映画とネットのDIARY(tDiary版)

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映画の感想一覧 2004年7月以降 2005年  2006年  2007年  2008年  2009年

2005年11月01日 [Tue]

楽天ミュージックダウンロード

楽天も音楽のダウンロード販売を始めた。「USENの音楽配信サービス『OnGen USEN MUSIC SERVER(OnGen)』を楽天向けに提供するもの」。楽天のポイントが使えるので利用するならこちらの方がいいが、ファイル形式がWMAというのがちょっとなあ。これだと、僕の環境ではパソコンでしか聴けません。ポイントで買えるので視聴代わりに買ってもいいか。

すしの日

今日は何の日〜毎日が記念日〜によると、「新米の季節であり、ネタになる海や山の幸が美味しい時期であることから。全国すし商環境衛生同業組合連合会が1961(昭和36)年に制定」とのこと。というわけで寿司屋に行く。新聞広告では3割引ということだったが、割引があるのは一部のメニューだけだった。これが全品3割引なら、うれしいんですけどね。家内は上寿司を頼む(割引対象)。上寿司という割にはそれほど上等ではなかったり(少なくとも上寿司ならエビは生じゃないとね)。あとはそれぞれ、割引のないものを頼む。お腹いっぱいになりました。


2005年11月02日 [Wed]

「散るぞ悲しき」

「散るぞ悲しき」表紙サブタイトルは「硫黄島総指揮官・栗林忠道」。原田真人監督の日記に「素晴らしい。必読」とあったので読む。5日間で終わると米軍が考えていた硫黄島の攻防戦を、本土への空襲を防ぎたい一心で36日間にわたって持ちこたえ、最後は攻撃の先頭に立って戦死した栗林中将を描いたノンフィクション。大本営から見捨てられた硫黄島で、意味のないバンザイ突撃を否定し、日本軍の伝統だった水際での米軍上陸阻止作戦を否定し、地下壕を築いて徹底抗戦したその姿を浮き彫りにする。

日本軍の指揮官は突撃には参加せず、玉砕の際には割腹自殺するのが普通だったという。栗林は唯一、突撃した指揮官なのである。幹部の豪華な食事を拒否して一般の兵士と同じものを食べ、部下の健康に気を配り、水の乏しい硫黄島で率先して節水に努めたという人となりもいいが、何よりも多く引用される家族への手紙が胸を打つ。

「最後に子供達に申しますが、よく母の言いつけを守り、父なき後、母を中心によく母を助け、相はげまして元気に暮して行くように。特に太郎は生れかわったように強い逞しい青年となって母や妹達から信頼されるようになることを、ひとえに祈ります」

栗林は若い頃にアメリカに留学し、アメリカの国力をよく知っていた。だから戦争には元々反対だったそうだ。最後の電報には無謀な戦争を始めた上層部批判と受け取れる内容がある。知力を尽くした合理的な戦い方はアメリカを苦しめ、それゆえアメリカでの栗林の評価は高いという。

タイトルの「散るぞ悲しき」は「国の為重きつとめを果し得で 矢弾尽き果て散るぞ悲しき」という栗林の辞世の句に基づく。ノンフィクションとしては241ページではやや短く感じる。硫黄島の地獄の戦闘をさらに詳細に描き、栗林の硫黄島に至るまでの生い立ちをもっと詳細に描いても良かったと思う。戦後60年を過ぎ、戦場を知る関係者は次々に亡くなっており、こういうノンフィクションの取材は今がぎりぎりの所にあるような気がする。

日本兵20,129人、米兵6,821人が戦死した硫黄島の激戦はクリント・イーストウッドが2本の映画化を進めている。アメリカ側と日本側の双方から描いた映画をそれぞれ作るという。アメリカ側の視点に基づくのは「硫黄島の星条旗」(Flags of Our Fathers)。摺鉢山に星条旗を立てた米軍兵士の息子(この本にも登場するジェームズ・ブラッドリー)が書いたノンフィクションの映画化である。原田監督によると、日本側視点の映画は栗林中将を描くらしいということだが、さてどうなるか。


2005年11月03日 [Thu]

祖父の硫黄島戦闘体験記

2ちゃんねる経由で行って読む(2ちゃんねるには軍事板というのがあるのか。「趣味」のジャンルの中に入っているのが何というか凄い)。4度召集され、4度目は硫黄島へ行くことになった工兵の手記。硫黄島では生きて帰れない斬り込み隊に参加するが、3度生還し、4度目に重傷を負って捕虜になる。奇跡的に助かったわけだ。硫黄島から生還した日本兵は1000人程度だから、かなりの強運の持ち主と言える。

手記は実話だけに硫黄島の戦闘の激しさが分かって一読の価値がある。淡々と次々に人が死んでいく描写には言葉をなくす。例えば、こんな具合である。

「死体を数えてみると一人足らん。探すうち、はるか遠く飛ばされて下半身を土に埋められすわっている。よく見ると頭がない。頭の頂上の皮が破れて頭がい骨が全くない。皮には目も鼻も耳もついている。こんな死に方は見た事がない」。

こういう手記をインターネットで公開することは非常に価値があることだと思う。ただし、このページ、黄色いバックに小さな文字でちょっと読みにくい。全文をコピーして一太郎に貼り付け、PDF化して読んだ。

「映像の世紀」DVD BOX

同じく2ちゃんねるで硫黄島関係のスレッドを見ていたら、「映像の世紀」への言及があった。ああ、これDVDになっているはずと思い、Googleで検索したら、amazonの中古品(全11巻)のページがトップに出てくる。ユーズド価格129,000円とべらぼうである。元の価格が78,540円なのになんでこんなに高くなる。

ところが、出品者にはタイミングが悪いことに「映像の世紀」はNHKがSpecial Boxを25日に発売する。2000年発売の11巻に別巻を加えた全12巻(プラス130ページの詳細な解説書)で価格は81,900円。これでもべらぼうだが、amazonや楽天で検索すると、6万円台で売っている。これならば、手に届く範囲か。あの膨大で貴重な映像を手元に置いておけるのは自己満足の心をくすぐる。


2005年11月04日 [Fri]

Photoshop CS2

結局、こちらを買ってしまった。試しにパンフをスキャンしてみたら、Fiereworksよりずっときれいな仕上がり。うーん、やはりPhotpshopか。というわけで、特別アップグレードもそれほど高いとは思わなかったり。ま、起動が遅いというのは確かにそうなんですけどね。


2005年11月05日 [Sat]

愛犬まつり

サンマリーナ宮崎みやざき臨海公園で宮崎中央保健所主催。うちの犬も連れて行く。小さい犬から大きな犬までさまざまな犬が来ているが、柴犬は少ない。うちのほかに見かけたのは2、3匹か。

犬の運動会とかしつけ方教室とか犬の譲渡会など。運動会は犬が飼い主に向かって(あるいは飼い主と一緒に)走る速さを競っていたが、うちの犬はどこに走っていくか分からないので参加せず。

しつけ方教室は家内が参加。うちの犬は生後1カ月半ぐらいで来たため、母犬からしつけがきちんとされていなかったらしいとのこと。人間と対等の気でいるのか。ちゃんと主従の関係をたたき込む必要があるらしい。

写真はサンマリーナ宮崎。愛犬まつりの会場はこの奥の広場であった。右に小さく写っているのがうちの犬。

Webフォトアルバムの作成

Photoshop CS2で作ってみた(映画パンフコレクション2005年)。去年、Elementsで作った時は元の画像のサイズが小さかったため、きれいにできなかった。元々、デジカメ画像用のフォトアルバムだろうから仕方がない。今年はある程度、大きく作っておいたのでまずまずの仕上がりか。サムネール画像とファイル、元の画像のコピーを含めて900キロバイト以上になった。画像が52枚あるので、これぐらいは仕方ない。

ただ、Photoshopが吐き出すHTMLのソースを見ると、終了タグがなかったりして無茶苦茶。簡単に作れるのは便利とはいえ、こういうページはあまり作りたくないな。


2005年11月06日 [Sun]

「海猿2」追加撮影のお知らせ

文化本舗よりメール。追加撮影に伴うエキストラを募集している。前回は台風の影響で撮影できなかった部分があったためか。日程は22日から24日まで。締め切りは10日。前回参加した人によると、謝礼はないが、弁当は豪華だったそうだ。初夏の設定なので半そででの参加が必要という。まあ、まだ寒くないから大丈夫でしょう(たぶん)。

ピクサス de 年賀状素材など1000点ダウンロード

書店に行ったら、年賀状用素材集がたくさん並んでいた。年賀はがきの発売も始まったし、そういう時期なのだな。素材集、1冊買ってもいいかと思ったが、考えてみれば、来年は戌年。うちの犬の写真を撮って加工すればいいのだった。

キヤノンのホームページには素材集のダウンロードコーナーもあった。ちょっと見てみたら、十分使えるものが並んでいる。これがあれば、素材集は不要。ただ、ダウンロードはキヤノン製プリンタを持っている人に限られる。当然ながらエプソンにも同じようなコーナーはありますね。


