映画とネットのDIARY(tDiary版)
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【映画の感想一覧】 2004年7月以降 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2005年12月01日 [Thu]
■ 「東京タワー」(DVD)
「大停電の夜に」の源孝志監督作品じゃなかったら、見ないところだ。映画が始まって40分ぐらいまでのもうどうしようもない黒木瞳と岡田准一のシーンで、途中で見るのをやめようかと思ったのだが、そこをじっと我慢すれば、映画は面白くなる。中盤から終盤にかけての寺島しのぶ&松本潤と黒木瞳&岡田准一のそれぞれの修羅場のシーンが面白く、見終わってみれば、まずまずの作品じゃないかという感想を持った。
この映画、黒木瞳のシーンをすべて取っ払ったら、もっと良かったのにと思う。黒木瞳は20代の女のような演技をするべきではない。20歳も年下の若い男を好きになってしまった40代のずるさと打算としたたかさを演じるべきだった。その点、寺島しのぶはうまいなと思う。役柄は35歳の主婦だが、大地に根を張ったたくましさと夫から「今夜は酢豚だな」と言われる侮蔑的な日常と若い男に溺れてしまって安定した暮らしを少し踏み外した後悔とを微妙に織り込んで演じている。感情もシチュエーションもリアリティゼロでバカバカしい序盤の黒木瞳のパートに比べて寺島しのぶのパートには既婚女性のせっぱ詰まったリアリティがあり、それが映画を救う結果になったのだと思う。
「恋はするものじゃなく、落ちるものだ」というこれまた分かった風なことを言っているコピーにも腹が立つのだが、映画はそれに対抗するように黒木瞳の夫役の岸谷五朗に「恋は落ちればいいっていうもんじゃねえんだよ」というセリフを用意している。ここで岸谷五朗は岡田准一を飛び込み台からプールに落とすのだ。
序盤のどうしようもなさは映画デビューだった源孝志の計算違いによるものなのだろう。加えて脚本の出来にもよるのだろう。「大停電の夜に」に比べてセリフのリアリティがまるでないところがダメで、これにも相沢友子をかかわらせていたら、もっと面白くなっていたのにと思う。
この映画、終盤のパリの場面を撮るまで撮影の中断があり、その間に岡田准一は「フライ,ダディ,フライ」を撮影したそうだ。岡田准一も黒木瞳とのパートではダメだが、それ以外は悪くなかった。
■ リンク掲載希望
メールが来た。相互リンクの依頼かなと思ったら、単にリンクページに掲載してくれとのこと。なぜ、見ず知らずの人(団体だが)のページにリンクしなくちゃいけないのか。どういう考えでそういう要求ができるのか。理解に苦しむ。ま、こういうメールは無視するに限る。スパムと同じレベルだな、これは。念のためにホームページを見てみたら、半角カナがいっぱい(メールにもあった)。ネット初心者らしい。
2005年12月02日 [Fri]
■ [MOVIE] 「エリザベスタウン」
「あの頃ペニー・レインと」「バニラ・スカイ」のキャメロン・クロウ監督によるヒューマンなドラマ。仕事に大失敗して自殺しようとしていた青年が父親の故郷ケンタッキー州エリザベスタウンに行き、生きる力を取り戻す。そういう再生の話は大好きなので、好意的に見ることができた。キャメロン・クロウが得意とする音楽の引用はドラマへの集中を削ぐ部分もあって、僕には余計に感じられたが、音楽自体が悪いわけではなく、所々に音楽とマッチした素晴らしいショットはある。
逆に父親の葬儀でスーザン・サランドンが「ムーン・リバー」に合わせて急に始めるタップダンスなどはうまくもないのに延々と見せる意味が分からない。クロウとしては映画全体をウェルメイドに作るつもりだったのだろうが、このシーンが象徴するようにどこかアンバランスな部分が残る。主演のオーランド・ブルームは「キングダム・オブ・ヘブン」のような大作では頼りなく感じるが、そうした線の細さがこの役柄には合っていると思う。特筆すべきは相手役のキルスティン・ダンストで、お節介でおしゃべりな客室乗務員役を実に魅力的に演じている。これはキャラクター造型の成功で、この映画、決して一般的な美人とは言えないダンストの好感度で持っているようなものだ。
9億7200万ドル(約1,000億円)。たった一足の靴の失敗でそんなに損失が出るものかと思うが、主人公のドリュー(オーランド・ブルーム)はとにかく会社にそれだけの損失を招く大失敗をする。社長(アレック・ボールドウィン)から首を言い渡され、失意の自殺をしようとしていたところに妹(ジュディ・グリア)から父の死の知らせが入る。父親はエリザベスタウンの親戚の家で急死したのだ。ドリューは自殺を中断して、遺体を引き取りに行くことになる。
夜間飛行の乗客の少ない飛行機の中で客室乗務員のクレア(キルスティン・ダンスト)が一方的に話しかけてくる。人の良さそうなクレアはホテルのクーポンとエリザベスタウンまでの地図と携帯電話の番号を書いた紙をくれる。エリザベスタウンに着いたドリューは町の人たちから歓迎を受ける。大企業に就職したドリューは町の出世頭なのだ。ドリューはチェックインしたホテルで、寂しさから妹、恋人のエレン(ジェシカ・ビール)、クレアに電話するが、いずれも不在。しばらくして3人から次々に電話がかかってくる。エレンは大失敗したドリューに冷たく別れを告げる。ドリューはクレアと一晩中、話し続けることになり、夜明けにお互いの車を走らせて再会を果たす。
お互いに恋人がいて、穴埋めとして付き合い始めた2人が徐々に心を通わせる描写がいい。終盤、クレアが「魔法の地図」として渡した地図に沿って、ドリューがアメリカの各地を訪ねるシーンはクロウの音楽の趣味があふれた場面だが、ここでクレアは「5分間、悲嘆にくれたら、忘れて前に進んで」と言う。映画が最後に用意しているのも「命」の大切さ。さまざまな不備が目に付くのは残念だが、成功や失敗ではなく、生きることそのものが大事という訴えを心地よく見せてくれる映画だと思う。たくさん流れた歌の中では予告編でも使われたエルトン・ジョン「父の銃」が印象に残る。
2005年12月03日 [Sat]
■ 「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(DVD)
クライブ・カッスラーのダーク・ピットシリーズの映画化。カッスラーは「レイズ・ザ・タイタニック」(「タイタニックを引き揚げろ」の映画化)のあまりと言えばあまりの出来にその後は映画化を許さなかったと聞く。今回は「レイズ…」より、はるかにまし。ダーク・ピット役はマシュー・マコノヒー。この人は色気が足りないのでこうした冒険ものの主人公としてはどうかなと思うが、硬派な感じがして悪くない。もっとも話の方はユーモラスな部分が多く、ダーク・ピットシリーズとは別物という感じもする。
監督はブレック・アイズナー。アル・ジョルディーノ役はスティーブ・ザーン(ちょっとイメージが違うか)。サンデッカー提督はウィリアム・H・メイシー。ピットの相手役はペネロペ・クルス。女優に関しては「レイズ…」のアン・アーチャーの方が好み(最近、あまり見かけない)。
