映画とネットのDIARY(tDiary版)

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2006年05月02日 [Tue]

FEATHER2006 Perfect Edition

買おうかと考慮中。僕が使っているのはMTVX2004だが、リモコンは本来的にはFEATHER2006用のもの。Perfect Editionの場合、WMVやMPEG4、DivXへの変換ができるのが魅力だ。といっても変換ソフトは既にあるのですがね。

ただ、カノープス製品で不安なのは、アップグレードした途端、テレビが見られなくなるんじゃないかということ。FEATHER2004でもダメな場合があったからなあ。とりあえず、赴任先のパソコンをネットにつないでからじゃないと、不安でしょうがない。フレッツ光プレミアムの工事は9日。買うにしてもあと1週間先か。


2006年05月06日 [Sat]

キネマ旬報 ベストテン&興行データ全史 1951-2005

キネ旬もよく同じような本を出すなあと思ったら、本ではなくDVDだった。1951年から2000年までのベストテン号をスキャンして全作品データや業界ニュース、ベストテン選評などを収録したもの。持っててもいいかと思うが、価格は31,500円もする。この価格で検索機能がないのはつらいところ。

1946年から1979年までのベストテン全集は持っているし、それ以降の決算号は保存してるのであまり必要性は感じない。ただ、DVDで持ってると、劣化しないのはメリット。まあ、あまり売れないだろうなあ。


2006年05月07日 [Sun]

BB.excite接続サービス

あさってがフレッツ光プレミアムの工事。たぶん@niftyの子IDが使えるはずだが、念のために入っておいた。月額500円ならなんてことはない。メールアドレスもホームページスペースもない接続だけのサービスだが、それで十分。当初は固定IPが無料の「さくらのフレッツ接続」を使おうかと思っていたが、光プレミアムには対応していなかった。残念。

[MOVIE] 「Limit of Love 海猿」

「Limit of Love 海猿」チラシ握り合う手と手がモチーフか。冒頭、墜落した飛行機の乗客を救出する場面で、主人公の仙崎(伊藤英明)は一人の手を放してしまう。それが仙崎に心の傷を負わせて、環菜(加藤あい)との結婚も延期してしまうのだが、映画はここを驚くほど簡単に描いている。手を放さなければならなかった理由とか、状況を克明に描く必要があったと思う。例えば、レニー・ハーリン「クリフハンガー」では冒頭にあるシルベスター・スタローンが友人を山で亡くすシーンが主人公のその後の再生に説得力を持たせていたように、こういう描写は冒険小説的な映画では常套的なものなのである。ある事件を通じて主人公がそれを克服していくのが普通なのだ。死地から生還する主人公。監督の羽住英一郎にはそういう視点はなかったようだ。いや、あったのかもしれないが、描写が不足している。

あるいは仙崎たちがフェリーから脱出するために30メートルを潜水で移動するシーンを描かなかったり、脱出の前に環菜に長々とプロポーズしたり、フェリーが沈没するまでの時間の経過が感じられなかったりするところなどが、映画が傑作にならなかった要因のように思う。全体的に面白い映画と思ったものの、話がプロット以上のものではなく、密度が薄く感じる。沈没するフェリーのVFXなどビジュアル的には文句のない映画になっているのに惜しいと思う。

鹿児島沖3キロで乗客620人、車両195台を乗せたフェリーが砂利運搬船と衝突、座礁する。フェリーには亀裂が生じ、浸水する。乗客を避難させる時間は4時間。仙崎たち海上保安官は必死で乗客を避難誘導する。避難の途中で船の売店で働く妊婦の本間恵(大塚寧々)が傷を負い、仙崎は手当てをする。恵の案内で脱出しようとした仙崎は車庫で豪華な車に乗っている海老原真一(吹越満)を見つける。海老原を連れて脱出しようとしたところで爆発が起き、バディの吉岡(佐藤隆太)とともに仙崎ら4人は船に閉じこめられてしまう。下の階は浸水、上の階は火災の絶体絶命的な状況。海上保安庁の下川(時任三郎)は30メートル潜水して脱出するよう指示を出す。仙崎たちはそれに成功するが、無線は故障し、船の爆発が相次いだことから、下川は他の海上保安官たちに船からの撤収を命じる。

