映画とネットのDIARY(tDiary版)
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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2005年01月05日 [Wed]
■ 「恋人はスナイパー劇場版」(DVD)
君塚良一脚本だが、ワンアイデアで1時間52分を持たせるのはつらい。どこかで聞いたアイデアだと思ったら、西村京太郎「華麗なる誘拐」が原作になっている。だいぶアレンジしてあるにしても、あと2つか3つのアイデアが必要だったと思う。監督はテレビ中心の六車俊治。
水野美紀といかりや長介が出てくると、「踊る」の番外編かと思えてくる。水野美紀はアクション志向だけあって、クライマックスのアクションはなかなか。内村光良よりもよほど決まってる。もっと彼女の資質を発揮できるようなアクション映画は撮れないものか。
かつての邦画なら、B級アクションが豊富にあったのだが、大作中心の今となっては難しいだろう。アクション女優(水野美紀はそうではないが)にとっては不遇の時代と言える。
■ VAIO春モデル
15日発売だが、SONY Styleでは7日から先行予約販売開始。僕が買ったtype Rと同じスペックのを選ぶと、なんと5万5000円も安くなってる。パソコンってそういうものだよなあ、と分かっていても_| ̄|○
■ 「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(DVD)
反乱軍が異教徒の民族を虐殺しているナイジェリアから米人女医リーナ(モニカ・ベルッチ)を救出するために米軍特殊部隊が派遣される。当初は女医1人を助ける予定だったが、虐殺現場を見たために部隊の隊長であるウォーターズ大尉(ブルース・ウィリス)は命令に逆らって、避難民を連れてカメルーン国境まで徒歩で向かうことにする。それを反乱軍が執拗に追撃してくる。
1人の民間人の救出のために米軍が部隊を派遣するだろうか、というのが大きな疑問で、ここはやはり女医に何らかの秘密(どうしても救出しなければならない理由)を設定しておきたいところだ。映画は中盤、反乱軍が執拗に追いかけてくる理由を明らかにする。これは定石に沿った展開なのだが、クライマックス、騎兵隊よろしく駆けつけた戦闘機が敵の部隊を殲滅するところなどにご都合主義が感じられる。それならもっと早く救出のヘリを出せよ、と思えてくるのだ。ウィリスの上官の大佐(トム・スケリット)は「危険空域だから」と理由を説明するのだけれど、著しく説得力を欠く。
監督は「トレーニング デイ」「キング・アーサー」のアントワン・フークア。脚本の詰めが甘いと思う。
2006年01月05日 [Thu]
■ 積雪
先月よりも積もった。昨夜は雨だったが、起きてみたら、一面の銀世界(というほどでもない)。雨に変わったので間もなく溶けるのでしょう。今朝の最低気温は0.4度だったらしい。
写真はNikon D70で撮影(午前7時24分、80分の1秒、F5.6、シャッター優先、Sigma DC 18-200mm、 Photoshopで修正)。
■ 「ゴジラとアメリカの半世紀」
「ミステリマガジン」1月号のレビューで紹介されていたので読んだ。レビューではGodzillaの接尾語zillaがアメリカではあらゆるものに付けられるほどポピュラーになったゴジラの影響力を中心に紹介してあり、確かにこの本の4章「『ゴジラ』は如何にして、アメリカで『ガッズィラ』になったか」と5章「ゴジラファンであるということ」にはそうした側面の分析・紹介があるのだけれども、この本、それ以前に立派なゴジラ映画論になっている。
1章から3章まで(「いとしのゴジラ」「ゴジラの誕生」「シリーズの歩み」)は間然するところのないゴジラ映画の的確な論評である。著者のウィリアム・M・ツツイはカンザス大学歴史学部の準教授で専攻は現代日本史。名前からして日系人だろう。アメリカではゴジラ映画を配給会社で編集・削除した上で公開することが多い(第1作にレイモンド・バーが“出演”したのは有名だ)が、著者はすべて元の映画を見ているようだ。第1作でゴジラを演じたのが大部屋俳優でスタントマンだった中島春雄であるとか、製作の背景であるとか、日本人以上に詳しくマニアックである。
ローランド・エメリッヒが監督したハリウッド版ゴジラについて「度が過ぎる失敗作で、世界中のゴジラファンの期待をことごとく裏切る結果となった。もっと率直に言わせてもらうと、怪獣王の伝統、キャラクター、精神を冒涜してしまったのだ」と酷評している。これを見ると、著者が真性のゴジラファンであることが分かる。ちなみに著者が評価しているのは第1作と金子修介監督の「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」それにシリーズの他の作品とは異質で“一種独特の雰囲気を持っている”「ゴジラ対ヘドラ」である(この異質さのために監督の坂野義光はプロデューサーの田中友幸からおしかりを受け、その後長編映画を撮っていないという*1)。公害をテーマにしたヘドラは僕も公開当時に見てショックを受けた。内容やテーマ性よりも面白かったのは劇中に流れる歌をはじめとしたポップで現代的な作りだった。ゴジラシリーズの中では上位に来る作品と思っているので、著者の評価はとてもうれしい。
ここにはチャチな特撮への冷笑も物語の非現実性への異議申し立てもない。著者は長所も短所も見極めた上で心の底からゴジラ映画とその巨大な影響力(ゴジラに影響を与えた「キング・コング」や「原子怪獣現わる」をはるかに超えた巨大な影響力)を評価しているのだ。だから読んでいて気持ちがいい。本書に書かれているアメリカのゴジラファンの活動を読むと、日本より熱狂的である。アメリカのファンが好んでいるのは平成シリーズでも新生シリーズでもなく、60年代から70年代にかけてゴジラが正義の味方として活躍した映画群なのだという。これは意外だった。そのころのゴジラ映画が繰り返しテレビで放映され、平均すると、週に一度はテレビで流されていたことが大きいようだ。
中公叢書に入っているので、こうした堅いタイトルになったのだろうが、原題は“Godzilla on My Mind”(わが心のゴジラ)。これはゴジラへの熱烈なラブレターなのである。中身も読みやすくユーモラスかつ詳しく、本来ならば、普通のハードカバーで表紙にゴジラのイラストや写真を入れて柔らかく作った方がいい本だったと思う。ゴジラシリーズのファンは必読の名著。
*1 日本映画データベースによると、この後は「ノストラダムスの大予言」に協力監督とのクレジットがあるのみ。
2009年01月05日 [Mon]
■ 全米批評家協会賞
作品賞は「バシールとワルツを(Waltz with Bashir)」というイスラエル製アニメとのこと。監督はフォルマン。IMDBによると、大変評価が高い(Vals Im Bashir)。どんな映画か楽しみだが、「WALL・E/ウォーリー」が受賞したロサンゼルス批評家協会賞に続いてアニメが作品賞というのは面白い。批評家にも頭の堅い人は少なくなったのか。予告編は以下。
このほか、主演男優賞は「ミルク」のショーン・ペン、主演女優賞はマイク・リー監督「ハッピー・ゴー・ラッキー」のサリー・ホーキンス。監督賞はそのマイク・リーが取っている。驚いたのは助演女優賞のハンナ・シグラ。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー映画によく出ていたが、懐かしい名前だなあ。対象作の「そして、私たちは愛に帰る」は現在、東京で公開中。
ファスビンダーは大学時代に「マリア・ブラウンの結婚」を見て打ちのめされた思い出がある。ハンナ・シグラの名前もこれで覚えた。ファスビンダー作品は3作品を収めたDVDボックスが2005年に2つ出て、3つ目が来月、4年ぶりに出るようだ。前の2つはあまり売れなかったのかな。