2005年11月07日 [Mon]

「Photoshop CS2 パーフェクトマスター」

「Photoshop CS2 パーフェクトマスター」表紙索引を含めて663ページのボリュームで買った。秀和システムの本で初版は9月25日。内容を少し読んだら、メニューをくまなく解説していて丁寧。初心者向けかという感じもするが、初心者でPhotoshopを使う人はあまりいないだろう。とりあえず、どうすればどんな効果が加わるかというのは分かる。

問題はフィルタなどの加減をどの程度にすれば、もっとも良い効果が得られるかということ。それは経験的に理解していくしかないのでしょうね。好みの問題もあるし。

PhotoshopにはImage ReadyというWeb用の素材作成ツールが付属している。だからなおさらFireworksは要らない感じがする。マクロメディアの吸収合併が終わったら、Fireworksは消えゆく運命なのだろう。Fireworksといえば、G-TOOLの著者の本(「一撃必殺!FIREWORKS2」)は以前参考にさせてもらったものだが、その著者自身、Fireworksの吐くHTMLについて否定的なことを書いていた。と思って探したが、サイト内にはないようですね。要するにテーブルタグでレイアウトしたページはアクセシビリティが良くないのである。僕は使い始めた最初のころから、膨大なJavaScriptを吐くHTMLが好きになれなかった。ページが重たくなるのも嫌だった。Fireworksがいいのは画像を簡単にきれいなままにファイルサイズを小さくできることで、ここ数年はスキャンにしか使っていない。

Image Readyも同じようなものだから、これを使ってメニューなどを作ることはないでしょうね。

イーヤマ、民事再生法を申請

先日、液晶ディスプレイの動向を見ようと、イーヤマのサイトを見た時にあまり買いたいと思わせるものがなかったのはこういう背景もあったためだったのか。ナナオはブランドなので高い製品でも売れるのかもしれないが、それより少し落ちるイーヤマは難しいところにあるのだろう。倒産したわけではないので、再建はできるのでしょう。

ナナオも格安製品とのしっかりした違いをアピールしていかないと(そういう製品を作っていかないと)、うかうかしていられないのではないか。同じことはジャンルは異なるが、カノープスあたりにも言えることかもしれない。

[MOVIE] 「ブラザーズ・グリム」

「ブラザーズ・グリム」パンフレット「ラスベガスをやっつけろ!」(1998年)は未見なので、「12モンキーズ」(1995年)以来10年ぶりに見るテリー・ギリアム監督作品。「ほら男爵の冒険」を自由に破天荒に騒々しく映画化し、世間的には失敗作といわれる(しかし僕は傑作と思う)「バロン」(1988年)のような映画かと思ったら、グリム兄弟をモチーフにしたダークなファンタジーだった。至る所にギリアムらしいシニカルさや残酷な味わいは散見されるが、後半がまともな魔物退治になっていくあたりがやや不満で、全体としては平凡な出来と言わざるを得ない。いつものギリアム映画のように、この映画もまた撮影終了から公開まで2年もかかるなど製作過程ではいろいろなゴタゴタがあったそうだ。そういうことが少なからず映画の出来に影響しているのだろう。シーンのつながりでおかしな部分や冗長に思える部分が目についた。

母親と2人の子供が寒さに震えて次男の帰りを待っている。次男は牛を売りに行ったのだ。ところが、次男が持って帰ったのは魔法の豆。詐欺師に騙されてしまったのだった。という「ジャックと豆の木」のような冒頭からジャンプして映画は15年後、19世紀のフランス占領下のドイツで詐欺師として生きるウィルとジェイコブのグリム兄弟の場面となる。兄弟は魔物を退治すると偽って金を稼いでいた。それがフランス軍のドゥラトンブ将軍(ジョナサン・プライス)に発覚し、拷問が趣味の部下カヴァルディ(ピーター・ストーメア)とともに兄弟は子供が次々に失踪している村マルバデンに無理矢理、派遣される。村の事件も兄弟が行ったような詐欺と思われていたが、ここには本物の魔物がいた。子供は既に10人失踪し、11人目も兄弟の目の前で魔物にさらわれる。この村には疫病を逃れて高い塔に閉じこもった女王の伝説があり、子供の失踪はそれに関係しているらしい。森の中には狼男や動く木が潜んでいた。2人の妹をさらわれたアンジェリカとともに兄弟は女王の秘密を探り始める。

「赤ずきん」や「ヘンゼルとグレーテル」などグリム童話を引用しながら物語を作ったアーレン・クルーガー(「スクリーム3」「ザ・リング」)の脚本は可もなく不可もなしといった感じの出来栄え。引用が引用だけに終わって、物語と有効に結びついていず、あっと驚くような展開はない。これだったら、グリム兄弟を主人公に据える意味がない。加えて魔物のVFXも標準的となると、あとはギリアムの演出にかかってくるのだが、これまた標準的なものに終わっている。将軍やカヴァルディのキャラクターは一癖あって面白いのだけれども、ただそれだけのことだった。

現実主義者の兄と空想好きの弟というグリム兄弟を演じるのはマット・デイモンとヒース・レジャーで、2人ともやや地味な印象。悪の女王役のモニカ・ベルッチはもっと出番が多くても良かった。ベルッチの美貌にはとてもかなわないが、兄弟と親しくなる男まさりのアンジェリカ役レナ・へディも悪くない。

ギリアムはこの映画の製作が中断している間に「Tideland」という低予算映画を撮り、公開待機中という。「不思議の国のアリス」をモチーフにしているらしい次作で本当に復活を果たしているかどうか楽しみに待ちたい。


2005年11月08日 [Tue]

[MOVIE] 「メゾン・ド・ヒミコ」

「メゾン・ド・ヒミコ」パンフレット「触りたいとこないんでしょ?」。沙織(柴咲コウ)の言葉が絶望的に響く。ゲイの岸本(オダギリジョー)と沙織の間には越えられない壁があり、心は通い合っても体の関係は結べない。この映画、ゲイと女のラブストーリーという甘ったるい話では全然なく、どこまでも厳しい話である。障害者と大学生の関係を描いた「ジョゼと虎と魚たち」と基本的には同じ構造でありながら、ラブストーリーとしては機能していない。それは父と娘の確執を取り入れたためもあるが、監督の犬童一心には元々、甘い話にするつもりはなかったのだろう。監督の言葉を借りれば、これは「何かを試そうとした」人たちの話であり、その何かとは人と人とを隔てる壁を越えることにほかならない。結局、壁は越えられないのだが、その代わりに映画は小さなハッピーエンドを用意している。これがとても心地よい。柴咲コウ、オダギリジョー、田中泯の好演に加え、テーマを突き詰める姿勢とキャラクターの焦点深度の深さにおいて、今年の邦画の中では群を抜いている映画だと思う。

渡辺あや脚本で犬童一心監督の「ジョゼ…」コンビの作品ならば、絶対に面白いはずだと思いつつ、見る前に気が重かったのはこれがゲイの老人ホームの話であり、オダギリジョーと田中泯のキスシーンまであると事前に知っていたからだが、映画はそうした観客の偏見を見透かすように主人公・沙織のゲイへの嫌悪感を描いていく。沙織の嫌悪感は父親が40歳の時に母親と自分を捨ててゲイとして生きることを選んだことが影響しており、沙織は父親を未だに許せないでいる。母が死に、借金を背負って小さな塗装会社で働いている沙織は風俗でのバイトも考えるが、そんな時、岸本から週に一度、ゲイの老人ホームである「メゾン・ド・ヒミコ」を手伝ってくれと頼まれる。「メゾン・ド・ヒミコ」は銀座のバーをやめた父親が作った老人ホーム。父親は末期がんにかかっており、死ぬ前に娘に会わせたいと岸本は考えたらしい。1日3万円の報酬目当てで沙織はホームで働くようになる。

ここから映画はホームに住むゲイの老人たちの姿を描き、次第に打ち解けていく沙織と岸本の関係を描く。ホームの面々とともにダンスホールに出かけた2人が「また逢う日まで」に合わせて踊るシーンには素晴らしい高揚感があり、これで2人が一気に親しくなることに納得できる。このシーンの後で沙織は岸本からキスをされ、「なんであたしに…」と戸惑うことになる。

渡辺あやの第1稿が完成したのは2001年1月。犬童一心はそれに注文を付け、間に「ジョゼと虎と魚たち」の撮影を挟んで2004年9月に完成した最終稿は第10稿となった。改稿の過程で沙織の父親とヒミコは同一人物となったそうだ。岸本と体の関係を結べなかった沙織がその反動もあって、会社の専務の細川(西島秀俊)に抱かれてしまう所などにこの脚本の洞察の深さを感じる。細川は女子社員に手を出し続けている俗物で、体だけが目当て。沙織と心だけは通い合った岸本と好対照な存在なのである。それを知った岸本のセリフが切ない。

柴咲コウはノーメイクに近いらしいが、そのために普段でも鋭い目つきがより際立つことになった。父親やゲイへの嫌悪感、多額の借金を背負った必死さに説得力を持たせる鋭い目つきであり、これまでの演技の中ではベストではないかと思う。