「海猿」は1作目をDVDで見た後、テレビドラマも何回か見た。特に思い入れはないけれども、嫌いな話ではない。映画は人間関係を承知のこととしてあまり深く描いていないが、それがキャラクターの深みを減じることにもなっている。この映画を独立して見る観客のためには仙崎のキャラクターをもっと描き込む必要があったように思う。冒頭の飛行機事故の場面の描写の薄さは環菜との結婚を延期する仙崎の心情を分かりにくいものにしている。閉じこめられたのがたったの4人というのは近々リメイクが公開される「ポセイドン・アドベンチャー」などに比べてハンディがあるように思えるが、そこは羽住英一郎、恵と海老原のキャラクターを徐々に描くことで補っている。このあたりはうまいと思うのだけれど、細部にはやはり不十分な描写があることは否めない。乗客の避難完了までに4時間という設定は映画を見る前にはいくらなんでものんびりしていてダメなのではないかと思ったが、画面を見る限りでは違和感はない。ただし、時間の経過が感じられないのは先に述べた通り。東京にいる下川がすぐに鹿児島に駆けつけたりするのも唐突に感じる。東京から鹿児島までどんなに急いでも1時間半、空港から現場までさらに1時間近くはかかるだろう(ヘリを使えば速いか)。

この映画、全国的に大ヒットしているようだ。大衆性は十分にあり、韓国映画「タイフーン」あたりと比べても画面の迫力は負けていない。それだけに緻密さに欠ける部分があることが惜しまれる。


2006年05月10日 [Wed]

子ID使えず

フレッツ光プレミアムの工事終了。さっそくスタートアップツールで接続設定。@niftyの子IDを入れてみたら、つながらなかった。親IDではつながったが、自宅との同時利用はできないので、BB.ExciteのIDを使用。取っておいて良かった。速度を測ってみると、フレッツスクエアには78Mbpsほど。インターネットは20Mbps足らず。自宅のBフレッツより遅いが、いろいろ設定をいじれば、速くなるかもしれない。まあ、これぐらい出ていれば、不満はない。

光プレミアムにはセキュリティツールが付属している。ウィルスバスターのNTT西日本版のようだが、既にバスターがインストールしてあるので、使えない。バスターの期限が切れたら(来年9月だが)使おう。

その後、2chのスレッドを参考にRWINなどを調整。正確な速度が測れると定評のあるStudio Radishの速度測定システム Radish Networkspeed Testingで計測したら下り55.84Mbps、上り20.13Mbpsとなった。


2006年05月11日 [Thu]

リモコンでSleipnir

Feather2006 Perfect Editionをダウンロードで購入。MTVX2004が動かなくなるんじゃないかと心配したが、大丈夫だった。タスクバーは最初、邪魔に思えたが、テレビやDVD、CDの画面を入れておくと便利。クリックで起動できる。

ちょっと不満なのはFeather2004では矢印キーにチャンネルや音量の操作が割り当てられていたのに、2006では割り当てられていないこと。これはメニューの操作に使うためになくなったのだろう。リモコンの操作も少し変わった。

そのリモコンにSleipnirのショートカットキーをいくつか割り当てた。とりあえず戻る、進むとリンクをたどるタブキー、Shift+タブキー、上下のスクロールを登録。これでリモコンで最小限の操作はできる。タブの新規作成とかタブの選択とかも、キーを割り当てればできるだろう。ま、一番いいのはキーボード自体を無線のものに変えることかもしれない。


2006年05月12日 [Fri]

ノートのキーボード

自宅に帰ってノートパソコンで日記を更新しようとしたら、キーボードの入力が変になっている。Iのキーを押すと、5と表示されるのだ。あれれ。ホコリでもたまったのかと、掃除機を使おうとしたら、現在、うちの掃除機は故障しているのだった。とりあえず、再起動してもダメ。キーボードをいろいろ試してみると、Uは4、Oは6、0は/と入力される(Fnキーを押しながら入力すると、正常に入力される)。

よく見ると、ノートのキーの下にそういう数字や記号が書いてある。なるほど。これは何か別のキーを押すと、テンキー代わりに使えるようにしてあるわけか。というわけでNumLockキーを押してみたら、正常に戻った。子供が間違って押してしまったのだろう。


2006年05月13日 [Sat]