2005年12月04日 [Sun]
■ 「炎のメモリアル」(DVD)
消防士を主人公にした映画は「バックドラフト」(1991年)が記憶に残るが、「バックドラフト」はサスペンスの要素が強かった。この映画、真正面から消防士の仕事を取り上げて、消防士の危険な業務を描いている。地味になりそうな題材を手堅く作ってあるのに感心した。ルイス・コリック(「遠い空の向こうに」「ドメスティック・フィアー」)の脚本がうまいのだろう。ただ、ラストに異論はある。ああいうラストにすると、観客の中には泣いて満足する人もいるかもしれないが、僕は逆の方が良かったと思う。
主演はホアキン・フェニックス。上司をジョン・トラボルタが演じている。監督はジェイ・ラッセル。
2005年12月05日 [Mon]
■ キネマ旬報ベストテンGyaO一般観客賞
創設されたとのこと。キネ旬12月下旬号にも告知がある。投票はGyaOの視聴登録をしている人で、1人1回1本のみ。投票ページを見てみると、邦画洋画含めて1本だけの選出になっている。GyaOの視聴登録者は470万人を越えたそうなので、1本だけでも相当な数が集まるのでは。
読者のベストテンとかぶりそうな気もするが、キネ旬の読者はマニアックな人が多いので、一般的な観客の嗜好はこちらの方が出るのかもしれない。
■ 「春夏秋冬そして春」(WOWOW)
これは傑作だと思う。「サマリア」では興ざめだった比喩の分かりやすさがこの宗教的と言うより寓話的世界ではプラスに働いている。そしてこれは素直に「悪い男」の延長線上にある世界なのだと思う。この作品から変わったと言われるキム・ギドクの作風は根底の部分では少しも変わっていない。激しさが内に沈んだだけなのだ。
山奥の湖に浮かぶ寺が舞台。タイトルの「春夏秋冬そして春」とは映画を見始めてすぐに人生の比喩だろうと想像できる。幼年期、青年期、壮年期、老年期を描くのではと思ったのだが、それほどすんなり行くほどキム・ギドクの映画は単純じゃなかった。「春」と「夏」は確かにそうなのだけれど、「秋」の章で大きく転換し、静謐な「冬」の章へ向かう。冬の章を演じるのはキム・ギドク自身で、壮健な肉体が寺を再建する男に実にぴったりである。秋の章で描かれた和尚の力を受け継ぐのに説得力がある(実は和尚が船もないのに対岸へなぜ渡れるのかと疑問に思っていたら、ちゃんと秋の章の最後で明らかにされる。そのあたりにも感心した)。
人間の業とか人生の苦闘とかを分かりやすい比喩で描いた作品。石を結びつけられて「春」の章で死んだはずの魚や蛇が「そして春」の章で生きた姿を見せるのは輪廻転生とか繰り返しなどを思わせる描写だ。映画にはそれほど思想的な深みがあるわけではないのだが、自然と一体となった人間の営みを見つめるキム・ギドクの視線は穏やかさよりも激しさが息づく。目、口、鼻、耳を覆う「閉」と書いた紙や顔を布で覆った女などのショットは異様で鮮烈。昨年のキネ旬ベストテン9位。
2005年12月06日 [Tue]
■ 一太郎2006予約
今回は広辞苑 第五版 for ATOK もついでに申し込む。併せて買うと2100円値引きになる、という宣伝文句に乗せられた。ポイントは1000ポイント使用。申し込みを完了しようとしたら、「お客様のカードは使用できません」。ああ、楽天カードの番号を変えた後、Just My Shopでは変更をしていなかったのだった。ここは一太郎のバージョンアップの時しか使いませんからね。カード番号を変更し、再度申し込んでOK。
■ X-MEN 3 Announcement Teaser
Xにウルヴァリンの爪が3本重なって「XIII」。来年5月公開とのこと。ちゃんとジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)が復活しているのがうれしい。監督はブライアン・シンガーからブレット・ラトナー(「レッド・ドラゴン」「ラッシュ・アワー」)に変わった。このティーザーを見る限りではスケールアップした感じがあって楽しみ。
■ [MOVIE] 「Mr. & Mrs. スミス」
危険な職業を持ち、敵対する組織にいる男女の結婚と言えば、「スパイキッズ」の両親もそうだったが、こちらは凄腕の殺し屋であることをお互いに隠して結婚した夫婦の話。結婚して5、6年目、やや熱が冷めた段階でお互いの秘密が分かり、所属する組織からそれぞれ48時間以内に相手を殺すよう命じられる。ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリーの魅力で見せる映画で、その点に関しては十分満足したが、話は簡単なものだし、アクション場面にもオリジナリティが乏しい。カーチェイス場面などは「アイランド」「マトリックス リローデッド」には到底及ばない。ユーモアが絡むとアクション場面は単なる見せ物に落ちてしまうものだが、この映画も例外ではなかった。以前よくあった破壊に次ぐ破壊で笑いを取るB級コメディを思い出してしまった。監督は「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン。この人は大がかりなアクションよりも格闘場面などの方が得意なのではないか。リーマンが「ボーン・スプレマシー」の監督をポール・グリーングラスに譲ったのはこの作品に入っていたためという。こっちよりも「スプレマシー」を監督した方が良かったと思う。
ジョンとジェーンのスミス夫妻はコロンビアで知り合い、お互いに殺し屋であることを秘密にしたまま結婚した。それから5、6年(結婚カウンセラーに対してピットが5年と言うと、ジョリーが6年と訂正する)、同じ標的を狙ったことから秘密が明らかになってしまう。元々、2人が所属する組織はライバル関係にあり、それぞれの組織は相手を48時間以内に抹殺するよう命令する。そして2人は壮絶な戦いに突入することになる。
プロットとしてはこれだけのものである。脚本を書いたサイモン・キンバーグ(なんと上に書いた「X-MEN3」の脚本にも参加している。大丈夫か)はアクションを柱に物語を組み立てていったというが、組み立てるほどの話ではない。キンバーグは「トリプルX」の続編「トリプルX ネクスト・レベル」(2005年、リー・タマホリ監督、未公開)で脚本家デビューしてこれが2作目。この脚本、元々はコロンビア大学修士課程で書いたものという。習作レベルの脚本で、細部に工夫がないのはそのためのようだ。プロダクションノートを読むと、キンバーグはこう語っている。「ミュージカルでは、登場人物の愛情や葛藤、興奮が高まると、通常の台詞での表現を超えて、その高まりが歌と合わさることで感情が爆発する。ジョンとジェーンの場合は、銃撃で感情が爆発し、そのことでふたりの関係性が明らかになっていくんだ」。ミュージカルの部分に関してはまったく正しい。それをアクション映画に置き換える際にうまくいかなかったようだ。頭で分かっていても実力が伴わずに失敗することはよくある。
