映画とネットのDIARY(tDiary版)
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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2004年08月09日 [Mon]
■ [MOVIE]「スチームボーイ」
19世紀のイギリスを舞台にした大友克洋監督の少年冒険アニメ。超高圧蒸気を注入したエネルギー源スチームボールを巡り、オハラ財団とイギリス政府と発明一家の少年レイが争奪戦を繰り広げる。元々は大友監督のオムニバス映画「MEMORIES」(1995年)の一編「大砲の街」から構想が始まったそうで、「大砲の街」で描かれたような19世紀の技術で蒸気機関を使った凝った兵器が多数登場する。「科学は人々の幸福のためにある」というシンプルなテーマを少年の正義感に絡めて描く構成は分かりやすく、ちょっと長すぎる2時間6分の上映時間を除けば、少年向けのアニメとして大変良い出来である。善と思っていたものが悪だと分かるひねりは面白く、財団の勝ち気な娘スカーレット(スカーレット・オハラ!)などキャラクターにも凝っている。
ただ、科学の意義を巡って対立するレイの祖父と父親の関係に収まってしまうストーリーには少し不満が残る。「スター・ウォーズ」を持ち出すまでもなく、父親が悪役という映画はたくさんあるにせよ、やはり外部に強力な敵を設定した方がすっきりしたのではないかと思う。事故でやけどを負った父親が機械の義手や仮面を付けているあたり、その「スター・ウォーズ」の影響なのかもしれない。
1866年のイギリス、マンチェスター。紡績工場で働くレイの父親と祖父はアメリカのオハラ財団で蒸気機関の研究をしている。ある日、レイの家に祖父から荷物が届く。入っていたのは発明のメモと金属製のボール。そこへオハラ財団の男2人が訪れ、ボールを渡すよう要求する。「財団に渡すな」との手紙を読んでいたレイは抵抗し、当の祖父も帰ってくる。ボールをスチーブンスンに届けるよう言われたレイは自作の蒸気一輪車で逃げ出し、財団の歯車メカが後を追う。線路で列車と歯車メカに挟まれたレイを助けたのは列車に乗り合わせたスチーブンスンと助手のデヴィッドだった。しかし、財団は飛行船で列車の屋根を引き裂き、レイをボールとともに連れ去る。レイが連れてこられたのはロンドンの万博会場近くにあるオハラ財団のパビリオン。そこでレイは死んだと聞かされた父親に再会する。父親は研究中の事故で大けがをして祖父と意見が対立するようになった。ボールの正体は超高圧のエネルギー源スチームボールで、パビリオンはそのエネルギーで動くスチーム城だった。父親に協力するようになったレイは祖父が閉じこめられているのを知り、スチームボールを奪ってスチーブンスンに届けるが、スチーブンスンもまた、イギリス政府の下で蒸気機関の兵器を開発していた。
序盤の一難去ってまた一難というアクションの呼吸が良く、凝ったメカデザインにも見所がある。クライマックスはイギリス軍と財団の新兵器の戦いで、蒸気兵や飛行兵、蒸気戦車など蒸気機関を使った複雑なメカが次から次へと登場し、CGを絡めてスペクタクルな展開を見せる。こうしたメカニックな面白さと同時に科学技術を戦争のために使ってはいけないという主張も明確になっているが、例えば、宮崎駿「未来少年コナン」で描かれる一直線の正義感ほど力強くはない。これは作画と同様に善悪併せ持つ複雑なキャラクター設定から来ることだと思う。外部に敵を設定した方がいいというのはこのあたりを見て感じたことで、ジュブナイルであることを考えれば、キャラクターは単純化しても良かったのではないか。
