映画とネットのDIARY(tDiary版)

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映画の感想一覧 2004年7月以降 2005年  2006年  2007年  2008年  2009年

2004年09月03日 [Fri]

[MOVIE] 「LOVERS」

「LOVERS」パンフレット「石井のおとうさんありがとう」とか「忍者ハットリくん The Movie」など、どこか壊れた映画を見た後ではチャン・イーモウ演出は一級品に見える。映画はこう撮るんだよ、という見本みたいに美しい場面が多い。当たり前のことだが、映画はショットの積み重ねなのであって、この映画のようにワンショット、ワンショットを計算し尽くして撮るのが本来的な在り方なのだろう。最近、それをないがしろにした映画が多すぎるのだ。

序盤にあるチャン・ツィイーの華麗な舞踊から始まって、竹林や平原で繰り広げられるアクション場面がどれもこれも素晴らしい。この美しく極めて映画的な映像で描かれる話が結局、三角関係に収斂していくことには不満もあるのだが、「十面埋伏」(四方八方に伏兵がいるという意味)というアクション映画的な原題を海外用として「LOVERS」というタイトルにしたのだから、これは恋人たちの話であっても別にかまわないわけである。たっぷり見せてくれるチャン・ツィイーの美しさと金城武のいい男ぶりに比べて、「3年間思い続けてきたのに」と恩着せがましく言うアンディ・ラウがしつこい中年おやじみたいにしか見えないのはかわいそうなのだけれど、キャラクターの心情を繊細に微妙な部分まで演出したチャン・イーモウには拍手を送りたい。身振りや言葉とは裏腹な真意をすくい取って見せる演出はそうあるものではない。その点で話が上滑りした「HERO」より僕には面白かった。

反政府組織が乱立した中国、唐の時代。その中で最大勢力の飛刀門の重要人物が遊郭の牡丹坊に潜入しているとの情報を朝廷の捕吏・金(ジン=金城武)と劉(リウ=アンディ・ラウ)がつかむ。飛刀門を殲滅するため、金は牡丹坊で客になりすます。潜入しているのは盲目の踊り子・小妹(シャオメイ=チャン・ツィイー)らしい。激しい戦いの果てに劉は小妹の捕獲に成功するが、小妹は口を割らない。劉は金に命じて小妹を牢から連れ出し、逃亡させる。信用させて飛刀門の本拠地を突き止める計画だった。北へ逃げる金と小妹に朝廷の追っ手が波状攻撃を掛けてくる。その戦いの中で金と小妹の間には愛が芽生え始める。多数の追っ手の攻撃で、竹林の中で絶体絶命の危機に陥った2人を飛刀門の首領が救出。連れてこられた本拠地で金は意外な事実を知らされる。

キネマ旬報9月上旬号の「刻み込まれたのはアニタ・ムイの不在」という記事によれば、当初、飛刀門の首領にはアニタ・ムイがキャスティングされていた。しかし、病状の悪化から1場面も出演することなく、アニタ・ムイは亡くなった。チャン・イーモウは代役を立てず、脚本を書き換えることで、映画を完成させたという(最後に「アニタ・ムイに捧げる」という献辞が出る)。だから映画の結末は本来の物語とは違うものになっている。確かにアニタ・ムイを登場させれば、クライマックス以降はもっとスペクタクルなものになっていたはずだ。朝廷と飛刀門との戦いも詳しく描かれたはずである。アクション映画としてはだから残念な結果なのだが、物語はスケールダウンしたものの、破綻はしていない。三者三様に本心を隠して進行する物語の中で、金と小妹に本当の愛が芽生えたことが悲劇を生むことになる。任務と愛情の間で心が揺れ動く金と小妹の描写がいい。大変深みのある描写であり、演技であると思う。この一直線の魅力を見せる2人に対抗するには、劉のキャラクターにもうひとひねりあった方が良かっただろう。

ワイヤーアクションを使った竹林の中での戦いは全体の白眉。この映画、アクションの撮り方に関しては他の追随を許さない完成度があると思う。一部吹き替えはあるが、踊れてアクションもできるチャン・ツィイーの魅力も十分に伝えている。飛刀門はその名の通り、短刀を投げて相手を倒す技術に長けている。CGも使って表現されるこの短刀の描写が面白い。金城武の矢の放ち方は「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラスに負けないくらいスマートで、アクションも申し分なかった。


2005年09月03日 [Sat]

B's Movie Editor

ビデオ編集ソフトウェア。今月中は1980円とのこと。B's Movie Editor・movieFOLiO機能比較一覧を見ると、バッチエンコードに対応したことと任意の時間の移動、早送り巻き戻しができることが優れている点か。逆にトランジションなどの効果の挿入はできない。パソコンで録画したテレビ番組の編集用に特化したソフトという感じ。どうせならmovieFOLiOに機能を追加して発売してくれた方が良かったような気がする。

白血球増加

体がだるく、どうもいつもの症状だなあと思いつつ病院へ行ったら、やっぱり白血球数が1万個以上あった。レントゲンは撮らなかったが、気管支炎だろうとの診断。抗生剤と気管支拡張の点滴を受ける。50分ほどかかった。抗生剤などの薬をもらって帰る。この症状、年に2回ほど必ず起きるようになったなあ。体質改善が必要か。


