映画とネットのDIARY(tDiary版)

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2005年01月11日 [Tue]

[MOVIE] 「ターミナル」

「ターミナル」チラシ祖国のクーデターでニューヨークのJFK空港から出られなくなった男を巡るスティーブン・スピルバーグ監督作品。前作「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に続いて、物語自体は小品と言えるスケールだが、空港の巨大なセットをはじめスピルバーグが撮ると、なんとなく大作のイメージになってしまう。2時間9分という上映時間もこうした作品としては長いと思う。泣かせる場面はあるし、マイノリティの人たちの温かさを感じる部分もあって、話は悪くないのだけれど、脚本の技術的なうまさという点ではあまり感心するところはなかった。設定のオリジナリティに比べて、話の展開に目新しい部分がないのだ。主人公の男女2人の行く末とか、別の男女の恋の描写の簡単さとか、脚本の細部に引っかかる部分がある。加えて話は軽妙の部類に入るのに、スピルバーグ演出では軽妙さが十分に弾けていかない。もっとこぢんまりと撮れば良かったのに、スピルバーグは肩の力を抜けきれていないのだ。スピルバーグはこういう軽妙な題材が自分に向いていないことを自覚した方がいい。

主人公のビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)はJFK空港に降り立ったところで、祖国のクラコウジアにクーデターが起き、内戦状態となったことを知らされる。祖国の政府が消滅してしまったために入国ビザが失効し、クラコウジアとアメリカとの国交がなくなって帰国することもできなくなった。空港国境警備局長のディクソン(スタンリー・トゥッチ)はビクターに空港で待つように命じる。というのが基本的な設定。映画はここから英語もしゃべれないビクターが空港内でどうやって暮らしていくかを描写しつつ、床掃除のインド人グプタ(クマール・パラーナ)やフード・サービス係のエンリケ(ディエゴ・ルナ)との交流、客室乗務員のアメリア(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)との恋などを描いていく。

ホントは39歳、人前では32歳、デートするときは27歳と偽っているというアメリアを演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズが良い。妻子ある男と何年も不倫を続けているアメリアは男からの電話を待ち続けており、いつか一緒に暮らせる日が来ることも夢見ているが、次第にビクターに惹かれていく。2人が空港内でデートする場面などは良い雰囲気で、この2人のラブストーリーにしてしまっても良かったのではないかと思う。しかし、脚本はこの2人の結末をハッピーとは言えないものにしている。

主人公がニューヨークに来た理由は終盤に明らかになる。それと祖国のクーデターとを比べて、どちらが大切かよく分からない。主人公の家族構成など背景が今ひとつはっきりしないからで、これは脚本のミスだろう。良い話なのに脚本の細部で失敗したという感じの作品である。物語はパリ空港に16年間暮らしている実在のイラン人を基にアンドリュー・ニコル(「ガタカ」「シモーヌ」)とサーシャ・ガバシが原案を書き、ガバシとジェフ・ナサンソン(「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」)が脚本化している。題材を詰め込みすぎたことも、今ひとつ充実感のないものになった原因ではないかと思う。


2006年01月11日 [Wed]

「輝く断片」

「輝く断片」表紙休みだが、風邪で体がだるいので、映画には行かず、昨日届いた「輝く断片」(シオドア・スタージョン)を読む。8編が収録されており、最初の2編は昨日、寝る前に読んだ。最初の「取り替え子」は遺産相続に赤ん坊が必要だった若い夫婦が川で赤ん坊を拾う話。その赤ん坊は取り替え子(赤ん坊と入れ替わった妖精)で大人のような口をきく。この描写を読んで、「ロジャー・ラビット」に出てきた赤ん坊ベイビー・ハーマンを思い出した。ああいう乱暴な口をきくのである。気楽に読めたのはこれと次の「ミドリザルとの情事」までで、あとは(特に後半の4編は)切なく重い話である。

最後に収録された表題作は世間から用なしと思われている50代の男が通りで瀕死の重傷を負った女を見つけ、アパートに連れ帰って懸命に看病をする話。傷口の描写が細かいので、もしかしてこれはネクロフィリア(死体愛好症)の男の話かと思えてくるが、やがて女は意識が戻る。男にとっては女の世話をすることが生き甲斐になる。生来の醜い容貌で親からも見捨てられ、軍にも入れてもらえず、同僚からもバカにされる男にとってこの女は人生の輝く断片(Bright Segment)なのだ。自分が必要とされている存在であることを自覚できるからだ。「シン・シティ」のマーヴ(ミッキー・ローク)を思わせる主人公はマーヴ以上にあまりにも空虚な人生を送っており、その絶望的な孤独感が悲しい。

社会に不適格な主人公という設定は「ルウェリンの犯罪」「マエストロを殺せ」「ニュースの時間です」にも共通する。「マエストロを殺せ」の主人公も醜い容貌という設定である。こうした主人公の設定には不遇の時代が長かったというスタージョンの人生が反映されているのかもしれない。帯に「シオドア・スタージョン ミステリ名作選」とあり、「このミス」の4位にも入ったが、この短編集をミステリとして読む人は少ないのではないか。

大森望の解説を読むと、「輝く断片」はミステリマガジンの1989年8月号(400号記念特大号)にリバイバル掲載されたとある。僕はこの号を買っているはず。普段は雑誌掲載の短編を読まないとはいっても、記念特大号には名作・傑作が収録されているのでいくつかは読む。それでも読んでいないということは当時は食指が動かなかったのか。ちなみにミステリマガジンは2月号がちょうど600号。記念特大号の特集は3月号で2005年ミステリ総決算と合わせてやるらしい。


2009年01月11日 [Sun]

更新通知エラー

ブログを更新したことを検索エンジンに知らせる更新通知はこの日記ではサーバーがバージョンアップされた際にサーバーエラーが出るようになったので設定を外していた。しかし、検索結果にすぐに反映されるココログと比較して、カスタム検索エンジンにも結果が出てこないのは寂しいので再設定。が、またもやエラー。ふむ、どこが悪いのだろう。ローカルにインストールしているtDiaryで試してみると、何もエラーは出ない。タイムアウトのためでもないらしい。rubyのバージョンもこの日記のバージョンも同じなんだが、もう一度、環境をチェックしてみる必要がありそうだ。

ちなみにGoogleのping送信先はhttp://blogsearch.google.com/ping/RPC2でいいらしい。こことgoo(http://blog.goo.ne.jp/XMLRPC)あたりに設定していれば良いはずなんですけどね。ココログの方はココログ(http://ping.cocolog-nifty.com/xmlrpc)にも設定してある。

昨年1月のデータだが、国内のブログ数は1690万、1カ月に一度以上更新するアクティブブログは300万とか(総務省調査、国内ブログ数は1690万。アクティブブログは約300万。今はどれぐらいに増えているのだろう。「国内ブログのデータ容量は総量で42TB」というのは凄く多いような気もするが、今ではパソコンのHDDが1テラバイトを越えることも多いので、パソコン42台分と考えれば、そんなに多くないか。ま、しかし、これを瞬時に検索するGoogleなどは凄いなと思う。


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