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2011年08月15日 [Mon]

「ジェニファーズ・ボディ」

アマンダ・セイフライドとミーガン・フォックス共演のホラー。メガネっ子のセイフライドと妖艶なフォックスは幼い頃からの親友同士。ある日、酒場に来たバンドに付いていったフォックスが男を食らう化け物になってしまい、セイフライドのボーイフレンドに魔の手が伸びる。

美貌ではフォックスに完璧に負けていても、好感度はセイフライドが上だ。目新しくはないにしても2人の魅力は十分に堪能でき、悪くないホラーと思ったが、IMDBの評価は5.2。セリフに品のないのが原因か。それにしても、フォックスはこういう役柄を選んでいくのは得策ではないと思う。美貌だけで演技の才能に欠けるのかもしれない。監督は「イーオン・フラックス」のカリン・サクマ。脚本は「JUNO/ジュノ」でアカデミー脚本賞を受賞したディアブロ・コーディ。

「恐怖」

頭皮を剥ぎ、頭蓋骨を切り開いて脳の側頭葉シルビウス裂に電極を差し込む。そこで被験者は何を見るのか。その興味に突き動かされた脳科学研究者の太田悦子(片平なぎさ)とそれに巻き込まれる姉妹(中村ゆり、藤井美菜)を巡るホラー。

「リング」の脚本家・高橋洋の監督作品でプロデューサー一瀬隆重による「Jホラーシアター」レーベルの最終作。ここで描かれるのは黒沢清「回路」と同種の恐怖だ。「回路」の場合は幽霊が現実世界を侵蝕してきたが、ここでは異界そのものが侵蝕してくる。ただし、スケールは「回路」の方が大きい。この映画で侵蝕の対象となるのは死の世界に気づいた(興味を持った)人間だけだからだ。「回路」が破滅SFに発展していったのに対して、この映画がホラーの域にとどまっているのはこのスケール感の違いによる。だからダメだと言っているわけではない。ホラーというのはそういう狭い範囲を描くものだからだ。恐怖の対象の描き方があいまいなので、あまり怖くはないのだが、こういう描き方嫌いではない。怪異の正体を見せた途端にシラケる映画よりはよほど良い。

「クリスティーン」

スティーブン・キング原作を映画化した1983年の作品。これ、原作を持っていたが、読まないままどこかに行ってしまった。車が人を襲うという無理のある設定ながら、意外によくできているのは監督がジョン・カーペンターだからか。IMDBでキャスト(キース・ゴードン、ジョン・ストックウェルら)を調べると、さすが28年もたっているのでどの俳優も風貌がすっかり変わっていた。

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」

脚本は全然うまくない。むしろ破綻していると思う(昔の香港映画によくあった行き当たりばったりのクライマックスを思い出した)のだが、ジョニー・トーはスタイリッシュな銃撃描写で有無を言わせない。この映画が優れているのはこの描写の力に尽きる。通行人の傘の花が開く雨の中の描写や、アンソニー・ウォンら3人組の殺し屋が組織に襲われる紙吹雪が舞う場面など、印象的なシーンがたくさんある。ただ、ジョニー・トーがもう一段階上のレベルになるには、やはりしっかりした脚本が必要だと思う。昨年のキネ旬ベストテン6位。

「ハングオーバー―!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

「冷たい雨…」とは違って、脚本がとてもよくできている。ラスベガスにバチェラー・パーティーに行った4人の男たちが強烈な二日酔いで前夜の記憶をなくして目が覚める。ホテルの部屋はメチャメチャに散らかり、虎や鶏がいて、赤ん坊までいた。花婿になるはずだったダグは行方不明になっている。消えた友人を探すため、ホテルに預けたベンツで出かけようとすると、ホテルマンはパトカーを持ってくる。いったい昨夜、何が起こったのか、自分たちは何をしてしまったのか。3人は必死で昨夜の足取りをたどっていく。

酒飲みなら一度ぐらいは体験があるであろう悪夢のようなシチュエーションで繰り広げられるスラップスティック。近年のアメリカのコメディで大笑いした記憶はあまりないが、これはおかしかった。だいたいアメリカのコメディ映画は日本ではヒットしないので、これも危うくDVDスルーになるところだったのだそうだ。

2009年のゴールデングローブ賞でコメディ・ミュージカル部門の作品賞を受賞した。IMDBの評価は7.9。監督は「スタスキー&ハッチ」のトッド・フィリップス、脚本はジョン・ルーカスとスコット・ムーア。続編「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」もそこそこ評判良いようだ。


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