2006年09月03日 [Sun]

[MOVIE] 「グエムル 漢江の怪物」

「グエムル 漢江の怪物」パンフレット映画の冒頭、米軍が大量のホルムアルデヒドを下水に流す場面は韓国で2000年に実際にあった事件だそうだが、たかがホルムアルデヒドぐらいで巨大化した突然変異の怪物ができるわけはないと思う。監督のポン・ジュノはしかし、そんなことは単なる設定だよと言わんばかりに、怪物に娘をさらわれた家族の奮闘をユーモアを絡めて徹底的にエンタテインメントに描いていく。

怪獣映画の中には怪獣の出てくる場面だけが見所で、あとは延々と退屈という作品がよくあるけれど、この映画の場合、家族を描いた部分が怪物登場シーン以上に面白い。というか、おかしい。このユーモアは登場人物のキャラクターと直結していて、主人公のソン・ガンホは小さいころ頭が良かったのに成長時にタンパク質がたりなくて今のようになってしまったとか、出てくるアメリカ人科学者がなぜか斜視であったりとか、ソン・ガンホの妹と弟も駆けつけた合同葬儀の場面のドタバタとか、怪物追跡で疲れきって寝入ってしまう場面とか、頭からウィルスを採取されようとするソン・ガンホの手術の場面とか、ほとんど冗談かと思える描写が多くて実におかしい。この面白さはポン・ジュノの前作「殺人の追憶」に共通するもので、この作り方がポン・ジュノの個性なのだなと思う。こうしたユーモアがキャラクターの分厚い肉付けとなっている。それはあらゆる映画に必要なものであるにもかかわらず、書き割りみたいな類型的キャラクターが怪獣映画には多くてうんざりするのだが、基本的に映画作りのうまい監督が撮ると、やはり映画は面白くなるのだった。怪物自体に新機軸はないものの、怪物映画の快作になり得たのはそのうまさがあるからにほかならない。

怪物をゴジラのように巨大化しなかったのは賢明で、あれぐらいの大きさなら家族で対抗できると思う。巨大鮫や巨大熊が出てくる動物パニック映画と基本的には同じ作りなのである。惜しむらくはこの映画、軍隊が登場しない理由が明確には描かれない。あんな怪物、バズーカ砲を一発見舞ってしまえば、終わりだろう。

漢江から謎の怪物(グエムル)が現れ、人々をむさぼり食う。漢江のそばで売店を営むパク・ヒボン(ピョン・ヒボン)は長男のカンドゥ(ソン・ガンホ)とその娘ヒョンソ(コ・アソン)と暮らしていたが、ヒョンソが怪物にさらわれ、水の中に消える。弟のナミル(パク・ヘイル)とアーチェリーの選手でもある妹のナムジュ(ペ・ドゥナ)が犠牲者の合同葬儀に駆けつけるが、怪物は謎のウィルスの宿主だったとして韓国政府は怪物に接触した人々を隔離する。その夜、カンドゥの携帯にヒョンソから電話が入る。ヒョンソは生きていたのだ。家族4人は病院を抜け出し、武器を調達して怪物が逃げ込んだ下水道を探し始める。

グエムルが橋の欄干からゆっくりと水中に落ちる場面の動きなどは「エイリアン」を参考にしたのかと思う。同様に娘をさらわれるのも「エイリアン2」の設定を借りているのだろう。家族で怪物に対抗するのは「トレマーズ」あたりか。僕はなんとなくこれまたB級怪物映画の快作「ミミック」(1997年、ギレルモ・デル・トロ監督)も連想したが、パンフレットでポン・ジュノ、やはり「ミミック」に影響を受けていると語っていた。ペ・ドゥナの役柄はアーチェリーで銅メダルを取った選手だから、これはクライマックスにそれを利用するシーンがあるだろうと思っていたら、やはり。その使い方も工夫があって面白かった。

怪物のデザインはWETA社が担当したそうで、魚とトカゲを組み合わせたような造型はよくできている。CGのスピーディーな動きが凶暴性を感じさせて良かった。それにしてもこの怪物、1匹だけではないだろう。続編も期待できるが、有能なポン・ジュノは同じことを2度はしないような気がする。


2009年09月03日 [Thu]

config "i0"

秀丸のマクロを書いていて、文末に改行をinsertすると、なぜか次の行の文頭に全角スペースが入る。あれ、なぜだと思ったら、秀丸を自動インデントする設定にしていたから。自動インデントをやめればいいんだが、通常使う際に困る。マクロのヘルプを見てみたら、config文というのがあって、これでマクロの実行中は自動インデントをやめるように設定できた。

設定は簡単で、マクロの最初にconfig "i0"と書くだけ。ヘルプによると、i0がインデントしない、i1がする、i2が全角空白も、i3がC言語インデント、i4が全角も&C言語、とのこと。秀丸のマクロはけっこう書いているつもりだったけど、これは知らなかった。

と、ここまで書いたら、地震が。揺れは大したことなかったが、最初の短い揺れと次の長い揺れの間隔が短かったから、震源は近いのか。防災メールによると、南部平野部は震度3だった。南部山沿いは震度4だったらしい。震源は薩摩半島西方沖とのこと。


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