主人公レイの声を演じるのは鈴木杏。ちょっと心配したが、不自然さはなかった。大友監督はこの映画を「小学3~5年生の男の子に見て欲しい」と言っている。うちの小学3年生の長男を誘ったら、「行かない」と一言。小学5年生の長女によると、学校では「あの絵はダサイ」ということになっているそうだ。今の小学生、まるで分かっちゃいないのである。
■ お隣さんたち
気になるので同じサーバーにいる方々のサイトをチェックしてみた。さくらのプレミアムプランではだいたい40人ぐらいが一つのサーバーを共有するらしい。僕が借りているサーバーはtelnetから数えてみたら、34人だった(ls -l /home | grep -c users)。それを全部見てみたが、10カ所ぐらいはまだ準備中。アダルトではないけれど、それに近いサイトが2つ。企業が2つ、残りは個人のサイトだった。これからオープンするサイトが気になるところだが、今は快適な環境と言える。この日記を含めてCGIを一番設置しているのはたぶん僕でしょう。まだアクセスが少ないのでそれほどの負荷にはなっていないと思いますが。
2005年08月09日 [Tue]
■ 「海猿2」エキストラ募集
宮崎と鹿児島で今月下旬からロケするとのこと。正式タイトルは「海猿 The Next Stage」になる。必要なエキストラは500人。カーフェリーを使うらしい。エキストラのほか、ボランティアスタッフも募集。ロケにはどういう縁があったのでしょうかね。
■ 沖縄最終日
午前6時過ぎに起床。7時から昨日と同じく「谷茶ベイ」で朝食。バイキングの中身が少し変わったのに感心。こういうリゾートホテルの場合、一泊だけの人は少ないだろうから、ホテル側も配慮しているのだろう。チェックアウトの準備をいろいろした後、9時過ぎから屋内プールで1時間ほど泳ぐ。ここのプールは水深1.2メートルから1.5メートル。子供用に浅い部分もあるが、幼児は屋外プールの方が安心かも。
2泊してみて感じたのは大きなホテルだけど、大きいだけにサービスが行き届いていない面もあること。ホテルが満室だったわけではないけれど、こういう大きいホテルの場合、維持費も大変だろうし、割り切って泊まることが必要なのだろう。ランク的には昨年泊まった残波岬ロイヤルホテルの方が下らしいが、残波岬ロイヤルホテルは新しいし、店とかレストランとかにも高級感があったように思う。
11時前にチェックアウトして、どこに行こうか迷う。とりあえず国道58号線を南下し、家内の発案で「東南植物楽園」に行くことにする。家内は20年ほど前に行ったことがあるそうだ。20分ほどで到着。名前からすると、植物園のようだが、いろいろイベントをやっているし、椰子の木登り=写真=とか子ども向けの遊具があって、子どもはここが一番面白かった様子。コイにえさをやったり、簡単な遊具で遊んだり、魚釣り(ほとんど入れ食い状態)をした後、レストランで昼食。レストランは園内に1軒しかないので仕方なく入ったら、バイキング。料理は「谷茶ベイ」より随分落ちると感じた。価格的にはまずまずだったけど。
午後から園の反対側に行き、親子昆虫大学(珍しいカブトムシとかいろいろ)など楽しむ。入り口で園内で通用するお金を1人500円分もらう。暑かったのでコーラを飲んだり、お土産を買ったりして消費。3時ごろにレンタカーの営業所に向かう。時間があったので高速には乗らず、一般道を南進。嘉手納基地のそばを通って改めて基地の大きさを実感。途中、アメリカ人の女性がオープンカー(セリカ)に乗っているのを見る。やはり沖縄は基地の街だな。一番いいところにある基地が返還されれば、沖縄の街は再開発されてよくなるのでは。ただし、経済的なことを考えると、基地がなくなれば困ることも多いだろう。複雑なところだ。