[MOVIE] 「陽気なギャングが地球を回す」

「陽気なギャングが地球を回す」パンフレット伊坂幸太郎の原作を読んだ時に、映画に向いた題材だなと思った(2004年6月19日の日記に書いている)。話の軽さとキャラクターの面白さが際だっていたからだ。ただ、面白く読めた作品ではあるが、それほど感心する部分はなかった。僕は原作の熱心なファンではない。だから、原作と映画がどう違おうが、気にしない。

前田哲監督は予算不足が目についた前作「棒たおし!」(2003年)よりは潤沢な予算で軽い映画に仕上げている。オープニングのカット割りや観覧車への驚異的なズームアップなどはなかなかよくできていて、これは面白い作品なのではと思わせるが、その後は軽いなりにやや1本調子になった感がある。1時間32分という上映時間は軽い映画にはぴったりなのだが、それでもこのテンポでは長く感じた。CGを使ったカーチェイスや場面転換の漫画的な感じなど画面としては成功しているのに緩急自在の演出になっていないのは残念。ストーリーもあっさりした感じ。こうしたコンゲーム的なストーリーでは観客をすっかりだますような仕掛けが欲しくなってくるのである。

それぞれに特殊な能力を持つ4人の男女が銀行強盗の現場で出会う。成瀬(大沢たかお)は人の嘘を見抜き、響野(佐藤浩市)は演説、雪子(鈴木京香)は正確な体内時計、久遠(松田翔太)は天才的なスリの能力を持っていた。4人は3カ月後、自分たちで銀行強盗を計画する。まんまと4000万円をせしめるが、逃げる途中、覆面のグループから盗んだ金を横取りされる。4人の中に裏切り者がいたらしい。と、ミステリなのでこれ以上のストーリーは書けないが、4人は横取りグループを捕まえるためにもう一度、銀行強盗を計画することになる。

ストーリーは軽くてもキャラクターはそれなりに描き込む必要があるだろう。この映画に不足しているのはそうしたキャラクターの深みで、軽いタッチだからこそ、そういう部分が必要と思う。画面の方に力を入れすぎて、それが疎かになったのかもしれない。人工的な画面の作りもそれに拍車を掛けた感じがある。軽いだけでは満足できないものなのである。「棒たおし!」でも感じたことだけれど、どうも、前田哲監督には意欲を映画化していく段階での技術がやや不足しているように見受けられる。「楽しい映画を作ろう」という意気込みは分かるが、十分な成果につながっていないのだ。見かけだけに終わっている、というのは言い過ぎか。

出演者はそれぞれに良く、大沢たかおも佐藤浩市も鈴木京香も軽く軽く演じている。佐藤浩市は演技の懐の深い役者だなと思わせるし、鈴木京香の色っぽさも相変わらず良かった。松田翔太は伊坂幸太郎に顔の輪郭が似ていて面白い。


2006年05月15日 [Mon]

相互リンク11件追加

ネットにつながっていなかった間に相互リンク依頼のメールが11件来ていた。いつまでも義理を欠いているわけにはいかないので更新作業をした。最近の依頼メールはちゃんと紹介文も付けてあるので作業自体はたいしたことはない。

しかし、11件のうち映画関連は2件。いったいうちのページに相互リンク依頼のメールを出す人はどういう考えなのだろう。相互リンクって、どこにでも増やせばいいというものでもないと思うんだけどなあ。同じジャンルのページにリンクしてもらった方がアクセスアップの効果はあると思う。


2006年05月16日 [Tue]

ソニー、Blu-rayドライブ搭載「VAIO Type R」

Blu-rayにはまだあまり興味はないが、この記事でおっと思ったのは「地上/BS/110度CSデジタルチューナとアナログチューナを搭載」という部分。普通のキャプチャボードでは地上波だけでBSもCSも受信できない。これ、単体で売ってくれませんかね。BSを受信できない限り、パソコンのキャプチャボードよりはDVDレコーダーを買った方がまし、ということになるのではないか。まあ、テレビとDVDレコーダーを買うよりはボード1枚の方が安いんですがね。

それにしても、この記事を読むと、Blu-rayで地上デジタルを録画しても、ムーブの際にいろいろな制限があるようだ。まだ買うのは早いか(買わないけど)。


2006年05月20日 [Sat]