デジタルシネマの上映システムが価格破壊の500万円--映画館の収益向上も

将来的には衛星や光ファイバーでの送信も可能になるらしいが、当面は映画の入ったハードディスクを直接、映画館に運搬するのだという。途中で壊れるんじゃないかと心配になる。だがそれよりも衛星、光ファイバーでの送信が可能なら、家庭で受信することもできるはず。封切りと同時に家庭で視聴できる時代はそう先のことではないのかもしれない。というか技術的には今でも十分可能。それをやらないのは単に映画館の営業が成り立ちにくくなるからに過ぎないのではないか。

もっとも、家庭で見られるようになったら、作品の質がテレビ並みに落ちる心配はあるんですがね。大きな画面を想定した作品が減っていくと、映画の意味がなくなる。逆に言えば、単館系の映画などは家庭への配信でも十分、ペイするのではないか。東京だけで公開して地方に回ってくるのに数カ月かかるような映画は全国同時にネット公開するといいと思う。DVD化されるのに今は最短で3カ月程度。3カ月では地方にフィルムが行き着く前にDVDが出ることになり、地方では今でも単館系の作品の公開ができにくい環境にあるのだから。


2005年11月09日 [Wed]

ニコンのデジタル一眼レフ用バッテリー、発熱/変形/発火のおそれ

このページの記事によると、不具合のおそれがあるのは製造ロット番号の上3けたが「44A」「46A」「47A」「48A」「49A」「4AA」「4BA」「4CA」のもの―とある。調べてみたら、僕のD70のバッテリーは44AA。あれ、当てはまってると思い、Nikonのページ(重要なお知らせ)を見たら、ここは上4ケタが書かれていて44AAは含まれていなかった。デジタルアリーナの記事は、4ケタを省略したために誤解する人が多いかもしれない。デジカメウォッチはちゃんと4ケタの製造番号すべてを書いている。

ScanSnap 『Adobe Acrobat 7.0 Standard に関するお知らせ』

Acrobatがバージョン7.05にアップできなかった原因はこれだった。Adobeのユーザーズフォーラムでキヤノンの同梱ソフトについて同じようなことが書いてあったので、ScanSnapのページに行ってみたら、この文書があった。

Adobeのページには新しいCDを送ると書いてあったので、フォームに記入して送信。それにしても7月に出たアナウンスに今ごろ気づくとは。というか、7.03までは順調にアップできていたのが不思議。登録ユーザーにはメールを送るとか、もっとアナウンスしてほしいものだ(もしかして送ったのかもしれず、@niftyのサーバーでスパムと間違って拒否されたのかもしれないが)。

Adobeから来たメールによると、「お届けまでのお時間は、約2週間ほどいただいております」とのこと。ま、そんなに急いでいるわけではないのでいいんですがね。


2005年11月10日 [Thu]

お支払いのお願い

楽天のいーでじを運営するイーネット・ジャパンから手紙が来る。「お客様のカード決済が出荷後NGとなりましたため、決済が完了していない状態にございます。つきましては下記内容をご確認の上、お支払いいただきますようお願い申し上げます」。

支払いができなかったのは「宇宙戦争」(1953年版)のDVD。これは7月に予約して届いたのは8月中旬だった。この間に楽天の個人情報流出があり、カード番号を変えたため、決済ができなかったらしい。わずか1,000円のために郵送で支払いのお願いを出してくるというのも大変だな。

それにしても、こういうケースけっこうあるのではないか。

CAMEDIA C-5050ZOOM/C-730 Ultra Zoomをご愛用のお客様へのお詫びとお知らせ

CCDの不具合で撮影ができない場合があるとのこと。まだ僕のC-730 Ultra Zoomではこの不具合は起きていないが、個人的に持ってる製品で不具合のニュースが続くなあ。

High Definition Trailers

アップルのMovie Trailersに久しぶりに行ってみたら、High Definitionの予告編が並んでいた。Quicktime7から再生できるようになったH.264形式の予告編。これ、無茶苦茶きれい。一番小さなサイズでも30MB以上あるが、DVD並みの画質。一番大きなサイズは200MB近くあり、サイズも17インチの画面には入りきらない。

スピルバーグの次作「ミュンヘン」の予告編もここにあった。以前から予告編見るならQuicktimeと思っていたが、ここまできれいだと、他のファイル形式では見る気がしなくなる。


2005年11月11日 [Fri]

ネットジャパン、パーティションツール「Partition Manager 7.0」を新発表

VMwareでデュアルブートしている場合、こういうパーティショニングツールは不要だが、CDで起動してパーティション間のデータコピーができるので、緊急時のことを考えて1本持っていてもいいかという気がする。優待版はDiskX Toolsなどディスクユーティリティーを持っていれば買える。どうせならダウンロード版(5,250円)を買った方がいいか。

RSS Validator

「詳解RSS」表紙RSSの文法チェックサイト。この日記のRSSは問題なく、ValidなRSSと出たが、手作業(+CGI)で作成しているシネマ1987onlineのRSSは「構文を確認しましたが妥当(VALID)ではありません」となった。

理由は「"item" 要素の "rdf:about" 属性の値が重複しています。この要素は重複できません」。なるほど。

ダメと言われたのはトップページのトピックスを書き換えた場合にrdf:aboutが同じURLになるため。これがダメなら、以前の更新情報は消せばいいのか? そういうのも場当たり的な対応という気がする。

ちょうどきょう、「詳解RSS 〜RSSを利用したサービスの理論と実践」(ディー・アート発行、初版は8月25日)という本を買った。ぱらぱらめくってみた限りでは、こういう場合の対処法は書いてないようだ。だいたい、RSSというのは新しくファイルを作った際に(あるいは同じ文書にアンカータグ付きで文章を追加した際に)更新すべきもので、同じファイルの同じ箇所を何度も書き換える場合に向くものではないのかもしれない。

というか、書き換えた際にはそのitemが一番上に来るのがRSSとしては普通。ただし、これではいつ書き換えたか記録できなくなるのが困る。RSSはそういうものと言われれば、それまでなんですがね。rdf:aboutに同じURLが合った場合は古い方を削除する(index.rdfに含めない)ようなCGIを書けばいいのだろう。


2005年11月12日 [Sat]

「ステップフォード・ワイフ」(DVD)

アイラ・レヴィン原作で1975年のキャサリン・ロス主演作のリメイク。世間的にはほとんど評価がない(IMDBではこれより旧作の方が評価は高い)ようだが、僕はこの映画のコメディ感覚が嫌いではない。ラストの理に落ちた感じはちょっと余計なのだが、ベット・ミドラーがおかしいし、風刺や皮肉もある。まあ、残念なことに優しくて控えめで美しいステップフォードの妻たちより、強いニコール・キッドマンの方が魅力的なのである。

1950年代風のタイトルバックで始まって、1950年代風のステップフォードという架空の街で話は進む。ベトナム戦争もなく、ウーマンリブもなかった1950年代がアメリカの理想的な時代なのだ、という設定にしておいて、それを揶揄する感じもある(ベット・ミドラーは「独立記念日なのにここには黒人もアジア系もいない」と言う)。この脚本はその揶揄に完全に成功しているわけではなく、決してうまくはないのだが、とりあえず、クスクス笑って気楽に見られる作品になっていると思う。

監督は「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」のというより、ヨーダの声をやっているフランク・オズ。好きな監督なので、もっと映画を撮ってほしいと思う。


2005年11月13日 [Sun]

BOOT革命 / USB Ver.1

メディアドライブダイレクトからのメールで紹介されていた。外付けUSBハードディスクからOSを起動するソフト。今年7月に出たらしい。CドライブのOSをUSBのHDDにコピーするだけなので、Linuxなどが起動できるわけではない。これ、ほとんど使い道がないような気がする。家族で一台のパソコンを使用する時などを想定しているようだが、トラブルの元じゃないかな。OSをコピーするのでアクティベーションはクリアする(というか、アクティベーションの確認画面は出ないだろう)が、ほとんどグレーゾーン。技術的には大したものだと思うけれど、あと一歩踏み込んだ機能が欲しいところ。

「TRICK 新作スペシャル」

なぜ今ごろ、新作スペシャルかと思ったら、来年、映画の第2弾が公開されるとのこと。それまでのつなぎ、あるいはウォーミングアップというわけか。ホームページまで作ってある。

「TRICK」はテレビも映画も見たことがなかった。日曜洋画劇場は何やるんだろうと思ってチャンネルを回したら、バラエティ番組みたいな出だしに惹かれ、ベタなギャグと、とぼけたキャラクターがおかしくてずるずる見てしまった(幸夫橋とか九十九一とか。若い世代を無視したギャグが堤幸彦的なのだろう)。ただ、それこそ2時間ドラマレベルの結末にはがっかりする。仲間由紀恵と阿部寛のコンビはいいのだから、ラストの解決部分をもっと斬新にしてほしいもの。映画版はそのあたりを工夫して、テレビを見ていない観客にも楽しめるものにしてほしい。


2005年11月14日 [Mon]