リーマンの演出も標準的なもので、アクション映画として特に新しい部分はない。それでもそこそこに楽しめるのはアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットのお陰だろう。特にアンジェリーナ・ジョリーの色っぽさが良い。ジョリーは自分の魅力がどういう部分にあるのかをよく知っているのだと思う。
■ goo流行語辞書2005
窓の杜で紹介されていた。キーワードランキングから選りすぐったキーワードをATOKの省入力データに登録できる。便利なので入れてみた。眞鍋かをりの場合、「まなべか」まで入力すると候補に現れる。眞鍋かをりって流行語なんですね。というか、これ元々、ATOKの辞書にあったのかもしれませんが。
2005年12月07日 [Wed]
■ 「ビヨンド The シー 夢見るように歌えば」(DVD)
歌手のボビー・ダーリンの生涯を描いたケヴィン・スペイシー監督作品。前半、愛するサンドラ・ディーに対して「ビヨンド・ザ・シー」を歌う場面やボビーがスターダムに上がっていく段階のハッピーさも、後半、アイデンティティーの危機に見舞われて挫折する場面の暗さも50年代から60年代の音楽映画をお手本にしたかのよう。もちろん、ボビー・ダーリン自身がその時代に生きたスターだからということもあるが、この映画の作り、「Ray レイ」などよりはよほど好きである。
ケヴィン・スペイシーの歌のうまさには驚く(ダンスはうまくない)。元々口跡の良い役者だと思っていたが、歌声がいいし、歌手としてもやっていけるのではと思えるほど。18曲を収録したというサントラ盤が欲しくなった。映画が好ましいのは監督・製作・主演を務めたスペイシーのボビー・ダーリンへの尊敬の念がにじみ出ているからだろう。暗い場面も絶望的なほどに暗くはならず、音楽を生き甲斐として37歳の若さで死んだボビーを肯定的に描いている。ボブ・ホスキンス、ジョン・グッドマンなど脇の役者たちもいい。
サンドラ・ディー役のケイト・ボスワースは来年の「スーパーマン・リターンズ」でロイス・レーン役を演じるとのこと。驚いたのはグレタ・スカッキがそのお母さん役で出ていて、見る影もないほど変わっていたこと(いや、よく見れば少しは面影は残ってるんだが)。「推定無罪」のころの輝く美貌はどこに行ったのでしょう。女優のこういう変貌には何度も出くわしているけれど、女優が美しくいられる時間は短いのだなあとつくづく思う。
この映画、アメリカ映画かと思ったら、イギリスとドイツの合作映画だった。それにしてもカタカナと英語をまぜたこの邦題は何とかならなかったのか。センスがまったくないな。
ついでに書いておけば、「スーパーマン・リターンズ」の監督は「X-メン」のブライアン・シンガーで、レックス・ルーサー役でケヴィン・スペイシーが出演する。スーパーマン役はブランドン・ラウス(Brandon Routh)。
2005年12月08日 [Thu]
■ WMVへのエンコード
テレビ録画したDVDファイル(VOBファイル)をDVD2WMVでエンコード。このDVD、長時間モードで録画してあり、最初はエンコードができなかった。仕方がないので、DVDレコーダーでDVD +RWに標準モードで出力し直し、エンコードしてみた。これでうまくいった。エンコードのソフトはいろいろあるが、DVD2WMVが一番簡単だと思う。VOBファイルを複数選んで出力先を指定するだけ。1時間の番組では1時間ほどかかる(たぶん。始めたままパソコンの前を離れていたので正確な時間は分からない)。放っておいても勝手にできるのがいい。
出来上がったWMVファイルは約260MB。ビットレートは700kbpsだった。
■ xyzzyバージョンアップ
0.2.2.235になった。どこがバージョンアップしたのかとChangeLog.htmlを見たら「なんとなくライセンスなどを」と書かれているだけ。ああ、LICENSE.htmlというのが入ってる。しかし、これが以前からあったものかどうかは知らない。なかったんでしょうね。
2005年12月09日 [Fri]
■ 「61万円で1株」を「1円で61万株」
損失270億円。まだまだ増える可能性ありとか。「エリザベスタウン」を思い出させる。「エリザベスタウン」の1000億円の損失は普通なら考えにくいと思ったが、株の場合はあり得るのだなあ。入力ミスは怖い。どの企業でもあることだろう。株取引ほど緊急性がないから大事になっていないだけだ。
入力ミスした社員に「エリザベスタウン」はあるのだろうか。
2005年12月10日 [Sat]
■ 「このミステリーがすごい!2006年版」
書店に行ったら、あったので買う。国内編1位は東野圭吾「容疑者Xの献身」、海外編はジャック・リッチー「クライム・マシン」。どちらも未読。国内、海外の両ベストテンで読んだのは1冊もなく、国内編3位の横山秀夫「震度0」を持っているのみ(未読)。20位に入っている今野敏「隠蔽捜査」は評判からいって、もっと上位に来ると思っていた。
■ 「スーパーマン・リターンズ」予告編
まださわり程度の予告編。音楽はクリストファー・リーブ版のを流用しているようだ。
2005年12月11日 [Sun]
■ 「映画一日一本 DVDで楽しむ見逃し映画365」
著者の芝山幹郎は評論家で翻訳家。以前、キネ旬で連載していたことがあり、愛読していた。この本は日本経済新聞土曜版などに掲載された文章(テレビ放映映画の紹介や短い批評)に書き下ろし25本を加えて365本の映画を取り上げている。
1日1本の映画を見るのは相当な暇がないと無理。著者自身も新作映画を見る本数は年間100本強だそうである。僕は今月1日からDVDを含めて1日1本映画を見ようと続けてみたが、1週間で挫折した。そんなに映画だけに時間は割けないものなのである。
1月1日「続・夕陽のガンマン」に始まって12月31日「ミリオンダラー・ベイビー」までの365本に論評が加えられている。クリント・イーストウッドで始まりクリント・イーストウッドで終わるのは著者がイーストウッド映画を好きなためか。日付は365本という趣向で付けたもので、あまり意味はない。
365本という数はシネマガイドとしては不足しているが、論評の方は的確。どれも400字詰め原稿用紙にして1枚半ぐらいの分量だが、その中でストーリーを紹介して批評まで行うというのはなかなか難しいものだ。取り上げた映画は邦画洋画、B級C級まで含めてあり、著者の好きな映画の傾向も分かる。著者のもっと長い批評が読みたくなってくる。
2005年12月12日 [Mon]
■ 携帯のビットレート
今年の窓の杜大賞を受賞しそうな勢いの携帯動画変換君で久しぶりに動画偽装の3g2ファイルを作ってみる。ビットレートを128kbpsに設定して変換してみたら、携帯で再生できない。あれえ。以前はこの設定で良かったはずだが、4つほど新しいファイルを変換してもすべてダメ。以前に変換できていた音楽ファイルを変換してみてもダメ。64kbpsに落としたら、再生できた。