マルチカードリーダー/ライター

19種類対応のやつを買う。ロアスという会社のCRW-11M24BK。このページ、SleipnirやIEでアクセスすると、セキュリティ警告のダイアログが出てフリーズする。というか、何度もダイアログのOKボタンを押さなければならない。ソースを見ると、ものすごいことになっている。画像の数だけダイアログを押す必要があるようだ。凶悪なページだな。

miniSDがそのまま使えるのは便利。スロットは4つで、USBで接続すると、マイコンピュータには4つのリムーバブルディスクが表示される。普段使うのは携帯のminiSD、デジカメのコンパクトフラッシュ、SD、スマートメディア、メモリースティックぐらいか。


2006年05月21日 [Sun]

リサイズ超簡単!Pro

Vectorのメールで紹介されていた。デジカメや携帯で撮影した画像を小さくするのに、いちいちPhotoshopだのFireworksだのを起動するのは少しおおげさ。このソフトは名前通り簡単にサイズを小さくできる。きれいに小さくしてくれるのが利点。これにトリミングしたり、明るさを変えたりする機能を付けると、理想的ではあるが、それだと初心者には難しくなるのかもしれない。シンプルに徹しているのがいい。

[MOVIE] 「ブロークバック・マウンテン」

「ブロークバック・マウンテン」パンフレットようやく見た。主演の男優2人にはまったく魅力を感じなかった。そうなると、女優で見るしかない。ジャック(ジェイク・ギレンホール)と性急な結婚をするラリーン(アン・ハサウェイ)は「プリティ・プリンセス」などよりはいいが、いつものハサウェイの演技以上のものはない。イニスの妻アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)は中盤から終盤にかけて屹立してくる。魚かごのエピソードは切なく悲しい。アカデミー助演女優賞にノミネートされたのはこの演技があったからだろう。僕にとってはウィリアムズの演技を見られたことだけが、この映画の価値だった。

ブロークバック・マウンテンでイニスとジャックが結ばれるくだりの説得力の不足がいかんともしがたいと思う。ジャックは元々、ゲイだろうと思わせるが、イニスがジャックの誘いに応じたのがよく分からない。しかし、それ以上にこの映画は時の流れの重みや取り返しの付かない失敗、自分の思う道を進めなかった男の強い悔恨の思いをもっともっと描くべきだったように思う。そうした部分が薄いので、なんだか淡々とした映画に終わってしまう。淡々とした中にも主人公の強い思いを感じさせる映画は多いのだけれど、この映画はそこまで行っていないのだ。ラリー・マクマートリーは「ラスト・ショー」(1971年)の脚本家だが、あの傑作に比べてこの映画の叙情性の薄さ、人生への厳しい視点のなさなどは大きく劣っているように思う。男2人のラブストーリーをそれ以上のものには描けなかったアン・リーがアカデミー監督賞に値するとは思わない。うじうじした甘い男の映画でしかなく、ゲイの人は怒るべきではないか。どうひいき目に見ても普通の作品である。

ここまで書いてパンフレットを読んだ。原作を翻訳した米塚真治の文章が原作と映画の違いを論じて非常に分かりやすい。少し引用しよう。

 原作の出だしは、映画の出だしから二十数年後。長女が結婚した、さらにその後のことだ。職を失い、数時間後にはトレーラーハウスを引き払わないといけない状況。あの二枚のシャツも、隙間風に凍えているように見える。そんな状況でイニスの脳裏に去来する回想が、原作の中身だ。

まさに僕が映画に感じた不満を払拭させるようなオープニング。映画はこのように始まらなければならなかったのだと思う。人生に敗れた男の悔恨に満ちた物語。しかもこの男は自分の同性愛嗜好を認めていない。そういう視点がアン・リーには、というか脚本のラリー・マクマートリーにはなかったのではないか。だからこの程度の甘い物語にしかならないのだ。凡庸な脚本を凡庸な監督が映画化した作品。僕にはそう思える。

ヒース・レジャーは老けのメイクがまったくできていず、時の流れを感じさせない。鈍感な男をリアルに演じたのなら大したものだが、そうではないだろう。いっそのこと、ブロークバック・マウンテンの場面はもっと若い俳優に演じさせれば良かったのではないかと思う。


2006年05月23日 [Tue]

