映画とネットのDIARY(tDiary版)
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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2004年07月25日 [Sun]
■ 複数インデックス
この日記と前の日記と「シネマ1987online」を検索するように設定。こんな感じ。Namazuに関しては、あとはインデックス更新のための簡単なシェルスクリプトを書けば、移行完了。
サーバーの移行、7割ほど終了というところか。Namazuも設置できてさくらのレンタルサーバーに不満はないので本登録した。
■ やさしくPDFへ文字入力PRO
メディアドライブの新製品。PDFにキーボードで文字入力ができるようにするソフトで、手書きに自信がない人向け(僕向け?)。
PDFは「いきなりPDF」の登場以来、随分普及した感じがする。WebサイトのあちこちでPDFファイルを見かける。それこそ、いきなり、PDFのリンクをクリックさせられる場合もあり、うんざりする。PDFのアクセス性 その光と陰を読むと、PDFは印刷する用途以外には使わない方がいいのではと思いますね。もちろん、改ざんができないというのは大きなメリットではあるんですがね。
2005年07月25日 [Mon]
■ [MOVIE] 「アイランド」
一匹の虫(バグ)が完璧と思えた管理社会のシステム崩壊のきっかけになる。システム自体にもバグ(欠陥)が潜んでいて、主人公は自分が住む社会に疑問を持つようになるのだ。システムの本質を知り、好意を持った女が危険にさらされたために、主人公はこの社会からの脱出を図る。予告編でも感じたことだが、前半に描かれるこの設定はジョージ・ルーカス「THX 1138」やマイケル・アンダーソン「2300年未来への旅」(Logan's Run)を思わせる。これをじっくり描けば、マイケル・ベイ監督には珍しく本格的なSF映画になるのではと思ったが、やはりというか何というか、後半は得意のアクション映画になってしまう。いや、それでも描かれるアクションの数々は大したもので、見て損はしない映画にはなっている。ベイ作品としては「ザ・ロック」(1996年)以来の面白い映画と思う。ただし、アクションだけで進む話というのは見ていて面白みに欠けてくるのだ。後半にもう一つ大きなストーリー上の転換が欲しかったところ。そうすれば、胸を張って傑作と呼べる映画になっていただろう。そこがそうならないのが雰囲気は大作、実際はB級でしかない映画ばかり撮っているマイケル・ベイの限界なのだと思う。
2019年、人々は大気汚染から隔絶された都市に住んでいる。ここは科学者で管理者のメリック(ショーン・ビーン)以下、多数の人間たちによって完璧に管理された社会なのだ。みな同じ白い洋服。行き届いた健康管理。チューブに液体を入れるだけの単純な仕事。退屈な毎日で、人々は地上最後の楽園アイランドへの抽選に当たることだけを夢見て暮らしている。主人公のリンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)はここで暮らし始めて3年。アイランドへ行く途中に溺れる悪夢をたびたび見る。この都市の管理側で働くマック(スティーブ・ブシェミ)と親しいリンカーンは時折、都市の裏側を見て、次第にこの都市への疑問を感じるようになる。ある日、リンカーンは排気口から入ってきた虫を見つける。外の世界は汚染されているはずなのに、なぜ虫が生きているのか。そして、リンカーンはアイランドの抽選に当たった黒人(マイケル・クラーク・ダンカン)と妊婦の過酷な運命を見てしまう。この都市には驚愕の秘密があった。好意を持っているジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)が抽選に当たり、リンカーンはジョーダンを助けるために一緒にこの都市を脱出しようとする。
予告編でもパンフレットでもネタを割っている。映画の3分の1あたりで明かされる秘密だが、それでも知らない方が映画を楽しめるだろう。ここを割ってしまう宣伝というのはどうかと思う。もっともマイケル・ベイの演出がさえ渡るのは後半のアクションの方なのも事実。逃げた2人をローラン(ジャイモン・フンスー)率いる組織が執拗に追いつめていく。高速道路でのカーチェイスは凄まじく、「マトリックス リローデッド」並みの迫力。空飛ぶバイクに乗った2人がビルに突っ込み、窓を割って巨大看板とともに落下するシーンまで一気に見せる。そこからもアクションに次ぐアクションの展開となるが、肝心の話の方がやや類型的になり、ストーリー上の緊張感は薄れてきてしまう。無駄に長すぎると思えてくるのだ。ストーリーにも穴は多く、企業ぐるみで違法なことをやっていて、それが外部に漏れないのはおかしいと思う。笑ったのは街頭にあるインフォ・ブースがMSNサーチだったこと。2019年の近未来ならいかにもありそうな設定ではある。半面、未来社会の造型ではそこまで進歩しないだろうと思えるものもある。時代設定を2100年ぐらいにしておけば良かったのではないか。