携帯動画変換君のバージョンも上げたのだが、それよりもQuicktimeのバージョンを上げたのが原因か。なにしろQuicktime Proで変換しても128kbpsのファイルは再生できないのだから、そう思ってしまうな。EZムービーのファイルはビデオとオーディオの合計ビットレートが128kbpsまでなので、そのあたりが微妙に影響しているのかもしれない。とりあえず64kbpsならできるのだし、これだと、ファイルサイズも小さくなるのでいいんですけどね。
■ [MOVIE] 「SAYURI」
アーサー・ゴールデンの原作を「シカゴ」(2002年)のロブ・マーシャル監督が映画化。当初、監督候補に挙がっていたスピルバーグは製作に回った。序盤の日本家屋の光と影を丁寧に捉えて構成した映像を見た時には、これは傑作なのではないかと思った。最近の日本映画の、のっぺりした映像とは異なって映像に厚みがあり、豊かな情感を備えている。日本を舞台にした映画だけに、なおさら日本映画より優れた部分が目立つのだ。
しかし後半、映画は急速に失速していく。ドラマがありきたりで訴求力に欠ける。芸者同士の確執が権力争いと同じように描かれては面白くなるわけがない。こういう話、もう少し陰湿で日本的な感じが欲しいし、女の性にも踏み込んでいって欲しいものである。日本を舞台にしていながらセリフのほとんどが英語という作りに僕はそれほど違和感はなかった。基本設定が激しく間違いで、サムライをアメリカ先住民のように描いたにもかかわらず、ドラマの説得力で納得させたエドワード・ズウィック「ラスト・サムライ」(2003年)を見れば分かるように、そういう部分を超えて技術で無理矢理成立させてしまうのがハリウッド映画なのである。主演格の3人がすべて中国系女優なのは日本人としては面白くないが、英語のセリフに堪能な女優が日本にはいなかったのだろうから仕方がない。ただし、この映画の失敗はやはり日本文化への理解が足りなかったことが一因なのだろう。加えてマーシャル自身の資質にもあると思う。「シカゴ」の時にも思ったが、ロブ・マーシャル、基本的に人間のネガティブな部分の描き方が下手なのである。陰影豊かな映像の厚みに比べて人間の陰影は薄く、陰湿な世界を描きながらも、映画は意外にカラリとしている。歌と踊りの演出が得意なマーシャル、人間を深く捉えるようにならないと、今以上のものは作れないだろう。良くも悪くもハリウッドの大作らしい味の薄い映画だと思う。
戦前から戦後にかけての物語である。貧しい漁村に生まれた千代(大後寿々花)は姉と一緒に身売りすることになる。母親譲りの青い目をした千代はおかあさん(桃井かおり)が仕切る置屋で下働きをすることになるが、姉は女郎屋に売られていく。売れっ子芸者の初桃(コン・リー)は千代を目の敵のようにしていじめる。千代は姉と一緒に逃げようとするが、けがをして逆に借金を膨らませ、芸者の道は閉ざされる。このあたりの「おしん」を思わせるひたすらかわいそうな描写には大衆性があり、大後寿々花の可憐な好演もあって見せる。この調子で行くと、映画はまずまずのものになったのかもしれない。悲しみに暮れる千代はある日、橋の上で親切な“会長さん”(渡辺謙)に出会う。会長さんは優しく、千代にかき氷を食べさせてくれた。千代は会長さんに再会するために芸者の道を目指そうと決意する。ここで千代役がチャン・ツィイーにバトンタッチ。僕はツィイーのファンだが、大後寿々花の後では少し分が悪い。役柄の15歳に見えないこともマイナスだろう。ある日、芸者の豆葉(ミシェル・ヨー)が千代を芸者として育てたいと申し出る。いったんは閉ざされた道が開け、千代はさゆりという名前を与えられて、芸者の道に励むことになる。
芸者になったさゆりが会長にすぐに再会するのは興ざめだが、そこからラブストーリーとして構成していけば、まだ面白くなったのかもしれない。だが、映画が力を入れているのは初桃とさゆりの確執で、コン・リーのいかにも憎々しい演技は悪くないのだけれど、どうも狭い世界のどうでもいいような話だなと思えてきてしまう。置屋の跡を継ぐのがさゆりか、コン・リーの妹分のおカボ(工藤夕貴=英語でパンプキンと呼ばれているからカボチャのおカボ。あまりと言えば、あまりの名前だ)かというのが重大に語られるが、置屋がそれほど重要なものには思えないのである。このあたりは芸者の世界を詳細に描いた(つもりの)原作の問題なのかもしれない。マーシャルの演出も前半に比べると、優れた部分は見あたらなくなる。というより、映像美だけでは2時間以上持たせるのは難しいのだ。
日本側の俳優では強突張りの桃井かおりが出色で、初めてのハリウッド映画なのにこんな役柄を堂々と演じているところに逆に感心する。しかし、こういう役では2作目の声はかかりにくいかもしれない。役所広司と渡辺謙はいつもの演技でいつものように悪くない。
2005年12月13日 [Tue]
■ 「キング・コング」(1933年版 DVD)
ピーター・ジャクソンの新作が今週末から封切りなので久しぶりに見ておく。スカル(髑髏)島で次から次に恐竜が出てくるところなどサービス満点で、この映画がすべての怪獣映画の原点なのを再確認。といってもこの映画自体、「失われた世界」を参考にしているのだろう。1時間40分の映画のうち、出航前から島でキング・コングを捕らえるまでが1時間20分もあったのは意外だった。もう少し、ニューヨークのシーンが長いと思いこんでいた。
コングは凶暴で原住民を3人ほど食べたり、踏みつぶしたりする。ニューヨークでも何人か殺される。フェイ・レイは確かに叫び声を上げているだけで、これなら新人女優でも大丈夫だったのだなと思う。
ピーター・ジャクソン版は予告編を見ると、かなり原版に忠実な作りのようだ。ただし、上映時間は3時間7分もある。ニューヨークの場面を長くしたのだろうか。ちなみにジョン・ギラーミン版(1976年)は2時間14分。これがつまらなかったのは怪獣映画として作っていなかったからだろう。ギラーミン、怪獣映画の魅力を理解していなかったに違いない。下手なテーマを入れるよりは怪獣の魅力を素直に伝えた方がこういう映画は面白くなる。さて、ジャクソン版はどうか。IMDBでは今のところ評価が高いが、例によって最初はマニアが中心の投票だろうからもうしばらくしないと、分からない。
■ [MOVIE] 「8月のクリスマス」
ホ・ジノ監督の「八月のクリスマス」(1998年)を長崎俊一監督がリメイク。ホ・ジノ版は見ていなかったのでDVDで見たが、細部の設定に細かな違いはあってもほぼ同じ話である。写真スタジオを営む30代の青年が若い女性と知り合う。青年は不治の病にかかっているが、家族のほかには知らせていない。女性にも知らせないまま静かに死を迎える。燃え上がる恋ではないが、徐々に徐々に気持ちが通い合っていく描写は好ましい。病名さえ出てこず、難病ものになっていない点もいい。ただし、いずれもそれはオリジナルにもあった美点である。
