映画とネットのDIARY(tDiary版)
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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2004年11月12日 [Fri]
■ 志水辰夫の随想〈特別版〉
「ミステリマガジン」12月号の「隔離戦線」に、池上冬樹が「裂けて海峡」のラスト改変問題について書いている。新潮文庫版のラストの1行(というか最後の言葉)のみ変えたそうなのだが、それに読者が抗議して、作者が自分のホームページで釈明しているとのこと。で、見てみた。体言止めをやめて普通の文章にしただけだが、確かに印象的なラストだったから、ファンの気持ちも分からないではない。僕がこれを読んだのはもう随分前だが、それでもこのラストの言葉は覚えていた。
で、この釈明文章の下に2つの映画の感想がある。「美しい夏キリシマ」と「ラスト・サムライ」。さらにその下には「映画のこと」というエッセイもある。シミタツは映画ファンだったのか。
どんな映画ファンなのか、ちょっと引用しておく。
「明かりのついた部屋でお茶を飲みながら、菓子をつまみながら、ときにはかみさんの相手をしながら見るのでは、感情移入のしようがないではないか。映画は絶対に映画館で見るべきものなのだ」
「スクリーンは夢のつづきであってもらいたいし、またそういう夢を見させてくれるものでありつづけてもらいたいのだ」
「いまの自分が若いとき見た映画からどれだけ多くのものを授かっているか、映画というものがなかったらいまのわたしはなかったといってけっして過言ではないのである」
2005年11月12日 [Sat]
■ 「ステップフォード・ワイフ」(DVD)
アイラ・レヴィン原作で1975年のキャサリン・ロス主演作のリメイク。世間的にはほとんど評価がない(IMDBではこれより旧作の方が評価は高い)ようだが、僕はこの映画のコメディ感覚が嫌いではない。ラストの理に落ちた感じはちょっと余計なのだが、ベット・ミドラーがおかしいし、風刺や皮肉もある。まあ、残念なことに優しくて控えめで美しいステップフォードの妻たちより、強いニコール・キッドマンの方が魅力的なのである。
1950年代風のタイトルバックで始まって、1950年代風のステップフォードという架空の街で話は進む。ベトナム戦争もなく、ウーマンリブもなかった1950年代がアメリカの理想的な時代なのだ、という設定にしておいて、それを揶揄する感じもある(ベット・ミドラーは「独立記念日なのにここには黒人もアジア系もいない」と言う)。この脚本はその揶揄に完全に成功しているわけではなく、決してうまくはないのだが、とりあえず、クスクス笑って気楽に見られる作品になっていると思う。
監督は「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」のというより、ヨーダの声をやっているフランク・オズ。好きな監督なので、もっと映画を撮ってほしいと思う。
2006年11月12日 [Sun]
■ [MOVIE] 「手紙」
「そんなことしたらあかん、大事なものやんか! そんなことしたらあかん!」。沢尻エリカ扮する白石由美子が兄からの手紙を破り捨てた主人公の武島直樹(山田孝之)に言う。ここで2人の仲が急速に接近してそれで映画は終わりになるのかと思ったら、その後にさらに本当の決着がある。罪を犯した者とその家族、犠牲者の家族の関係。原作は未読だが、そこまで描くのは大したものだと思う。しかし、全体的には主人公が漫才師を夢みることにどうしても違和感があった。山田孝之は本質的に暗いイメージなので、似合っていないのである。非常にうまく演じているのだが、似合っていず、中学の頃から笑いを目指していたとは思えない。とんとん拍子に人気者になることにはもっと違和感があるし、大企業の専務令嬢(吹石一恵)との愛と破局などは破局の場面に一工夫あるとはいえ、吹石一恵が登場した時から先が読める展開。会社の先輩である田中要次の過去と大検を目指す現在の姿などは泣かせるし、杉浦直樹の差別社会の本質を突いたセリフも泣かせる。そうした美点とあまりにもありふれた描写が混在していて、そこが評価をためらわせる。もっともっと脚本を練ることが必要だったのではないかと思う。