レンタカーを返して空港へ。4階のレストランで簡単な夕食を取る。あとはお土産をいろいろ買う。午後7時半発の飛行機に乗り、9時前に帰着。2泊3日だと短く感じる。かといってこれ以上長いと、疲れもますだろう。だいたい観光するのがいけないのだ。来年はゆっくりしたいなあ。と毎年感じることを今年も感じる。
2011年08月09日 [Tue]
■ 「ヒックとドラゴン」
文句のつけようのない傑作とはこういう作品を言う。クレシッダ・コーウェルの児童文学を「リロ・アンド・スティッチ」のディーン・デュボアとクリス・サンダースがアニメ映画化した。アカデミー長編アニメーション賞では「トイ・ストーリー3」に敗れたが、少しも遜色はない。恐らく小さな差だったのだろう。正統派の物語は「憎しみの連鎖を断つ」という今のアメリカに必要なテーマを盛り込んでいるし、3DCGアニメの技術も完璧だ。
北の海に浮かぶバーク島。ここで暮らすバイキングたちは長年、ドラゴンとの戦いを繰り広げていた。ヒックは鍛冶屋で修行中のひ弱な少年で、父親のストイックは村のリーダーだ。ある夜、ヒックは自分で作った投擲機で最強のドラゴンと言われるナイト・フューリーを打ち落とす。翌日、ヒックは森の中で傷ついたナイト・フューリーを見つけるが、殺すことができない。飛べないドラゴンのために羽根を作ったヒックはドラゴンと徐々に交流を深めていき、ドラゴンたちが村を襲うのは人間が攻撃してくるからであることを知る。
戦いよりも相互理解という映画の訴えは真っ当すぎるほど真っ当だ。そして感動的である。見事なエンタテインメントであると同時にこうした主張を兼ね備えているのが良い。こういう映画を見た子どもたちは(そして大人たちも)戦いより平和の道を選ぶ人間になるのではないか、と思う。IMDBの評価は8.2。
■ 「裸の島」
離れた島から手こぎの小舟でくんできた水を入れた2つの桶を天秤棒にかついで、乙羽信子が島の斜面を登る。家族4人で暮らす小さな島のてっぺんの畑に水を撒くためだ。同時に水は飲み水でもある。華奢な乙羽信子が慎重に一歩一歩進む姿を見ていると、いつか転ぶのではないかと思えてくる。案の定、乙羽信子は転び、桶を倒して貴重な水をこぼしてしまう。夫の殿山泰司はそれを見て駆け寄り、平手打ちをする。命をつなぐ水を無駄にするとは何事だ。島での生活はそれほど過酷なのである。
水をこぼす場面は終盤に別の形で繰り返される。たいていの人はここで胸を締め付けられる思いになるはずだ。あらためて語るまでもない名作で、1961年のモスクワ国際映画祭グランプリ。セリフは一切ない。黙々と水を運ぶ2人を見て、「愛と宿命の泉」のジェラール・ド・パルデューを思い出した。
「裸の島」は6月初めにNHK-BSで放映されたが、わずか2カ月で12日にまた放映される。そんなにリクエストが多かったのかと思ったら、男女が桶で水を運ぶシーンが新藤兼人の新作「一枚のハガキ」にもあるためのようだ。99歳の新藤兼人が「人生最後の映画」としている作品。これまでの集大成的な作品になることは想像にかたくない。13日から全国公開されるので、それに合わせた放映なのだろう。
■ 「ノンフィクションW 映画人たちの8月15日 前編」
WOWOWが8日と15日の2回に分けて放送する番組の前編。キネ旬8月下旬号「キネ旬総研発」で掛尾良夫(元キネ旬編集長)が書いているように、キネ旬1960年8月下旬号掲載の「八月十五日の日本映画」という特集に基づく(番組には掛尾良夫自身も出演している)。特集には40人以上の映画人が手記を寄せている。番組はその証言を基にしながら、「無法松の一生」の検閲カットや「ハワイ・マレー沖海戦」の製作などを紹介した。後編には新藤兼人監督が出演する。
番組は面白かったが、特集記事の方も読みたくなった。キネ旬は過去の貴重な特集記事も再掲すればいいのにと思う。