ウォークマン携帯、防水WINも──KDDI夏モデル7機種登場

新しい携帯が出ると、買い換えたくなるが、今回はW41CAの後継は出なかった。残念。と思ったが、G'zOne W42CAは後継的な位置づけでもある。G'zOneをWIN化したとのコンセプトだけれど、W41CAを防水化したとも言える。ほとんどの機能は入っている。

ないのはFeliCaと大きな液晶のみ。液晶は2.4インチでもかまわないし、FeliCaは地方ではまだあまり使えない。いっそこれを買ってもいいか。それとも本当の後継機種が出るまで待つか(出るかどうかは分からないけど)。インドアな人間にとって防水機能なんてまるで不要なのが悩ましいところ。


2006年05月27日 [Sat]

[MOVIE] 「嫌われ松子の一生」

「嫌われ松子の一生」チラシ「人生って何? 人生って何?」と始まった歌詞が「愛は人生、愛は人生」と変わっていく。ひどい男を殺して刑務所に入った川尻松子(中谷美紀)が自分を愛してくれた平凡な理容師(荒川良々)の元へ行こうと決意する心情の変化をたどる場面に合わせて流れるこの「What Is A Life」(AIと及川リンのコラボ)がもっともミュージカルらしい歌だと思う。男の元で意外な事実を知った中谷美紀の泣き笑いの表情もいい。パンフレットによれば、監督の中島哲也は最初に場面に合わせた歌を各アーティストに頼んだそうだ。歌と踊りで主人公の心情を表現するというミュージカルの根本的な在り方がこの映画にはある。

いや心情どころか、ドラマの展開までを盛り込んでおり、不倫した男との幸せを綴り、ディズニー映画の音楽を思わせる「Happy Wednesday」も秀逸な歌であり、まるで50年代のハリウッド映画のミュージカルのようにハッピーな感覚にあふれた秀逸なシーンだ。歌にドラマを肩代わりさせることが、物語の簡潔な描き方にもなっている。日本映画としては本当に珍しくミュージカルとして成功した映画と言える。同時に昭和22年生まれという松子の人生に合わせてその時々のヒット曲を盛り込んでいるのがもう、ほとんど歌謡映画。音楽がこれほど重要な位置を占める映画というのもまた日本映画としては珍しい。極彩色の場面とCGを盛り込んだ独特の映像とテンポの速い展開も併せて、中島哲也のオリジナリティは革新的であり、海外に十分通用する技術だと思う。

そもそも山田宗樹の悲惨な原作の中にユーモアを感じたという中島哲也のセンスが非凡なものなのだろう。映画は河原で撲殺された松子の部屋を掃除するよう父親(香川照之)から言われた松子の甥の笙(瑛太)が松子の一生をたどる形式。松子は小学校の教師をしていたが、修学旅行先の旅館で盗みを働いた男子生徒をかばった(というよりは早く問題を終わらせたかった)ために誤解が誤解を呼んで教師を辞職させられる。家では病弱な妹久美(市川実日子)ばかりをかわいがる父親(柄本明)に愛されようと頑張ってきたが、家を出ることになる。そこからは転落の一途。作家志望の男(宮藤官九郎)と同棲するが、さんざん暴力をふるった挙げ句、男は自殺。ソープに勤め、ひも男(武田真治)を殺し、刑務所に服役することになる。

悲惨な話を明るく描いたとはいっても、根底にあるのは強いエモーション。泥臭く言えば、浪花節的な部分である。ダメ男ばかりを愛してしまう松子の心情は徐々に浮かび上がってくる。一人よりはまし。松子がダメな男であっても次々に男に惹かれるのは家族から見捨てられ、孤独に耐えられなかったからだろう。男に尽くしても尽くしてもひどい目に遭わされる松子の姿は神にたとえられ、「人の価値というのは人に何をしてもらったかじゃなくて、人に何をしてあげたかだよね」というセリフが生きてくる。笑いと涙、ドライとウェットを混在させた作りには感心させられる。同じく不幸な女を描いても、悲惨に終始したラース・フォン・トリアー「ダンサー・イン・ザ・ダーク」よりは随分洗練されていると思う。