[MOVIE] 「ALWAYS 三丁目の夕日」

「ALWAYS 三丁目の夕日」パンフレット「ジュブナイル」「リターナー」の山崎貴監督が西岸良平の原作コミックを映画化。山崎貴は得意のVFXで昭和33年の東京を詳細に再現し、そこで繰り広げられる人情ドラマを笑わせて泣かせる演出でうまく描き出している。少なくとも西岸良平コミックの実写映画化としては文句の付けようのない作品になった。出演者がそれぞれに良く、直情径行型の自動車修理工場の社長を演じる堤真一と薄幸ながらいい女っぷりを見せつける小雪の2人に特に感心した。堤真一の妻役の薬師丸ひろ子や売れない小説家の吉岡秀隆、集団就職で青森から出てきた堀北真希、子役2人もうまい。役者たちが映画に貢献した部分は大きいと思う。ダイハツミゼットや氷式の冷蔵庫、フラフープ、都電、湯たんぽ、駄菓子屋のくじなどなどの懐かしいガジェットとともに語られるエピソードはどれも家族の絆を描いたものである。山崎貴は作りの上で「ラブ・アクチュアリー」を参考にしたそうだ。だからこれは「家族愛アクチュアリー」でもあるのだろう。

建設中の東京タワーが見える東京の下町。自動車修理工場・鈴木オートに集団就職で青森から星野六子(堀北真希)がやってくる。立派な自動車会社を期待していた六子は小さな工場と知って少しがっかり。社長の鈴木(堤真一)は喜怒哀楽をそのまま出すが、悪い男ではない。妻のトモエ(薬師丸ひろ子)は優しく、やんちゃな小学生の一平(小清水一揮)もいる。鈴木オートの向かいには売れない小説家で駄菓子屋を営む茶川竜之介(吉岡秀隆)がいる。茶川は行きつけの飲み屋のヒロミ(小雪)から頼まれ、酔った勢いで知り合いの息子の小学生・古行淳之介(須賀健太)を預かることになる。映画はこの2軒の家をメインにして鈴木家にテレビが来た時の騒動やお盆にも故郷に帰りたがらない六子、ヒロミと淳之介とともに疑似家族を構成していく茶川、淳之介の生い立ち、戦争で妻子を亡くした医者の宅間などの姿を描いていく。

大変よくできた映画であることを認めた上で言うと、全体に人工的な感じがつきまとった。VFXで再現した東京だけでなく、エピソード自体にもそれは感じる。VFXマン出身の山崎貴はVFXを設計するのと同じように話を組み立て、かつての人情話を再現しているように思う。その手つきが人工的なのである。端的に言えば、昭和のテーマパークのような映画というべきか。作家の小林信彦は小説「夢の砦」を書く際に、「1960年代を詳細に描くので若い人にはSFに見えるかもしれない」と語ったが、それと同じことを感じたのである。

例えば、小栗康平が描いた「泥の河」(1981年)の昭和30年代と比較すれば、はっきりするだろう。東京と大阪の舞台の違いはあるにしても、小栗の映画が貧しさに徹底的にリアルだったのに対して、この映画はあくまで高度成長前の理想の時代として昭和30年代を描いている。だから楽しい思い出やちょっと悲しい思い出が詰まったノスタルジー扇動装置としては大いに機能しており、それが中高年を引きつける理由でもあるのだが、ドラマとしては類型的になっている。類型的なドラマであっても数を積み重ね、キャラクターを描き込めば、人を感動させることはできるわけで、その点、山崎貴は頑張ったと思う。しかし、映画全体の作りのうまさは感じても、いつかどこかで聞いたような個々の話の作りにうまさは感じない。ぜいたくな望みかもしれないが、もっとオリジナルな話が見たいと思えてくるのである。

「男はつらいよ」シリーズがなくなった今、これは下町を舞台にしている点で、その代用品として受け取られた側面があるようだ。個人的にはこの映画に成功したからといって、山崎貴にはこの路線を進んでもらいたくはない。人情話を撮れる監督はほかにもいるだろう。VFXを生かしたSFを撮れる監督として山崎貴は貴重な存在なのだ。次作はぜひSFを望みたい。

[MOVIE] 「Dear フランキー」

「Dear フランキー」パンフレット「私は嘘つきの母親だわ」

「違う。君はフランキーを守ってるんだ」

スコットランドの港町に引っ越してきた9歳の少年フランキー(ジャック・マケルホーン)は難聴で言葉をしゃべれない。いや、しゃべろうとしない。船に乗っている父親から届く手紙が唯一の楽しみである。しかし、父親は船になど乗ってはいなかった。母親のリジー(エミリー・モーティマー)がフランキーの手紙に返事を書き続けているのだ。手紙を出している父親は架空の存在である。フランキーはある日、学校の友達から父親の乗っている船が港に帰ってくるというニュースを聞かされる。思いあまったリジーは1日だけ父親の代わりになる男を探す。

予告編を見て、ありふれた設定かと思えたのだが、この映画、脚本、監督、プロデューサーが3人とも女性のためか、母親の描写が細かい。その描写の細かさがあるため、ややご都合主義的展開もそれほど気にならない。友人のマリー(シャロン・スモール)の紹介で父親役を頼んだ見知らぬ男(ジェラルド・バトラー)とリジーが親しくなることは容易に想像がつくのだが、バトラーがあまりにいい男なのでそうなるのも当然と思えてくる。中盤にあるダンスシーンや長く長く見つめ合った後でのキスシーンは2人の思いがあふれるシーンであり、とてもリアルでロマンティックだ。これは母親の心の動きを丹念に見つめた映画であり、女性映画と言っていいと思う。監督はこれが長編デビューのショーナ・オーバック。

一緒に住む母親のネル(メアリー・リガンズ)から言われるまでもなく、リジーはフランキーに嘘をつき続けることはよくないと分かっている。それでも続けてしまうのは手紙がしゃべらないフランキーの心の声を聞く唯一の手段だからだ。一家は夫の追求を逃れてたびたび引っ越しているが、それがなぜかを徐々に映画は明らかにしていく。元は短編だったというアンドレア・ギブの脚本は女性の心理を描き出すと同時に現代的なテーマも盛り込んだ丁寧なものである。ただ、男の方の描写はやや簡単になってしまった。映画を見ていてどう処理するのか興味があったのは夫の扱いだったが、夫がああいう状況になることに伏線がないので、唐突な感じを受ける。ここはああいう状況にせずに、夫とリジーの対決場面が欲しかったところだ。バトラーの役柄にしてもいい男なのは分かるのだが、その真意はよく分からない。リジーの描写の細かさに比べれば、この対照的な男2人の描写は型にはまったものにとどまっている。加えてフランキーへの嘘を終わらせる処理の仕方も少し安易に感じた。そういう部分が各地の映画祭で多数の賞を重ねながら決定的な賞には結びつかなかった要因なのではないかと思う。いい映画だなと思いつつ、見終わってみると、あちこちが気になってくる映画なのである。

若い頃のデミ・ムーアを思わせる容姿のエミリー・モーティマーは内面の脆さを抱えながら強く生きる母親を演じて良かった。ジェラルド・バトラーも「オペラ座の怪人」よりはこちらの方が自然で好感が持てた。


2005年11月15日 [Tue]

ヤフー、送信メールにも迷惑メールフィルター適用

これで少しはYahoo!発のスパムが減るだろう。もっとも、なりすましメールも多いそうなので、この記事でも「半減」と書いてありますがね。hotmailも送信側のフィルタを導入してほしい。

[MOVIE] 「イン・ハー・シューズ」

「イン・ハー・シューズ」現在の不幸の要因が過去にあるというのはミステリではよくある設定だ。この映画の姉妹は不幸というほどではないが、それぞれに日常生活に問題を抱えている。姉のローズ(トニ・コレット)は弁護士だが、小太りで(とは見えないが)容姿にコンプレックスを持っている。妹のマギー(キャメロン・ディアス)は容姿・スタイルとも抜群だが、難読症で自分は頭が悪いと思っている。母親は2人が子供の時に交通事故死した。その秘密がクライマックスに明らかになる。そして仲違いしていた姉妹はかつてのような姉妹の絆を取り戻す。簡単に言えば、そういう話なのだが、この映画の良さはそうしたプロットにあるのではなく、それぞれの問題を克服していく姉妹の姿にある。マギーがフロリダの老人ホームで盲目の元大学教授の指導を受けて、E・E・カミングスの詩を読み、ゆっくりと難読症を克服していく描写や、あの「ロッキー」にも登場したフィラデルフィア美術館の階段をローズが犬と一緒に駆け上がるシーンなどは感動的だ。

ジェニファー・ウェイナーの原作を脚本化したスザンナ・グラント(「エリン・ブロコビッチ」)は女性らしい視点で詳細に姉妹の自己実現の様子を綴っている。まるで娯楽映画には向かないような題材にもかかわらず、手堅くまとめたカーティス・ハンソンの演出も見事。しかし、何よりもこの映画はキャメロン・ディアスに尽きる。マイナーからメジャー作品まで幅広い映画に出演してきたディアスはこの映画で奥行きの深い演技を見せており、本当に演技派と呼べる女優になったのだと思う。