原作が家にあったので、冒頭部分を少し読むと、原作では一人暮らしの老婦人の殺し方に明確な殺意がある。持っていたドライバーを首に刺すのである。映画はもみ合っているうちに老婦人が抵抗するために手にしたハサミが腹に刺さって死んでしまう(これは腹ではなく、首か心臓の方が良かったと思う)。盗み目的で侵入した上での殺人だから強盗殺人罪も仕方ないが、どちらかと言えば、過失致死の線が濃厚である。映画の改変は殺人者の兄に同情を持たせるためだろう。兄が強盗に入ったのは運送会社での激務で腰を痛め、仕事ができなくなったことで弟を大学に行かせられない恐れがあったため。そうした不遇な状況の中で、殺人者の家族に冷たい世間を描いていく。
「俺みたいなヤツに言われたかねえだろうけどよ、夢があるなら、簡単に諦めんなよ」。リサイクル工場の先輩である倉田(田中要次)が言う。倉田は食堂で働く由美子が直樹にクリスマスプレゼントを贈ったことで、「最近の若いやつはやることは早いんだから」などと嫌がらせをするのだが、実は倉田自身、服役経験があり、直樹の兄の手紙を見てすべてを理解する。そして家族が誇れる父親になりたいと、大検を目指していることを告白するのだ。こういう地道な話で終わっても良かったのではないかと思う。直樹は「夢をあきらめるな」というアドバイスに従って工場をやめ、お笑いの道を友人の寺尾祐輔(尾上寛之)とともに目指すことになる。そこからの描写が安っぽい上にリアリティに欠け、映画はしばらく停滞してしまう。それが復調するのはお笑いをやめ、秋葉原の電気店で働く直樹が埼玉の倉庫へ左遷させられる場面から。倉庫を訪れた会社の会長(杉浦直樹)は「差別があるのは当然だ」と話す。「しかし、君は差別のない場所を探すんじゃない。ここで生きていくんだ」と言う杉浦直樹の言葉は力強く、直樹に言葉をかけた理由が由美子からの手紙だったことが胸を打つ。由美子自身、父親が多額の借金を背負って逃げ回った過去があるが、「私はもう逃げへん」と決意しているのである。その由美子の決意はたった一人の肉親を大事にするべきだという前記のセリフに表れている。
こうした細部のエピソードは非常にうまい部分もあるのに、ぎくしゃくした感じが映画にはつきまとい、そこがとても残念だ。生野慈朗監督はテレビのベテランディレクターで、映画としては「いこかもどろか」(1988年)「どっちもどっち」(1990年)の2本が既にある(「いこかもどろか」は公開当時、映画評論家の山田宏一が絶賛していたが、見ていない)。描写がテレビドラマ的というのは短絡だけれど、お笑いの場面はテレビドラマを超えるものではなかったと思う。ついでに言えば、沢尻エリカが途中で眼鏡を外すのもよく分からない。最後まで眼鏡の方が良かった。「電車男」でも思ったが、山田孝之は男から見ても好感度がある。玉山鉄二は「逆境ナイン」とは全然違う役柄をうまく演じていて、これまた好感が持てる。
2013年11月12日 [Tue]
■ フケ防止用シャンプー
昨年夏ごろフケが多いので家内に薬用シャンプーを買ってきてもらった。花王のメリットかなと思ったら、ライオンのオクトシャンプーだった。全然知らなかったので期待しないで使ったら、凄い。1回でかなり収まった。
ライオンのホームページによると、「フケ・かゆみは、頭皮から分泌される皮脂の酸化や、皮脂を食べる常在菌が繁殖することが主な原因です。『オクトピロックス』の抗菌・抗酸化作用が地肌のすみずみまで効果的に働き、フケ・かゆみを抑制します」とのこと。常在菌がいたのか。なるほど。これに対してメリットの方は花王のホームページによると、弱酸性で地肌のケアを重視した製品のようだ。細菌が繁殖している場合、即効性はあるんだろうか。
オクトはamazonのレビュー読むと、効果がなかったという人もいるが、僕にはピッタリだったようだ。しばらく使ってみよう。