中島哲也の前作「下妻物語」を彷彿させるのは刑務所の中で知り合っためぐみ(黒沢あすか)との関係で、AVに出ためぐみがレストランで泣き崩れるシーンなどは失恋したイチコ(土屋アンナ)の姿を思い起こさせた。黒沢あすか、いい感じである。


2006年05月28日 [Sun]

[MOVIE] 「クラッシュ」

「クラッシュ」パンフレット交通事故で始まり交通事故で終わる映画だが、タイトルの「クラッシュ」は人と人との衝突を意味しているようだ。毎日毎日、苛立ちながら暮らしている白人、黒人、ペルシャ人、中国人、メキシコ人たちのエピソードをポール・ハギス監督はロサンゼルスの縮図として描き、わずかな前進と希望を感動的に提示して映画を終える。これがロサンゼルスの映画人に支持されないはずはなく、アカデミー作品賞も納得できる。

ハギスはパンフレットで「この映画のテーマは人種や階級についてではなく、見知らぬ人間への恐怖についてである」と語っている。見知らぬ他人への恐怖が銃犯罪を生む。「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年)でマイケル・ムーアが示した結論をフィクションとして描いた作品と言えるだろう。人種差別、社会的偏見を含めた相互無理解が悲劇を生んでいく。だから悲劇から一転して幸福感にあふれる透明マントの奇跡のようなエピソードは天使のいない街に天使が舞い降りた瞬間を描いたものとして胸を打つ。厳しさに足りない面はあるし、人間関係が接近しすぎていくところなどいくつかの弱点も見受けられるが、ハギスの脚本は優れたものだと思う。何より希望を捨てていないところがいい。ラスト、ロサンゼルスに降る雪は街の浄化を意味しているのだろうか。

映画には多数の人物が登場する。麻薬中毒の母親を持つ黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と同僚の女性刑事リア(ジェニファー・エスポジット)、若い黒人の2人組アンソニー(リュダクリス)とピーター(ラレンツ・テイト)、検事のリック(ブレンダン・フレイザー)とジーン(サンドラ・ロック)夫婦、その家の鍵の修理に来たダニエル(マイケル・ペニャ)、ペルシャ人の雑貨店経営者ファハド(バハース・スーメク)、白人警官ライアン(マット・ディロン)とハンセン(ライアン・フィリップ)、テレビディレクターのキャメロン(テレンス・ハワード)とクリスティン(サンディ・ニュートン)の夫婦。序盤はこうしたキャラクターのエピソードがばらばらに描かれていき、ちょっと飽きたかなと思い始めたところで多重衝突事故が起こる。事故現場に駆けつけたライアンの行動がまず最初のエモーショナルな場面。それまでの描写で黒人差別主義者のように思われたライアンは転倒した車の中から黒人女性を必死に助けようとする。このライアンに限らず、ハギスの脚本は単純に人間を善悪に色分けしていない。だから話が真実味を帯びてくる。

俳優のビリングのトップはサンドラ・ロックだが、このいつも苛立ち、差別的発言を公言する女性のキャラクターは終盤にある出来事で変化するという場面が用意されていながらも、決して主人公ではない。貧困や差別や家庭の事情で登場人物たちにはそれぞれに苦悩があるが、中でもドン・チードルの役柄は他人の理解どころか、母親にさえ理解されていない点で悲痛である。しかも弟を助けようとした行為が少しも報われない。この弟が実は、という部分が終盤に明らかになる。そうした人間関係の接近は先に書いたように弱点ではあるのだけれど、ハギスはそれを承知の上でフィクションを構築したのだろう。伝統的なハリウッド映画というのはそういうものである。観客に現実の厳しさだけを見せるよりはいい気分で映画館を出させる。ハギスはハリウッド映画の範疇にとどまりながら、良心的な作品を作った。志の高さがこの映画の美点なのだと思う。


2006年05月31日 [Wed]

アット・ホームページディスク容量に関する仕様変更のお知らせ

従来は5MBから10MB単位ぐらいで細かく料金が設定されていたが、一律300MBで525円になる。得した気分だが、考えてみれば、年間6000円も出せば、レンタルサーバーが借りられる。まだ安くしてもいいぞ、nifty。ちなみにうちのホームページの残り容量は7.5MBほど。これ使い切ったら、さくらに移転しようかと思っていたが、月額525円ならば、niftyのままでもいいか、と思う。


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