ホ・ジノ版との違いはラストにだめ押し的な泣かせのシーンを入れていること。ホ・ジノ版では女性は青年が死んだことさえ知らない。キネ旬の「四月の雪」の批評で森卓也はそれに触れ、「やがて、女は写真館のショーウィンドーに、以前青年が撮った写真を見て微笑む。青年の死にまだ気づかない鈍感とエゴ」と書いている。この映画では青年が書き残した手紙を見つけた妹が死後にその手紙を女性に送る。女性はそれを読んで泣き崩れることになる。これはこれで悪くない。
笑顔が印象的なハン・ソッキュにはかなわなくても、主演の山崎まさよしは無難な演技をしている。映画の出来もまずまずなのだが、なぜリメイクしたのかがよく分からない。こういう話が見たいなら、ホ・ジノ版を見ればすむこと。韓流ブームの今、わざわざ日本に置き換える必要があるのか。まして、この映画、大規模に公開されたわけでもない。長崎俊一がこの映画を気に入ってどうしても作りたかったわけでもないだろう。企画が貧困なのか。
例えば、ピーター・ジャクソンが「キング・コング」をリメイクしたのは自分が大好きな映画を今の技術で作り直したかったからだろう。VFX技術が72年前とは比べようもないぐらいに進歩しているのだから、それは理解できる。あるいはアメリカ映画が他国の映画をリメイクするのは(企画の貧困さもあるが)、字幕ではヒットしにくいからという興行的な理由がある。この映画の場合は、どういう理由があったのか知りたくなる。同じ内容の映画にするなら、リメイクの意味は薄いと思う。
出演者に関しては、ホ・ジノ版よりもいいと思った。女性を演じるのは関めぐみ、青年の妹に西田尚美、その友人に戸田菜穂、父親に井川比佐志、青年の友人役で大倉孝二。このスタッフ、キャストで別の映画を見たい気分になる。リメイク作品への観客の要求水準は高いのだ。
2005年12月14日 [Wed]
■ 未登録アドレスブロックを有効に
迷惑メールに振り分ける設定で有効にしてみた。登録アドレスが900件を超えていたので、300件ほど削除。これでしばらく様子を見て、効果があるなら(というか誤判定がないかどうかを確認後に)未登録アドレスからのメールは破棄するようにしよう。これで迷惑メールとはオサラバ。自分のアドレスはもはや公開していないので、見ず知らずの人からのメールはすべて迷惑メールなのだ。
2005年12月15日 [Thu]
■ ゴールデングローブ賞ノミネート
チャン・ツィイーが「SAYURI」で主演女優賞にノミネートされた。そうかあ。それほどのものかあ。監督賞で「キング・コング」のピーター・ジャクソンがノミネートされたのはうれしい。外国語映画賞で「カンフーハッスル」が入ったのは意外。作品賞のドラマ、コメディ・ミュージカル両部門の候補作10本は日本ではすべて未公開。こんなことも珍しいな。
■ 「Poseidon」予告編
「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)のリメイク。監督は「パーフェクト・ストーム」のウォルフガング・ペーターゼンと、なんと「アップルシード」の荒牧伸志がクレジットされている。VFX部分を担当したのか。ならば、VFXディレクターになるはずで、共同監督ということはかなりかかわっているのだろう。オリジナルは僕が洋画に目覚めるきっかけになった作品なので愛着がある。リメイク版も楽しみだ。
2005年12月16日 [Fri]
■ さくらインターネット、キャリア変更後もアドレスが変わらない携帯メール
キャリアを変えるつもりはないので、固定のアドレスにあまり興味はないが、サーバー上にメールを保存できるのは魅力か。会員の独自ドメインもアドレスに利用できるということになれば、便利かもしれない。個人的な希望としてはパソコンでサーバー上のメールを読めて、携帯メールの返事を書けるようにしてもらえば、有料であっても利用する。ただ、auのなりすましメール拒否との整合性が難しいところだろうな。
2005年12月17日 [Sat]
■ Image Converter 2 Plus
ITmediaの新iPodの動画対応機能を試すで紹介されていて興味を持った。動画ファイルをMPEG-4に変換するソフト。元々はPSP用のソフトらしいが、MPEG-4に対応した他の機器でも使えるようだ(当たり前)。VAIOの登録カスタマーなら1,050円で買える。PSPもiPodも持っていないが、とりあえず買っておくか、というぐらいの価格だな。
2005年12月18日 [Sun]
■ エキシビション
楽しく見た。今回のグランプリファイナルは意地悪な先輩(安藤美姫)に勝つ天真爛漫な天才少女(浅田真央)という構図に見えた。厳しい安藤と笑顔の浅田という表情がそのまんま当てはまるので、観客としても天才少女の方についつい肩入れしてしまう。この2人の印象が強いために、実力的には安藤を上回っていると思える中野友加里の印象が少し弱くなる。SPの演技には感心しましたけどね。あれはやはり採点がおかしいと思う。
安藤美姫は今が非常に苦しいところなのだろうが、最後の最後で4回転サルコーを成功させたのは立派。浅田真央もいずれ安藤のような苦しい時期を迎えることになるのだろう。そういう時期を経ないと、大きくはならないのだと思う。浅田が出ないにしてもトリノ五輪のフィギュアスケートは楽しみだ。
■ 「香港国際警察 New Police Story」(DVD)
中盤のビルの屋上からロープで駆け下りるシーンから2階建てバスのアクションまでがこの映画の白眉だろう。ジャッキー・チェンのアクションにかける熱意には本当に頭が下がる。アメリカのアクション映画がつまらないのはこういう体技がないからで、「Mr. & Mrs. スミス」あたりの生ぬるいアクションで満足している人はアクション映画のファンではないと思う。ああ、そう言えば、「Mr. & Mrs. スミス」にもアンジェリーナ・ジョリーがロープでビルの上から優雅に下りるシーンがあった。あのシーンとこの映画のそれを比べれば、この映画の希少価値がはっきりするだろう。
もちろん、映画の出来がどちらが上かと言われれば、それはまた別の評価基準(ストーリーのまとまりとか撮影とか俳優の演技とか)があるのだけれど、こういう体技にはどんな物量を使ったアクションでもかなわない。
銀行強盗のグループに9人の部下を目の前で殺された刑事(ジャッキー・チェン)が若い巡査(ニコラス・ツェー)とともに強盗一味を追う物語。細部には破綻があるが、以前のジャッキー・チェンの映画に比べると、かなりまとまっている。ジャッキーがハリウッド映画に出たのはそういう部分ではプラスに働いたのだろう。ただし、ハリウッドに招かれていなければ、ジャッキーはこの種の映画をもっと撮っていたはずだ。
監督はベニー・チャン。ツェーをはじめ、ダニエル・ウーやチャーリー・ヤンなど若い役者たちがいい。
2005年12月19日 [Mon]
■ [MOVIE] 「キング・コング」