舞台はフィラデルフィア。マギーは高校の同窓会で酔っぱらい、元々仲の悪かった継母から実家を追い出されて姉のローズのアパートに転がり込む。弁護士事務所に勤めるローズはちょうど上司のジム(リチャード・バージ)とつきあい始めたところだった。難読症で計算もできないマギーは就職しても長続きしない。いつまでたっても経済的に自立しないマギーにローズはいらだちを募らせる。しかも、ふとしたことからマギーはジムとベッドイン。そこに帰ってきたローズは怒りを爆発させ、マギーを追い出す。仕方なく実家に帰ったマギーはそこで死んだと思っていた母方の祖母エラ(シャーリー・マクレーン)がフロリダで健在なのを知る。マギーはフロリダの老人ホームでエラと暮らすことになるが、初めは歓迎していたエラも遊び暮らすマギーにホームの仕事を手伝うよう命じる。一方、ローズは気まずくなった弁護士事務所を辞め、犬の散歩の仕事を始める。ある日、街角で事務所の同僚だったサイモン(マーク・ファイアスタイン)と偶然会い、食事に誘われる。サイモンは以前からローズに好意を持っていたのだ。

問題を抱えているのは姉妹だけではない。祖母は娘に対して過剰な保護をしていたし、父親は妻の死後、祖母から娘への手紙を隠し続けてきた。継母は姉妹を(特にマギーを)嫌っている。さまざまな要素が入り組んだ話でありながら、笑いを織り交ぜて緩急自在にてきぱきと整理していくハンソンの演出は大したものだと思う。2時間13分、少し冗長に思える部分もあるのだが、泣かせよう感動させようなどという安易な意図が微塵もないところが最大の美点。過剰さを廃したこういう演出は好ましいし、洗練されていると思う。

ディアスはスタイルの良さを見せつける序盤から中盤までもいいのだが、それ以降も的確に演技をこなしている。ラスト、新婚旅行に旅立つ姉を見送った後、ステップを弾ませて結婚パーティの踊りの輪に加わっていくハッピーな終わり方がとても良かった。


2005年11月16日 [Wed]

液晶ディスプレイ

いよいよお亡くなりつつあるらしい。起動してしばらくすると安定するのだが、電源が入ったり切れたりする。で、2ちゃんねると価格comで探す。17インチで十分なのでNANAOならM170かS170。M170はスピーカーが余計なのだが、動画性能ならこちらなのだろう。ま、どれ買っても今使っている液晶より性能は高いと思うんですがね。ボーナスシーズン前に新製品も出そうだしなあ。

M170なら、NTT-Xストアが安いみたいだ。


2005年11月17日 [Thu]

「Photoshop グラフィックデザイン」

「Photoshopグラフィックデザイン」表紙Photoshopを使ってさまざまなグラフィックを制作する方法を解説したテクニック集。CS2対応とは書いてなかったので少し古い本かと思ったら、初版は10月1日。バニシングポイントなどCS2の新機能についての解説はないが、この本はもともとグラフィックデザインの作り方を教える内容なのでなくてもいいのかもしれない。基本はCS以前も以後も変わらないだろう。

プロ向けのデザイン解説書が多いMdNの本なので詳しい。調整レイヤーを重ねて効果を出していく技術がいろいろと書いてある。この手順通りにやれば、できるはずなのだが、やることが多いので途中で間違ったりしますね。

プロの人はこうやって何度も何度も効果を重ねて作品を作っているのでしょう。こういうテクニックを見ると、やはりデジカメ画像の修正に特化したElementsとは違うレベルのソフトだなと思う。ただ、Elementsにも良いところはあって、画像のファイルブラウザはPhotoshop付属のBridgeより使いやすい。画像整理機能を使うだけのつもりでダウンロード版(6,600円)を買ってもいいかなという気がする。

いや、画像整理の機能ならば、GoogleのPicasaでもいいのだが、あれは隠しておきたい画像ファイルまで表示してしまうので、家庭では使えません(独身者はOK)。

さくらのブログ

きょうからサービスが始まった。デザインを見てみたら、デフォルトで20種類あった。これ、CSSはカスタマイズできるのかな。あまりデフォルトのデザインで使いたくはない。というか、この日記以外に書く題材はないので、作るつもりもない。

機能としてはメールでの更新もできるそうだ。携帯表示には対応していないみたい。RSSはもちろんあり。ファイルがさくらインターネット側に保存されるのはメリットなのかデメリットなのか。自分が書いたファイルを他人に管理されたくはない気分もありますね。

それにしてもさくらのレンタルサーバーにはtDiaryがあり、MTもインストールできるのに、なぜブログサービスが必要なのか。設定やインストールが面倒な初心者向けなんですかね。


2005年11月18日 [Fri]

Acrobat 7.0の差し替えCD

届いた。申し込んでから8日目。2週間はかからなかった。さっそくAcrobat 7.0をアンインストールした後、新しいCDから再インストール。再度ユーザー登録(必要あるのか)した後、アップデートしたら、無事7.05になった。ScanSnapのバンドル版CDはどこが悪かったのだろう。


2005年11月19日 [Sat]

hotmailの迷惑メール

Yahoo!が送信側のスパム対策を施したためかどうかは知らないが、きょうだけで5通来た。hotmailはすべて拒否しようか。hotmailで各種MLにメールを出す人もいるので、ML宛のメールは受信するように設定しておけば、大丈夫だろう。しばらく、ごみ箱に振り分けるように設定して様子を見た後に拒否したい。

観賞本数

数えてみたら、昨年より少ない。まだ1カ月ちょっとあるとはいえ、もう少し見ておかないと。洋画はまずまず去年並みだが、邦画が10本少なかった。けっこう見ているつもりだったので意外。映画館で見逃した作品はDVDでこれからフォローしよう。テレビ録画のものもたまりっぱなしだ。


2005年11月20日 [Sun]

高橋尚子復活のV

35キロ過ぎからのカッコ良すぎるロングスパート。ゴールまでの間に実況のアナウンサーや解説の増田明美が煽るものだから、なんだか見ていて胸が熱くなった。2時間24分39秒というタイムは平凡だが、高橋にとっては2年前の借りを返すことが最優先だったのだろう。

中高年がどうのこうのとか24時間がどうのこうのという終了後のインタビューは余計。高橋尚子にはあまりしゃべらせない方がいい。感動がさめた。

それにしても北京五輪まで3年。今、復活するのは早すぎる気もする。3年後、高橋は36歳だ。女子の長距離ランナーにはその年齢で走る選手も珍しくはないが、優勝を目指すとなると難しいのではないか。3年間、モチベーションを維持するのも並大抵のことではない。


2005年11月21日 [Mon]

クイックPOPFile

POPFileのインストールと設定を簡単にしたWindows向けソフト。販売はまだ始まっていないが、売り上げの5%がPOPFileのコミュニティに還元されるそうだ。価格はいくらぐらいになるのだろう。メーラーより高い価格には設定しにくいのではないかな。

僕はもう使っていないが、POPFileは迷惑メールの振り分けには有効だし、初心者向けに敷居を低くすることもいいことだと思う。デフォルトで対応しているのはOutlook Express 6, Outlook 2000, Becky Ver. 2。秀丸メールは迷惑メールフィルターがあるから不要か。Thunderbirdにもあるし。

[MOVIE] 「大停電の夜に」

「大停電の夜に」チラシクリスマス・イブ、停電となった東京で語られる6組の男女の物語。もっともクリスマスらしいのは吉川晃司と寺島しのぶのエピソードで、これは終盤に吉川晃司がサンタクロースの格好をするためでもあるが、海外の小説にはよくあるクリスマス・ストーリーっぽい話になっている。寺島しのぶの語らない言葉(視線)で吉川晃司にすべてが分かるという場面も良かった。この2人の出番は少ないが、12人の出演者の中では一歩抜けている演技だと思う。路地裏にある流行らないジャズバーの豊川悦司とロウソク店の田畑智子が絡む話もいい。これにクライマックスに意外な人間関係が明らかになる原田知世の素敵な雰囲気までが、この映画の優れた部分と感じた。

全体的には6つの話を2時間13分で語るのには少し無理があり、田口トモロヲが3つの話に絡むのは時間を節約するためではないかと思えてくる。田口トモロヲにそれほどの魅力はないし(普通にハンサムな役者の方が説得力があったと思う)、バラバラと思えた人間関係があまりに接近してくると、話自体のスケールが小さくなるのだ。それと関係するが、こういうエピソード集では最後に収斂させていくものが必要で、それがこの映画では豊川悦司のバーになっている。この場面はもっと簡単でも良かったと思う。この種の映画では成功作の「ラブ・アクチュアリー」が優れていたのは登場人物全員がそろうラストの空港の場面の前にそれぞれのクライマックスを用意していたからで、ラストはクリスマスの幸福感のみに集約されていた。脚本(相沢友子と共同)・監督の源孝志の都会的なセンスは買うけれど、こういう話をうまく映画化するにはさらに脚本を練り上げることが必要のようだ。