マクレガー、ヨハンソンともアクション映画を無難にこなしているが、目立つのはショーン・ビーン、スティーブ・ブシェミ、ジャイモン・フンスーの3人の好演。特にフンスーは役柄も含めて印象が強かった。
2011年07月25日 [Mon]
■ 「大鹿村騒動記」
幼なじみと駆け落ちした妻が18年ぶりに村に帰ってくる。しかも認知症になっていて、幼なじみは妻を「返す」と言う。折しも村では300年の伝統がある大鹿歌舞伎の公演が迫っていた。というシチュエーションは面白く見たが、話がやや深みに欠けるきらいがある。認知症も歌舞伎もどうも描き方に突っ込みが足りないのだ。原田芳雄の遺作として記憶される作品か。
■ 「塔の上のラプンツェル」
シンプルな話なのにとても面白い。「美女と野獣」を見た時に正統的な物語の力強さを感じたが、この映画も同じような力強さがある。細部の表現の豊かさ、3DCGの技術の高さにも感心した。馬のマキシマスの描き方などとてもうまい。子供から大人まで楽しめ、ディズニーの長編50作目にふさわしい傑作だと思う。監督はバイロン・ハワードとネイサン・グレノ。音楽はアラン・メンケン。
■ 「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1」
つまらないわけではないが、ハリーとロンとハーマイオニーがヴォルデモートから逃げ回っているだけで、これならば1時間程度にまとめられたのでは。最終作を2作に分けたのは興行上の理由が大きいのだろう。
■ 「アンストッパブル」
暴走した貨物列車をどう止めるかというサスペンス。黒澤明原案「暴走機関車」と同じアイデアであるにしても、相変わらず冴えたトニー・スコットの映像感覚が見応えのある映画になった理由だろう。アンドレイ・コンチャロフスキー「暴走機関車」(1985年)よりずっと面白い。しかし、この最後の解決策、最初からやっていれば良かったのではないか。
■ 「マチェーテ」
「グラインドハウス」にあった偽予告編を本編化するというアイデアに遊び心があって楽しい。決してハンサムとは言えないダニー・トレホにとって初の主演作。主人公のマチェーテがマチェーテ(山刀)を振り回し、首や腕が飛ぶ血みどろのアクションはいかにもB級映画の雰囲気をむんむんと漂わせている。
映画の魅力に大いに貢献しているのはジェシカ・アルバとミシェル・ロドリゲスの女優2人で、健康的で完璧な美貌のアルバと男勝りながらセクシーなロドリゲスが対照的な魅力を発散している。ロバート・ロドリゲスは女優の趣味が良い。ロバート・デ・ニーロ、スティーブン・セガール、リンジー・ローハン共演。ついでに特殊メイクアップアーチストで監督でもあるトム・サヴィーニも出ている。
■ 「『踊る大捜査線』あの名台詞が書けたわけ」
「踊る」の名前があった方が売れるのだろうし、出版社が考えたタイトルなのだろうが、これほど中身を表していないタイトルも珍しい。脚本家・君塚良一がこれまでに出会った人々の言葉を収録した本。登場するのは大学卒業後に師事した萩本欽一をはじめ明石家さんま、いかりや長介、亀山千広などなど。中でも大将こと萩本欽一の言葉が多く、どのエピソードにも君塚良一の大将への敬愛が感じられる。
収録された言葉はどれも含蓄に富んでいる。一つ挙げれば、「本当のチャンスは小さな仕事としてやって来る」。これも大将の言った言葉である。
「どうしてチャンスを見逃してしまうんですか?」
大将は子どもに教えるように、柔らかい言葉を選んでくれた。
「……わかりやすく大きな仕事としてチャンスはやって来ないんだよ。だから、ややこしいんだ。小さな仕事の小さな成果を見た人が、次にチャンスをもたらしてくれることがあるわけね」
著者はこの言葉を裏付けるものとして出世作となったテレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」の脚本を依頼された時のエピソードを披露する。当時、著者は単発ものや深夜ドラマの脚本を書いていた。後に「ずっとあなたが好きだった」のプロデューサーを務めるスタッフがある夜、酒に酔って帰宅し、深夜ドラマを見ていたら、台詞が突飛で面白いドラマが放送されていた。プロデューサーはエンドロールに目をこらし、君塚良一の名前を見つけて、「この人に賭けてみよう」と思い、依頼したのだそうだ。
著者はドラマの脚本を書くのが夢で小さな仕事にも精いっぱいの力を尽くしていた。それがなかったら、目を留められることもなかっただろう。「チャンスは直接的には来ない。違う顔をして目の前に現れる」。日々のルーティンワークや小さな仕事について「自分にはもっと大きな仕事ができるのに」などと不平不満を言い続けていると、大きな仕事が来ることなど望み薄なのだ。
200ページほどの新書なのでスラッと読めて、しかも面白い本。「踊る」や君塚良一のファンでない人にもお勧めしたい。