「失われた世界」+「美女と野獣」。1933年版の「キング・コング」(メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック監督)はそのようにして作られている。1976年版がダメだったのは「失われた世界」の部分を描かなかったからだ。恐らく、お仕着せの企画を引き受けたジョン・ギラーミンはそのように映画化しても何ら支障はないと考えたに違いない。もちろん、今回のピーター・ジャクソンはオリジナルの世界を愛しているから(これを見て映画監督になろうと思ったほどだから)、スカル(髑髏)島の部分を怒濤の展開にしてある。首長竜の暴走、小型肉食恐竜の襲撃、3頭のティラノザウルスとコングの戦い、巨大昆虫の襲撃、巨大コウモリとコングの戦いと延々と続くスペクタクルな場面はいずれも圧倒的な迫力に満ちている。もうここだけで怪獣映画の最高峰と思える出来である。
当然のことながら、技術的な部分ではオリジナルをすべて凌駕している。しかし、オリジナルの影響力を凌駕できたかというと、そうはなっていない。それはジャクソン自身が一番よく分かっているだろう。実際、最初にテレビで33年版を見たときに感じたのは、なぜこんな大昔の映画にこんなにたくさんの怪獣が出てくるんだという新鮮な驚きだった。ストップモーション・アニメーションのぎこちない動きであるにもかかわらず、髑髏島は怪獣映画のファンにとって実に魅力的な場所だった。あの時代にああいう映画を作ったことは永遠に評価されることだと思う。
ジャクソン版の映画のエンド・クレジットの後にはオリジナルの製作スタッフへの献辞が出る。「あなたたちの映画は後に続く者に勇気を与えた」。その勇気をもらった一人がジャクソンなのであり、この映画はオリジナルへのリスペクトに満ちている。オリジナルな映画が一番強いと分かっていながら、ジャクソンには自分の手で愛する映画をリメイクしたいという抑えきれない衝動があったのだろう。ジャクソンは33年版を愛する他の多くの観客と同じ視線でこの映画を作っている。だからこの映画に僕は強く惹かれる。
1930年代の不況のニューヨーク。フーバー・ヴィルの様子なども描写した後、映画はヴォードヴィルの舞台に立つ喜劇女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)に焦点を当てる。アンが仕事をしていた劇場は給料を未払いのまま興行主が逃げてしまった。別の興行主を頼ったアンはストリップティーズの劇場を紹介される。一方、映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)は逃げた主演女優の代わりを探していた(さまざまな女優候補の中にフェイ・レイがいる。「別の映画を撮影中だ」との答えにカールが「ああ、メリアン・C・クーパーの映画か」と言うのがおかしい)。劇場の前でアンを見かけたカールは跡を付け、アンが果物屋のリンゴを盗んで店の主人からとがめられたところを助ける(これはオリジナルにもある場面だ)。映画に出るよう誘われたアンは脚本家が尊敬するジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)と知って承諾。ベンチャー号という小さな船で髑髏島へ向かうことになる。
冒頭のニューヨークの場面はいいにしても、船の中の場面が少し長く感じる。ここはもう少し切りつめてもよかっただろう。髑髏島に着いてからは好調で、原住民の不気味なメイク、キング・コングの凶暴さもいい。アンがコングに殺されないのはオリジナルでは白い肌にブロンドの髪だったからだが、この映画ではアンのヴォードヴィルの才能が心を通わせる要因になっている。そして、役柄としては年を取りすぎていると思えたナオミ・ワッツの演技力がこの映画を情感豊かな説得力のあるものにしている。それはジャック・ブラックにも言えることで、才能があるんだか、詐欺師みたいなやつなのか判然としない監督役をブラックは実にうまく演じていると思う。
ピーター・ジャクソンという人は決して天才肌の人ではないと思う。天才肌の監督だったら、この映画も2時間半程度にまとめただろう。ただし、こつこつと積み上げていく完璧主義者ではあり、どの画面もないがしろにはしていない。髑髏島でコングの住む場所から見る風景をアンが「ビューティフル」という場面はエンパイアステートビルの場面に呼応している。ニューヨークの路上をアンが静かにコングに歩み寄る場面の静けさも印象的だ。
「指輪物語」「キング・コング」と自分の愛する世界を描き尽くしたジャクソンの次作はアリス・シーボルドの「ラブリー・ボーン」の映画化という。これまでとは全く異なるジャンルで、どういう映画になるのか楽しみだ。
2005年12月20日 [Tue]
■ [MOVIE] 「男たちの大和」
エンドクレジットにがらがら声の聞くに堪えない歌が流れる。なぜ金払ってこんなヘタクソな歌を聴かされなければならないのかと腹が立ってくる。誰だ、この下手な歌手はと思ったら、長渕剛だった。かつて「二百三高地」でさだまさしの歌が流れた時は映画の良さをぶち壊しにしやがってと思ったものだが、この映画の場合は映画本編自体が優れているわけではない。監督は佐藤純弥。だから期待はあまりしていなかった。ただ、佐藤純弥には「新幹線大爆破」という唯一の大傑作がある。脚本が良ければ、化ける可能性はある。しかし、劇場に入ってパンフレットを見たら、脚本も佐藤純弥が手がけていた。この時点で期待は消滅した。2時間23分の映画の中で、どれか一つでも良いシーンがあればいいだろうという消極的な見方になった。
辺見じゅんの同名ノンフィクションの映画化で、大和の乗組員に焦点を絞った話である。語り手役は海軍特別年少兵として大和に乗艦した神尾克己。神尾は生き残り、現在は鹿児島県枕崎市で漁師になっている。そこへ同じく大和乗組員だった内田守の娘がやってくる。娘は父親の遺骨を大和が沈んだ海に散骨したかったのだ。神尾は自分の小さな船で大和の沈んだ海域まで娘を連れて行くことになる。そして大和の運命と乗組員たちを回想する。
一般の兵士に焦点を当てた戦争映画と言えば、「二百三高地」「大日本帝国」の笠原和夫脚本とついつい比較したくなる。「三反百姓には現金収入がないんです」。神尾の友人の西が「なぜ志願したのか」という神尾の母親に対してそう答える場面があるが、笠原和夫ならば、これを膨らませて観客の紅涙を絞っただろう。実際、「二百三高地」には東北の貧しい農村出身の男の話があった。戦争に行かされるのはいつも貧しい層なのだ。上が始めた戦争で庶民がばたばたと犠牲になる。そうした庶民の思いを描き尽くしていただろう、笠原和夫ならば。「さようならあ、おかあさーん」。出撃を前にした年少兵たちが本当にそう言ったのかどうかは知らないが、描き方としてもう少しリアルなものが欲しい。これに限らず、この映画のセリフは下手である。真に迫っていない。だから設定は悪くないのに心を動かされない。比較のために「二百三高地」のセリフを引用しておく。
自分は悔いることは毛頭ありません…
最前線の兵には、体面も規約もありません。
あるものは、生きるか死ぬか、それだけです…
兵たちは…死んでゆく兵たちには、
国家も軍司令官も命令も軍規も、そんなものは一切無縁です。
焦熱地獄の底で鬼となって焼かれてゆく苦痛があるだけです…
その苦痛を…部下たちの苦痛を…
乃木式の軍人精神で救えますか!