映画の基になったのは監督の源孝志が2年前に撮ったNHKテレビのドキュメンタリー「N.Y.大停電の夜に」だという。それを東京に置き換えて作ったのがこの話で、クリスマスに設定した意味はそれほど大きくない。一般的なクリスマスの光景が描かれないのはそのためだろう。6つのエピソードそれぞれにうまく考えてあるが、唯一、設定に無理があると感じたのはベテランの宇津井健と淡島千景夫婦の話。淡島千景は結婚前に不倫の恋をして子供を産んでいた。その子供から連絡があったことで、結婚45年目にして宇津井健に初めて告白するのだが、宇津井健が結婚当時にそれに気づかなかったというのはおかしい。ここは男女を入れ替えた方が自然だった。あるいは知っていて知らないふりをしていたとかにしておいた方が良かっただろう。

豊川悦司と田畑智子のエピソードでは豊川のキザさよりも田畑のうまさに感心した。ジャズバーとロウソク店は向かい合わせにあり、田畑が以前から豊川に秘かに思いを寄せていたことが徐々に明らかになる。この脚本、こういう部分がとてもうまいと思う。語らない言葉、秘めた思い、そういう部分をうまく表現している。それは原田知世のエピソードにも言える。原田知世は夫の不倫に悩んで秘かに離婚届を用意しているが、いったんは外食の約束をキャンセルした夫が早く帰ってきたことで、修復のきっかけが生まれる。せっかくクリスマスに設定したのだから、エピソードに少しはミラクルなあるいはファンタスティックな出来事も欲しいと僕は思うが、相沢友子・源孝志のコンビは人間の力による奇跡の方を選んだのだろう。このコンビ(筆名はカリュアード)の脚本で次作を見てみたいと思う。

それにしても久しぶりに見た原田知世は良かった。20代後半から現在まで映画出演が少ないのがもったいないと感じるほど。キネ旬で河原晶子が「『シェルブールの雨傘』のドヌーヴの気配がある」と評していたが、その通り。もっと映画に出すべきではないか。


2005年11月22日 [Tue]

うまい脚本

「大停電の夜に」は惜しいところで傑作になり損ねているが、それではどういう脚本がうまい脚本なのか。以前、作家の故・都筑道夫さんがキネ旬連載の「辛味亭事苑」で紹介していたテレビの「ザ・ネーム・オブ・ザ・ゲーム」の話が僕には強く印象に残っている。話はこうである。

あるラジオ局の人気DJのもとに一本の電話がかかってくる。電話をかけてきた女は失恋によって絶望し、これから自殺するという。驚いたDJは必死でラジオから自殺をやめるように呼びかける。ありとあらゆる言葉を駆使し、「死ぬのは無意味だ」と自殺を思いとどまるよう説得する。この放送は聴取者にも大きな反響を呼び、「自殺するな」という声が多数寄せられる。ところが、女が自殺するというのは嘘だった。深夜になって、再び電話を掛けてきた女は自分が女優の卵で演技力を試してみたかったのだと話す。「あなたのお陰で自信がついた」と女は笑って電話を切る。DJは自分が騙されていたことにがっかりして放送局を出るが、局の前で暗がりから出てきた一人の女性が「ありがとう」と言って包みを渡す。包みの中には睡眠薬があった。

もちろん、この女性はDJの呼びかけで自殺を思いとどまったのである。ハリウッドはさすがにエンタテインメントの伝統があるなと思うのはこういう脚本がテレビで出てくるからだ。どこをどうすれば面白くなるのか、それが浸透している。ショウビズの本場の底力はそんな部分に現れるのだと思う。もっとも、今のハリウッド映画の脚本がすべて優れているわけではないんですがね。

[MOVIE] 「ダーク・ウォーター」

「ダーク・ウォーター」パンフレット鈴木光司原作、中田秀夫監督の「仄暗い水の底から」(2002年)のリメイク。監督は「セントラル・ステーション」「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレス。原版を見ていないので比較しようがないが、これはホラーというよりも母娘の絆を描いた映画と言える。ホラーとしては理に落ちた分、怖くなくなっている。物語に納得してしまえるホラーは怖くないのである。不条理の怖さ、理由のない怖さ、問答無用の怖さ、といったものはこの映画にはない。子供の頃に母親から憎まれ、捨てられたヒロインの精神状態の不安定さを利用すれば、そうした怖さが表現できたと思うが、サレスはそういう演出をしていない。睡眠薬で丸一日眠ってしまったヒロインが見る悪夢のシーンなどはもっと怖くできるのに、と思う。黒い水(ダーク・ウォーター)が部屋を浸食するようにヒロインの精神も浸食されていくような演出がもっと欲しいところではある。だから、この映画を見ると、たかが子供の霊だから怖くないんだよなということになってしまう。同じくハリウッド進出監督のホラーということで、見ていて連想したのはアレハンドロ・アメナーバルの「アザーズ」だが、あの映画で怖さ以上に魅力的だった情緒的な悲劇性もまた、この映画には薄い。映画の丁寧な作りとジェニファー・コネリーの好演に感心はしたが、映画としては水準以上のものにはなっていない。

離婚調停中のダリア(ジェニファー・コネリー)は一人娘のセシリア(アリエル・ゲイド)とルーズベルト島のアパートに引っ越してくる。ダリアは夫のカイル(ダグレイ・スコット)とセシリアの親権を争っているが、ニューヨークのアパートは家賃が高すぎてダリアには手が届かなかった。アパートは古ぼけており、管理人のヴェック(ピート・ポスルスウェイト)は愛想が良くない。親子はアパートに入った途端、気味の悪さを感じるが、家賃が安かったこともあって入居を決めた。部屋は9階。ダリアは天井には黒いシミがあるのを見つける。上の階から水が漏れているらしい。上の物音も響いてくるが、10階の部屋は空き部屋だという。いったん修理した天井のシミからは再び黒い水がしたたってくる。10階の部屋に行ってみたダリアは部屋が一面、黒い水で水浸しになっているのを見る。そしてセシリアは見えない友人ナターシャと話をするようになる。地下のコインランドリー室では洗濯機から黒い水が噴き出す。不思議な出来事と夫との親権争いが徐々にダリアを精神的に追いつめていく。

雨がしとしとと降り続く場面が象徴するように映画には湿っぽい雰囲気が充満している。それはダリアの幼少期からの不幸な境遇にも通じており、ダリアは今の娘との幸せを守ろうと必死になっている。コネリーは実際に2人の子供の母親だけあって、そのあたりの母親の愛情についてはうまく表現している。映画で惜しいのは語り口がやや一本調子になってしまったこと。これはストーリーと関係するが、途中で大きな転換の場面が欲しくなってくる。丁寧に撮った作品が必ずしも傑作になるわけではないのである。物語自体の面白さがやはり必要なのだろう。ラファエル・イグレシアスの脚本は原作(短編)を膨らまし切れていないように思う。

いい加減な不動産屋のジョン・C・ライリーといつも車の中で仕事をしている弁護士のティム・ロスのキャラクターは面白かった。ピート・ポスルスウェイトも含めて、この映画、役者の演技に関しては文句を付ける部分はない。


2005年11月23日 [Wed]

「激指5」12月9日発売

「激指5」チラシ

例によってMYCOMから郵送で先行販売の案内が来た。価格は3割引で9,400円。申し込み締め切りは24日。

毎回毎回、ぎりぎりに送ってくるなあ。と思って、2ちゃんねるを見たら、10日に案内が来た人もいる。僕の場合は激指のユーザーではない(同じMYCOMの東大将棋のユーザー登録はしてある)から、遅れたのか。 それとも単に手紙に気づくのが遅かったのか。

「激指」は何といっても今年の「コンピュータ将棋選手権」優勝、「アマ竜王戦全国大会」ベスト16という実績が強み。これも買っておくかなあ。

ちなみに、amazonでの価格を見たら、9,918円(送料無料)。500円程度の価格差なら、別に先行販売で買わなくてもいい気もするが。

「Lady In The Water」予告編

M・ナイト・シャマランの新作で来年夏に公開予定。このページ、ファイルサイズが書いてないのでまだダウンロードできないのかと思ったら、ちゃんとできる。720Pのサイズは約83MB。ポール・ジアマッティがプールで泳いでいる妖精(ブライス・ダラス・ハワード)を発見するという発端らしいが、予告編自体は何のことやらよく分からない。

「キングダム・オブ・ヘブン」(DVD)

「キングダム・オブ・ヘブン」チラシ今年前半に見逃した映画をDVDで追いかけることにした。これは何となく、史劇に食指が動かなかったので見なかったのだが、映画館で見るべきでした。

