。


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