佐藤純弥は誰かに脚本の応援を頼む気持ちはなかったのか。右も左もない、庶民の思いをすくい上げることのできる脚本家がこの映画には必要だったのだと思う。
映画は大和の実寸大セットを6億円かけて造ったそうだ。これがいかにも作り物という感じなのは興ざめだが、それ以上に戦闘シーンの工夫のない撮り方の方が問題だろう。大和の全体構造さえ分からず、爆撃を受けて死んでいく兵士を単調に積み重ねるのみ。撮影監督の阪本善尚は「パール・ハーバー」のようにならないようにと注意したそうだが、「パール・ハーバー」の方がましだった。全体としてひどい出来ではないのだが、凡庸を絵に描いたような映画。描きたい思いはあるのに技術が伴わなかったということか。もっとしっかり作ってほしかった。
俳優の序列では中村獅童と反町隆史がトップに来るが、映画の構成では神尾役の松山ケンイチが中心になってしまう(現在の神尾を演じるのは仲代達矢)。これも計算違いだろう。東映配給の大作らしく渡哲也や林隆三、奥田瑛二、長嶋一茂、本田博太郎、勝野洋などがチラリと顔を見せる。チラリとしか出てこない俳優では寺島しのぶが良く、中村獅童との絡みの部分でドラマの雰囲気が立ち上る。
2005年12月21日 [Wed]
■ とにかく強烈で、壮絶な映画だった
最近巡回する日記はRSSのあるところばかりなので、見逃していた。「町山智浩アメリカ日記」よりスピルバーグの「ミュンヘン」に関するコメント。予告編を見てもどういう映画かよく分からないのだが、そういう映画だったのか。テロの恐怖を「宇宙戦争」で比喩として描いたスピルバーグが今度は本当のテロを取り上げたわけだ。
アメリカでは今週末公開。アカデミー賞の台風の目になるか?
2005年12月22日 [Thu]
■ 12月としては60年ぶり積雪
宮崎市で観測。NHKニュースによると、積雪の記録としては1センチ(隣の鹿児島では11センチで、これも記録更新)。数年に一度、積雪を観測することはあるが、1月か2月ばかりだったのか。きょうは最高気温6度とか。ぶるぶる。
写真はうちの車庫の屋根に積もった雪(22日午前7時37分、携帯で撮影)
2005年12月23日 [Fri]
■ 週刊文春ミステリーベスト10
週刊文春は年に1回、この特集の時のみ買う。国内編は「このミス」と同じく東野圭吾「容疑者Xの献身」、海外編はマイクル・コナリー「暗く聖なる夜」。「このミス」で1位だったジャック・リッチー「クライム・マシン」は2位だった。
■ 世代別「至極の邦画」ベスト100
同じ号の週刊文春に掲載されている。DVDが発売されている作品から選んでいるので、こぼれた名作も多いが、年末年始に見るためのガイドなのでこんなものでしょう。「仁義なき戦い」の紹介で「この作品が大ヒット作となり、東映任侠路線を確立した」とあるのはもちろん、実録路線の誤り。以前からあった任侠映画に決別する作品となったのだ。「迫力ある映像は任侠美学とまでもてはやされた」とまで書いているところを見ると、筆者(福田千明という映画評論家)は完全に意味を取り違えている。
■ 「HINOKIO」(DVD)
引きこもりの少年が遠隔操作のロボット(ヒノキが一部に使われているのでヒノキオとあだ名が付く)で学校に行くようになり、友人との交流を通じて引きこもり生活から脱する。よくできたジュブナイルだと思うが、題材を詰め込みすぎて未消化に終わった部分が多い。現実とリンクしているゲーム世界の扱いなど中途半端。ゲームが現実を浸食してくるような展開になると好みの映画になったと思う。驚くのはCGで作られたヒノキオの自然さで、どれがCGでどれが本物か見分けがつかない。この技術はハリウッドに負けていない。
監督の秋山貴彦はVFXマン出身。山崎貴のデビュー作「ジュブナイル」もドラマ的には弱い部分が多かったから、秋山貴彦にも2作目を期待したい。
主人公を演じるのは「大停電の夜に」の本郷奏多。友人役の田部未華子は最初、少年かと思っていたら、少女と分かる場面でびっくり。要注目。堀北真希が小学生役で出ていて、これもびっくり。キャスト紹介を見るまで堀北真希とは分からなかった。堀北真希はいろんな役柄ができるのに感心する。今年は映画に3本出たのかな。
2005年12月24日 [Sat]
■ サンタクロース追跡作戦
「大停電の夜に」の冒頭にも出てきたNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)の粋なサイト。「ノーラッドは、レーダー、サテライト、サンタカムやジェット戦闘機など四つのハイテク・システムを使い、サンタさんを追跡」しているのだそうだ。今年で50回目、始まったきっかけは間違い電話というのがいいですね。
2005年12月25日 [Sun]
■ 年賀状印刷
ようやく行う。キヤノンのHPにある素材無料ダウンロードの背景デザインを使い、写真と文字を加えて一丁上がり。インクジェット年賀はがきは毎年買っているが、どうも印刷すると、フォントや写真がにじむなあ。普通の印刷用紙に印刷した時と出来上がりが違うのが困る。もっと品質向上を望みたい。
きょう出しても、もう元旦には間に合わないか? 市内なら大丈夫だろう。
■ 日経マネー
久しぶりに買う。以前買っていたのはまだ高金利の名残があった時代。貯金のために金利の高い金融商品を探すのに役に立った。当時は定額貯金に100万円を10年間預けると、165万円ぐらいになっていた。一番手軽で金利が良かったのは公社債投信でこれは毎月購入して2年目からは月に数千円単位の利子が付いた。今はなき山一証券にお世話になった。
今、主要金融商品の金利一覧を見ると、定額貯金は10年間預けても利子は4800円。改めて金利の低さに愕然とする。マイホームを建てようと思っている人はどうやって貯金しているのだろう。一番金利が高いのは10年もの国債で11万6200円、次が個人向け国債で5万4400円。なんか、貯蓄するだけ(購入するだけ)バカらしくなる。
平均株価が上昇しているので、週刊誌などでは株取引を勧める記事がよく載るし、日経マネーでも株の記事が中心になっているけれど、一般のサラリーマンに株の売買は難しい。仕事をそっちのけでやるのならともかく、普通はそういうわけにはいかない。残る選択肢は貯蓄より増える可能性がある投資信託だが、これも元本割れのリスクがあるだけでそう増えるものでもないだろう。貯金がしっかりあって、余剰金を回せる人には向いていると思う。投資信託はリスクを分散するため毎月1万円とか2万円ずつ購入していくのがいいと言われる。その通りだと思うが、貯金感覚でやるのは危険だし、こういう投資法ではそんなに増えないでしょうね。
来年は金利が上がると言われる。庶民としてはそれがかすかな希望だけれど、マイホームを計画している人には貸出金利も上がるので痛し痒しといったところか。
2005年12月26日 [Mon]
■ 「CINEMA HANDBOOK」
TSUTAYAでポイントがたまったのでもらった。「ロングセラータイトルを中心に、人気の映画・テレビドラマのDVDをジャンル別に紹介したカタログ」。作品解説と監督、出演者、上映時間、製作会社などのデータが記載してある。非売品。