キリスト教徒とイスラム教徒の軍事的抑制で危ういバランスが取れていた12世紀のエルサレムを舞台にしたドラマ。キリスト教徒の王・ボードワン4世の死で、バランスが崩れ、戦闘が始まる。テレビの画面で見ていると、美術やセットなどがいかに素晴らしくても、主人公がエルサレムへ行くまでの前半は何ということもない映画に感じられるが、クライマックスのエルサレム攻防の戦闘シーンが凄かった。「ロード・オブ・ザ・リング」に匹敵するスペクタクル。CGで描いたと思われる兵士の数の多さにはもう驚かないけれど、投石の迫力が凄いし、画面の構図や映像の撮り方がオリジナリティに富んでいる。

さすがにリドリー・スコットは映像派の監督だなと再認識した。個人的にはベストテンに入れてもいいかと思ったほど。中盤の戦闘シーンを省略したのは、見ている間は「影武者」を参考にしたのかと思ったが、クライマックスの迫力を減じないためではないかと思い直した。

主演は「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラスことオーランド・ブルーム。こうした超大作の主演にはちょっと線の細さを感じるが、無難に演じている。聖地を守るためではなく、そこに住む民を守るために戦うという主人公の設定がいい。


2005年11月24日 [Thu]

バージョン8だ!全員集合! Fireworks キャンペーン

Fireworksのすべてのバージョンから18,900円でバージョンアップできるキャンペーン。キャンペーンと言いつつ、価格は従来とまったく変わらない。特製ピンバッジが付くからキャンペーンなんですかね。9,800円ぐらいなら考えないでもないが、もはや不要という感じがするなあ。Dreamweaverを安く売るキャンペーンはしないのだろうか。


2005年11月25日 [Fri]

「仄暗い水の底から」(金曜ロードショー)

タイムリーに放映してくれた。「ダーク・ウォーター」と比べてみると、こちらの方がやはり怖い。単に子供が赤いバッグを持っているだけで、どうしてあんなに不気味な演出ができるのか。中田秀夫はやはり恐怖の演出、不気味さの演出ではうまい。これを見ると、たかが子供の霊だから怖くないとは言えなくなる。たたみかけるようなクライマックス、あの緑色の手が首に巻き付く演出などは大したものだと思う。黒木瞳の神経症的な演技も悪くない。

僕はこの映画、全然見ていないと思っていたが、ラストシーンだけは覚えていた。いや、ラストシーンだけ見ていたのを思い出した。ここは怖さと母娘の愛情が絶妙にブレンドした場面で、「ダーク・ウォーター」のそれより優れている。

ウォルター・サレスはホラーの演出が苦手だったのだろうなと思う。俳優の演技とか、映画の丁寧さとか、映画の格とかすべて勝っているのに、怖さと面白さでは中田版に負けてしまった。クライマックスを分かりやすく変えたのも敗因なのだろう。


2005年11月26日 [Sat]

ウイルスバスター2006はトレンドマイクロの定義で言うところのスパイウェアである

「高木浩光@自宅の日記」より。フィッシング詐欺対策ツールバーを有効にすると、Webサイトにアクセスするたびにトレンドマイクロのサーバに何か情報を(URLを)送っているという話。それによってユーザーをリアルタイムにフィッシング詐欺から守るという善意の目的はあるにせよ、やっていることはスパイウェアと同じというわけである。

あわてて自分のウィルスバスターの設定を見てみると、ツールバーを有効にしてはいなかった。だいたいこのツールバー、IEにしか対応していないので、普段、ほとんどIEを使わない人には使えない。

いちいちURLを送るから問題なわけであって、フィッシング詐欺サイトのURLをウィルス定義ファイルと同じようにユーザーのパソコン内にデータベース化しておけばいいのだ。定義ファイルと同じようにアップデートする仕組みにすれば、問題ない話だったでしょう。そのうち変えてくるかもしれない。というか、変えざるを得ないはず。責められるべきはそういう仕組みを事前に明らかにしなかったトレンドマイクロの姿勢にある(ヘルプを見たが、フィッシング詐欺対策の機能は書いてあっても仕組みは書いてない)。ユーザーをバカにしているのではないか。

[MOVIE] 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」パンフレットハリー・ポッターシリーズの第4作。今回は「フォー・ウェディング」のマイク・ニューウェルが監督を務めた。毎度のことながら、2時間37分の上映時間は長すぎると思う(エンドクレジットが10分ほどあるのにもまいった)。毎回2時間を大幅に超える映画になるのはプロデューサーに「長くなければ大作ではない」という意識でもあるのだろう。この4作目も内容からすれば、2時間程度にまとめられる話である。ニューウェルの演出はとりあえず、字面を映像化してみました、といったレベル。VFXは水準的だし、演技力云々を別にすれば、主役の3人も僕は好きなのだが、映画にはエモーションが欠落している。ハリーの初恋もハリーとロンの仲違いも、ハーマイオニーとの関係もただたださらりと何の思い入れもなく描いただけ。心がこもっていない。ニューウェル、こういうファンタジーが本気で好きではないのに違いない。監督の人選を間違ったのが今回の敗因なのだと思う。

メインの話、というよりも、長い時間をかけて描かれるのは三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)。危険を伴うために100年以上も禁止されていた試合が開催されることになり、17歳以上が出場するという条件にもかかわらず、炎のゴブレットに選ばれて14歳のハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)もホグワーツ魔法魔術学校を代表して出場することになる。ホグワーツのほか、対抗試合に出るのはボーバトン魔法アカデミーとダームストラング学院の代表。試合はドラゴン、水魔、迷路での戦いの3つである(どうでもいいが、日本語吹き替え版では水魔がスイマーに聞こえた)。出場者は魔法の杖と実力を頼りに勝ち抜いていかなければならない。

これに合わせて1作目から続く悪の権化ヴォルデモートとの確執が描かれる。シリーズ全体を眺めれば、ハリーの両親を殺したヴォルデモートとの対決が話の軸になっていくのはよく分かる。この映画の冒頭にヴォルデモートは登場し、クライマックスもヴォルデモートの復活になっており、この部分に関しては大変面白かった。ただし、こういう構成ではそれまでの対抗試合の話が結局のところ、刺身のツマみたいになってしまうのだ。映画を見終わってみれば、対抗試合がどのような結果になろうと、大した問題じゃなくなる。困るのは、このツマがメインの刺身よりも大きいこと。本筋に導くための脇筋なのに、これでは本末転倒としか思えない。

これは脚本が悪いのだろうと思って、脚本家の名前を見たら、なんと「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)のスティーブ・クローブスではないか。というか、クローブス、1作目からずっとこのシリーズの脚本を書いている。知らなかった(ではなく、忘れていた。1作目の映画評を読み返してみたら、言及していた)。個人的には大好きなあの佳作を撮った監督がなぜ、この程度の脚本しか書けないのか。オリジナルではない脚色の難しさというのは確かにあるのだろうが、あまりと言えばあまりな出来である。対抗試合はあっさりすませてハリーとヴォルデモートの対決をあくまでもメインに置いて書くべきだった。

ヴォルデモートを演じるのはレイフ・ファインズ。鼻のつぶれたメイクでハンサムなファインズにはとても見えない。次作以降、出番も多くなるのだろうからこその演技派のキャスティングなのだろう。その次作「不死鳥の騎士団」を成功させたいなら、まず脚本をじっくり書かせたうえで、ファンタジーに理解のある監督を選んで欲しいものだ。上映時間も2時間以内に収めることを切に望む。その方が絶対に引き締まった印象になる。そうしないと、このシリーズは所詮子供向けの大味なシリーズということになってしまうだろう。


2005年11月27日 [Sun]

キム・ギドクの描写の力

「サマリア」DVD表紙ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した「サマリア」。話題になった映画だったので落ち穂拾いをするためにビデオ店で借りようと思ったらなかった。仕方がないので、DVDを注文した(ついでに「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」も注文した)。届いたのでさっそく見る。

「バスビルダ」「サマリア」「ソナタ」の3章から成る。DVDに収録されている監督インタビューによれば、タイトルのサマリアは真ん中の章から取っただけで深い意味はないとか。女子高生の援助交際をきっかけにした物語で、後半は女子高生よりも父親の方に焦点が当てられるが、個人的にはピンと来なかった。悪くはないけど、そんなに絶賛するものかね、という感じ。ラスト近く、父親が娘に車の運転を教える場面などメタファーが明らかすぎて興ざめである。娘が死んだ親友のために、親友が援助交際で得たお金を客の男たちに返していくところなども、説得力をあまり感じない。

ただ、映像にはセンスを感じたので、念のために以前録画しておいた「悪い男」を見てみた。いやあ、これは傑作だと思う。こちらの方が僕にはよく分かる。ヤクザが女子大生に一方的に思いを寄せる話で、その思いの寄せ方は変わっているのだが、純愛といっていいと思う。2人の関係を強調するためにクライマックス以降にファンタスティックな要素がある。主人公にほとんどしゃべらせない設定(主人公はのどに傷を負っているために甲高い声しか出せない)は珍しく、それでも映画が成立してしまうところに感心した。何よりも映像に力がある。暴力描写だけでなく、どの場面にも力がこもっている。女子大生を無理矢理、娼婦にしてしまうというストーリーは(その描写も含めて)女性には反感を買うかもしれないが、これはファンタジーなのだと思っていただきたい。鋭い目つきをした主演のチョ・ジェヒョンの演技にはひたすら感心。女子大生から娼婦にさせられる役を演じるソ・ウォンも悪くない。

