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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2011年05月03日 [Tue]
■ 「若者たち」
BSプレミアム「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本 家族編」の枠で放映された。歌は有名でも映画を見るのは初めて。甘い内容を想像していたら、全く違い、時代に深くかかわったさまざまな問題を提起していて、胸を揺さぶられるような作品だった。
親を亡くした5人きょうだい(田中邦衛、橋本功、佐藤オリエ、山本圭、松山省二)が時に激しく対立しながらも、助け合って生きていく姿を描く。1967年の作品。昭和40年代といっても、まだ貧しいのが普通の時代だったのだなと思う。ご飯を一生懸命食べる姿はそのまま一生懸命な生き方を表している。登場人物たちのまっすぐな姿勢がとても気持ちよい。
長男の田中邦衛は中学2年までしか学校に行かず、工事現場で働いて弟妹たちを食わせてきた。好きになった女(小川眞由美)から学歴がないことを理由に「(出世に)10年、15年回り道をすることになる」と交際を断られる。その晩、大学受験に失敗した末弟に「何年かかっても大学に行け、ボン」と声を荒げる姿に胸を打たれる。これ、田中邦衛の代表作ではないかと思ったら、毎日映画コンクールの男優主演賞を受賞したのだそうだ。
元はフジテレビのドラマだが、宮崎はまだ民放1局の頃なので、当然のことながら僕は見ていない。映画について日本映画作品全集には「広範な若者たちの深い共感を得た。学歴による差別、被爆者の苦悩、出稼ぎ農家の苦しみ、働きつつ学ぶものの厳しさ、学園紛争の中で揺れ動く若者の心、現代における生きがいなど、多くの切実な問題が組み込まれ、見る者を考えさせる」とある。キネ旬ベストテン15位。3部作になっており、第2作「若者は行く 続若者たち」(1969年)は12位、第3作「若者の旗」(1970年)は25位にランクされている。山内久脚本、森川時久監督。