映画とネットのDIARY(tDiary版)

since 2004/07/15
ここは古い日記です。2013年11月からadiaryを使った新サイトに移行しました。
検索エンジンからのアクセスで、お探しのキーワードが見あたらない場合はNamazuで再検索してみてください。
映画の感想一覧 2004年7月以降 2005年  2006年  2007年  2008年  2009年

2011年11月03日 [Thu]

「MM9 invasion」

「MM9 invasion」

怪獣小説+本格SFの連作短編集「MM9」の続編。気象庁特異生物対策部(略称:気特対)という名前からして「ウルトラマン」の科特隊を思わせるが、今回はそのままウルトラマンの世界だ。少女の姿をした怪獣6号ヒメを輸送中のヘリが青い火球と衝突、墜落する。同じ頃、つくば市に住む高校生案野一騎の頭の中に「来て。あなたの助けが必要なのです」という呼びかけが聞こえるようになる。その声の通りに霞ヶ浦まで来た一騎はヒメと怪獣の戦いの場面に出くわす。声の正体はヒメに憑依した宇宙人ジェミーだった。ガス状星雲に住むジェミーはチルゾギーニャ遊星人の侵略を阻止するために地球に来たと話す。

前半は一騎とジェミーと一騎のガールフレンドとのラブコメ感覚で進む。後半は東京に襲来した宇宙怪獣とヒメとの決戦。東京スカイツリーの近辺を舞台に派手な戦闘が繰り広げられる。プロットは簡単で、スペクタクルに徹した小説。すぐにも映像化できそうな題材だが、できることならアニメではなく、実写で見せてほしいものだ。

読み終わって、「このペースなら10巻や20巻は続くのでは」と思った。山本弘のSF秘密基地BLOG:『MM9―invasion―』を読んだら、アニメ化の企画があったために26本のプロットを考えてあるそうだ。

このブログには「ヒントになったのは『三大怪獣 地球最大の決戦』と『ウルトラQ』の『宇宙指令M774』」と書いてある。「ウルトラQ」はWOWOWで放送した際に録画してあるので、「宇宙指令M774」(第21話)を見てみた。なるほど、これはプロットがよく似ている。

人間に姿を変えた宇宙人が「私の名はゼム。ルパーツ星人です。地球に怪獣ボスタングが侵入しました」と警告する。ボスタングはエイのような(というか、エイそのままの)怪獣でタンカーを襲うが、海保と自衛隊の攻撃で難なく退治される。なんと言うことはない話だが、おまけにある部分が面白い。ゼムはルパーツ星に帰るのかと思ったら、「美しい地球に住むことにします」と言うのだ。「地球に住みついた宇宙人はたくさんいます。あの人も、あの人も、あの人も…。あなたの隣にいる人も宇宙人かもしれませんよ」。

「MM9」は既に3作目「MM9 destruction」がWebミステリーズ!で連載中。

【amazon】MM9―invasion―


2011年11月19日 [Sat]

「エリート・スクワッド」

ベルリン映画祭金熊賞のブラジル映画(2007年)。2作目の「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」(2010年)と合わせてWOWOWが一挙放送した。日本では劇場未公開のまま、12月2日にDVDが発売される。監督はジョゼ・パジーリャ。

2本続けて見て断言するが、これは2作目の方が断然、傑作だ。1作目が手持ちカメラとドキュメントタッチを駆使し、警察の腐敗とリオデジャネイロにたくさんある麻薬組織の一つを潰す話だったのに対して、2作目は技術的にも進歩しており、大作映画らしい風格と堂々としたストーリー展開でまったく飽きさせない。州知事を含む政治の中枢に巨悪があるというスケールアップした設定の下、警察特殊部隊BOPE(ボッピ)隊長ナシメント中佐(ヴァグネル・モーラ)の活躍をハードなアクションとともに描き出す。社会派とエンタテインメントを融合した見事な作りと言える。

IMDBの評価は1作目が8.0、2作目が8.3。2作目はブラジルで1100万人以上の観客を動員し、「アバター」を超える大ヒットになったのだそうだ。脚本のブラウリオ・マントヴァーニは「シティ・オブ・ゴッド」(2002年)の脚本家で、1作目のタッチは確かにそれを引きずった感じがある。「シティ・オブ・ゴッド」ほど描写に過激さがないのはジョゼ・パジーリャ監督の持ち味か。ジョゼ・パジーリャは6本の映画を撮っているが、ドキュメンタリー映画が多く、劇映画はこの2本のみ。描写のリアルさはドキュメンタリー出身であることが影響しているのだろう。


2011年11月28日 [Mon]

ミステリ・ベストテン

そろそろそういう季節になった。ミステリマガジン1月号には「ミステリが読みたい!2012年版」の特集がある。海外編の1位はデイヴィッド・ゴードン「二流小説家」。これは買ったけど、読んでいない。2位のフェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」は感想に書いた通り、文体にしびれる傑作短編集だと思う。3位はトレヴェニアン「シブミ」の主人公をドン・ウィンズロウが描く「サトリ」。これも買ったまま読んでいない。ベストテンで読んでいるのはトム・ロブ・スミス「エージェント6」と合わせて2冊だけだった。昨年の「ラスト・チャイルド」に続いてポケミスとハヤカワ文庫で同時発売したソラン・ドヴェンカー「謝罪代行社」の16位は少し意外。いや、これも買ったまま読んでないんですけど。

国内編はミステリマガジンには書いてないが、米澤穂信「折れた竜骨」。これは買ってないなあと思ったら、子供が持っていた。そういえば、一緒に本屋に行って僕が買ってあげたのだった。僕を除く家族4人はみんな読んでいて、「ファンタジーで面白かった」のだそうだ。国内編で読んでいるのは、というか、昨日からやっと読み始めたばかりの高野和明「ジェノサイド」のみだった。しかし、「ジェノサイド」、ミステリではなくてSFだと思う。

「このミス」は12月10日に発売予定だが、狭義のミステリが中心となる「ミステリが読みたい」とは異なり、もっと幅広いエンタテインメント全般が入ってくるはず。スティーブン・キング「アンダー・ザ・ドーム」などはベストテン入り必至ではないか。

「二流小説家」と「サトリ」は「ジェノサイド」が終わったら読もう。「折れた竜骨」はその後か。


[管理人にメールする] [シネマ1987online]