翻って、「サマリア」を見れば、至る所に「悪い男」の要素があるのが分かる。父親が娘と寝た男にふるう暴力などにその片鱗が引き継がれているし、「悪い男」の主人公がしゃべらなかったように「サマリア」は全体が寡黙な映画である。キム・ギドクはかつて怒りが爆発するような映画を撮っていたが、前作の「春夏秋冬そして春」から、「今は社会と和解し、世の中をもっと美しく見よう」と思って作風が変わったのだそうだ。激しさから静かさへの変化。それは描写が洗練へ向かうことを意味するのだろうが、僕は「悪い男」のような映画の方が好きだ。


2005年11月28日 [Mon]

画像の直リン

アクセスログを見ていたら、チラシ画像に直接リンクしているサイトがあったので、.htaccessで排除。マナーを知らないのか、知っててやっているのか。あきれたことにこのサイト、表示している画像はすべて直リンのようだ。時々、こういうサイトあるんですがね。スキャナ持っていないのか。いや、持っていても画像の素材自体(チラシとかパンフレットとか)を持っていないのか。

SetEnvIf REFERER "cinema1987.org"Lilith
Order Deny,Allow
Deny from all
Allow from env=Lilith

「真夜中の弥次さん喜多さん」(DVD)

宮藤官九郎の初監督作品。コント集みたいな映画で酷評が多かったが、DVDで見る分には腹は立たない。所々、笑ったし。終盤のシュールな展開は落語の影響ではないかと思う。キノコのシーンは「マタンゴ」っぽい。

長瀬智也と中村七之助のコンビは長瀬の方に分がある(役柄のせいもある)。「てやんでえ、てやんでえ、てやんでえ」「サンデー、マンデー、てやんでえ」という江戸っ子の口調が良く合っていた。

[MOVIE] 「親切なクムジャさん」

「親切なクムジャさん」パンフレットパク・チャヌク監督の復讐3部作の最終作。第1作「復讐者に憐れみを」は見ていないが、第2作「オールド・ボーイ」よりもさらにブラックな笑いの要素が増えて、コメディに近くなっている。今回は初めて女優(イ・ヨンエ)が主役を務める。誘拐殺人の無実の罪を着せられ、刑務所に13年間服役した女が罪を着せた男(「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク)に復讐する話。主人公はけがを負わされたわけでも肉親を殺されたわけでもないので、復讐の念としては強さに欠けるし、復讐相手のスケールが小さいなと思っていたら、終盤にもっとひどい男であることが分かる。それを受けたクライマックスのシーンはアガサ・クリスティの某作品を思わせるシチュエーション(パンフレットで滝本誠も指摘していた)であり、クリスティが描かなかったことを詳細に描くとこういうブラックな味わいにもなるのだろう。イ・ヨンエの生真面目な演技と美しいメロディの音楽に騙されそうになるが、あまり深刻に受け取らず、クスクス笑いながら見るのが正しいのだと思う。だいたい、イ・ヨンエの演技のさせ方自体にミスマッチを狙ったフシがある。刑務所の中でヒロインが「先輩もご飯をたくさん食べて、薬もたくさん飲んで…早く死んでね」と言うシーンやクライマックスの斧のシーン、時折挟まれるナレーションなどにブラック・ユーモアが弾けている。逆に言えば、こうした笑いを取るためにヒロインの境遇を不幸のどん底にはしなかったのではないか。そこまで考えて作ったブラックな映画なのだと思う。

映画は主人公のクムジャ(イ・ヨンエ)が刑務所を出所する場面から始まる。刑務所の中でクムジャは北朝鮮の年老いた女スパイの世話をしたり、いじめられた囚人仲間のためにいじめた相手に仕返しをしてやったりして、いつも笑顔の“親切なクムジャさん”と呼ばれていた。しかし、それは自分を刑務所に入れた男への復讐のためだった。囚人仲間に親切にすることで多くの協力者を作ったクムジャは出所するとすぐに復讐の準備に取りかかる。クムジャは13年前、ウォンモという少年を誘拐して殺した罪で捕まった。それは高校時代に妊娠したクムジャが助けを求めた英語講師のペク(チェ・ミンシク)の仕業だった。ペクはクムジャの生まれたばかりの子供を誘拐し、誘拐殺人の罪をかぶらなければ子供を殺すと脅迫したのだ。クムジャは復讐計画の一環で、刑務所仲間をペクの妻にしていた。ついにペクを捕らえたクムジャは山奥の廃校に連れて行く。そこでペクの他の悪行が明らかになる。

クムジャの行動の根底には誘拐されたウォンモ少年を助けられなかった自責の念があり、贖罪の意識も働いている。だから刑務所を出所後、ウォンモの両親の家へ行き、自分の指を切断する。ここも笑えるシーンになっており、「10本すべて切断しようとしたが、ウォンモの両親に止められた」とナレーションが入る上に、ウォンモの母親はクムジャの行動に真っ青になって気を失い、一緒に救急車で病院へ運ばれることになるのだ。オーストラリアに養女に出されていた自分の娘を迎えに行くシーンでの相手夫婦の描き方なども素直におかしい。血みどろのグロいシーンと笑いを織り交ぜたパク・チャヌクの演出は確信犯だなと思う。

ところが、パンフレットのインタビューを読んでみたら、主人公の復讐の動機が弱い点について、パク・チャヌクは「あえて弱い動機にしたわけですが、それは復讐を私的な恨みではなく、論理的にしたかったからです」と語っている。私的な復讐ではなく、社会の復讐。凶悪犯人を警察に渡すべきか、自分の手で裁きを下すか。それがこの映画の重要なテーマなのだという。私的な復讐はテロに通じるというパク・チャヌクの言葉はしかし、この映画では十分にテーマとして昇華していないように思う。これは後付けの理由ではないのか。もしそうしたテーマの映画にしたいのならば、クムジャ自身を強い復讐の念を持つ立場に置いた方が良かっただろう。主人公をクライマックスで傍観者的立場に置くことは、そうしたテーマを描く上では間違いである。

思えば、出世作となった「JSA」でも、パク・チャヌクは南北分断のテーマよりも細部の描写に才能を見せていた。本質的にテーマ主義の監督ではなく、エンタテインメントの監督なのである。パク・チャヌク、もしかして自分でそれに気づいていないのか。


2005年11月29日 [Tue]

ポイント3倍

三井住友カードのホームページを見ていたら、ワールドポイントが3倍になるというショップが紹介されていた(ログインしないと見られない)。クロネコヤマトのブックサービスもあった。サービスが始まった当初はよく使っていたが、ここ数年はamazonか楽天ブックスばかり。amazonでは三井住友カードで支払っているので、amazonで買うよりもブックサービスを利用した方がお得。本の場合は値引きはありませんからね。ただし、DVDの価格はamazonの方が安いようだ。

もっとも本の場合はポイントが使える楽天ブックスがお得。遅いのが欠点ですけどね。ワールドポイントが3倍になる店にはセブンアンドワイもあった。3倍にするためには三井住友カードのホームページ内のリンクから飛ばないとダメなのかな。

独自エンジンを搭載したフリーの日本語OCRソフト「SmartOCR Lite Edition」

OCRのフリーソフトというのは凄い。さっそくダウンロードして使ってみた。新聞の一部を読み込ませたら、e.typistなどの製品ソフトと遜色ないレベルで読み取れる。ホームページによると、売りは「OCR初のスマートリーディング機能」でレイアウトの修正が簡単な点。確かにマウスで指定するだけでレイアウトの修正・追加ができてe.typistより簡単だった。従来のソフトではこのレイアウトの修正に時間がかかっていたのだ。レイアウトを変えると、認識結果にもすぐに反映されるのが優秀。

認識結果を透明テキスト付きのPDFで保存することも可能だが、e.typistに比べると、PDFの品質が落ちるような気がする(生成されるPDFのバージョンは1.4)。これはスキャンの仕方にもよるのかもしれない。認識結果のテキストだけでPDFを必要としない人もいるだろうし、一般の人がOCRを頻繁に使うこともあまりないだろうから、普通に使うにはこれで十分では。製品版の価格はいくらぐらいになるのだろう。


2005年11月30日 [Wed]

「三丁目の夕日」、報知映画賞で最優秀作品賞など3冠

読売新聞が製作に絡んでいるので、むむと思うが、作品自体は賞を取ってもおかしくはない。堤真一と薬師丸ひろ子が助演賞も受賞。個人的には堤真一は「フライ,ダディ,フライ」「姑獲鳥の夏」にも出ているので主演で良かったのではないかと思う。市川染五郎(「阿修羅城の瞳」「蝉しぐれ」)よりは説得力があったでしょう。新人賞は沢尻えりか。堀北真希とどちらか迷うところだが、堀北真希は昨年の映画(「予言」)にも出ているからなあ。というか、新人賞まで堀北真希にあげたら、いよいよ手前みそな賞になってしまう。


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