上映時間が書いてあるのが便利。何本収録されているのかは書いてない。352ページ、12月3日発行。
■ 「マイアミ・バイス」予告編
テレビシリーズが始まったころによく見ていた。映画ではジェイミー・フォックスとコリン・ファレルが主演。監督はマイケル・マンなので期待できるだろう。来年夏公開予定。
■ [MOVIE] 「チキン・リトル」
ディズニーとしては初めての全編3DCGのアニメ。上映時間は1時間21分と短く、明らかに子供向けの作りである。アメリカでヒットしたのは子供を連れた親が映画館に詰めかけたからだろう。アメリカでも子供向け作品がヒットするのは日本と同じ理由があるのである。内容的にはディズニーが配給しているピクサーの3DCGアニメに比べると、物足りない部分が多く、ストーリー的にも技術的にもあまり見るべきところはない。昨年公開されたピクサーの「Mr.インクレディブル」と比べれば、その差はとても大きいと思う。それでも小学生の子供は喜んで見ていたから、ディズニーの狙いは間違ってはいないのだろう。監督は「ラマになった王様」のマーク・ディンダル。演出に大きな不備はないが、特に優れた部分も見あたらない。つまり平凡である。ディズニーが今後も3DCGアニメを作るつもりなら、脚本にもっと力を入れて、子供と一緒に見る親も楽しめる映画を目指した方がいいと思う。
「狼少年」に「宇宙戦争」を加えて父と息子の相互理解をテーマにした話である。1年前、チキン・リトルは「空のかけらが落ちてきた」と警報の鐘を鳴らす。町中は大騒ぎになるが、確かに見たはずの六角形の空のかけらは消えていた。父親も信じてくれず、結局、ドングリと間違ったのだろうということになってしまう。それ以来、チキン・リトルは何をやっても失敗ばかり。体育の授業中、いじめられたアヒルのアビーをかばおうとしたチキン・リトルは火災報知器のスイッチを引いてしまい、スプリンクラーが動作して体育館は水浸し。父親はますますチキン・リトルの話を聞いてくれなくなる。チキン・リトルは野球選手として有名だった父親を見習って野球で名誉挽回を図ろうとする。
ちょっとした計算違いではないかと思うのはベンチ・ウォーマーだったチキン・リトルが代打で出場してヒットを打ってしまうこと。これで少なくとも父親はチキン・リトルを見直すので、ここで終わってもいいなと思えるのである。これに続く空のかけらの真相が分かるシーンは明らかに「宇宙戦争」で、宇宙船からトライポッドのような機械が出てきたり、人を消滅させる光線を出すあたり、スピルバーグのリメイク作品とよく似ている。公開時期から考えて模倣ではないが、結果的に目新しさには欠けることになった。このシーンによって、チキン・リトルは町の住民たちからも見直されることになる。ただし、この展開、物語を派手にするための展開のような気がしないでもない。話自体にあまりオリジナリティーが感じられず、志は高くないと思う。ついでに言えば、ギャグのレベルも高くはない。
みにくいアヒルの女の子アビーについては明らかに差別的な表現があり、少し気になった。チキン・リトルはアビーに好意を寄せるのだが、アビーの外見を超えた内面の魅力が描かれないので終盤のキスシーンが唐突に思える。チキン・リトル自体はかわいいキャラクターなのに、他のキャラクターはあまりかわいらしさのないデザインが多かった。
2005年12月27日 [Tue]
■ 「まさにミリオンセラー連発」--任天堂岩田社長が語るニンテンドーDS戦略
今年のうちのクリスマス・プレゼントはDSだった。これにポケモンのゲームとnintendogsの「柴&フレンズ」。nintendogsは犬と遊ぶゲームで、うちには本物の柴犬がいるのになぜゲームが必要なのかと思ってしまうが、ゲームの犬の方が本物の犬より利口なんですね。フリスビー投げると、取りに行くし。このソフト、国内だけで108万本、海外でも100万本売れているとのこと*1。名前を呼んだり、なでたりのコミュニケーションができるのが人気の理由か。
*1 ツッコミがあった。「正確には、北米でも100万本以上、欧州でも100万本以上です」とのこと。元の文章にちゃんと「欧米でもそれぞれ100万本」と書いてありますねm(__)m。
2005年12月28日 [Wed]
■ BOOK OFF
久しぶりに行った。欲しかったコミックはなかった。DVDやCDが多くなってるんだな。本とは違って、こういうのは劣化しないから買おうかと思ったが、シングルCDはともかくDVDの価格は新品よりそれほど安くない。しばらく待てば2000円以下で新品が買えるようになるのだから、それ以上の価格の中古を買う必要はないですね。
BOOK OFFはあまりに展示されている量が多くて欲しい商品を探すのが面倒だったりする。ホームページのイーブックオフから買った方が楽だ。ただし、中古品がすべて新品より安いかというと、そうではなく、DSのゲームのnintendogsなどは楽天で新品買った方が安かった。中古品の価格設定というのも難しいなあ。
■ 「ホステージ」(DVD)
ロバート・クレイスの原作を「スズメバチ」のフローラン=エミリオ・シリが監督したアクション。これは見逃した後に原作が「ミステリ・マガジン」で評価されていたので、気になっていた。セキュリティ設備が完備した邸宅に3人の若者が人質を取って立てこもる。その家の主人は犯罪組織の会計士。組織は事件解決の指揮をする警察署長の妻と娘を人質に取り、情報が入ったDVDを渡すよう脅迫する。二重の人質事件という発想が良く、ブルース・ウィリス主演の映画としては久しぶりに面白い(もちろん、この後の「シン・シティ」も面白かった)。格好いいタイトルから始まってサスペンスが持続する作りはなかなかのもの。犯罪組織があっけなくやられるあたりはまあ、上映時間の関係上、仕方ないのかもしれない。
DVDに収録されたスタッフ紹介によれば、監督のシリは「ジャン=ピエール・メルヴィルに心酔する一方、ジョン・フォード、ハワード・ホークス、サム・ペキンパー、ジョン・カーペンターの影響を受けている」とある。正統派のアクション映画監督なのだろう。
2005年12月29日 [Thu]
■ キネ旬1月下旬号
例年通り年内に届いた。定期購読のメリットはこれぐらいか。で、ふと思った。あれ、1月上旬号は届いたかな。普通ならば、20日ごろには届いているはずだが、読んだ覚えがない。うーん、届いたのに家の中で行方不明になったか。表紙は見た覚えがあるんだが、それは書店で見たのかもしれない。
まあ、それはいいとして、ぺらぺらめくっていたら、山根貞男の連載「日本映画時評」に「男たちの大和」の脚本について書いてあった。脚本家の野上龍雄が「シナリオ」1月号で怒っているという。野上龍雄は当初、この映画の脚本を書いたが、「製作者側のあまりにも理不尽な行為」があったため、降りたのだそうだ。これは原文を読んでみたいものだが、近所の書店には「シナリオ」なんて置いてない。amazonに注文するか。そこまでしなくてもいいか。
「大和」の脚本にクレジットされているのは佐藤純弥のみ(だから先日書いたように見る前に期待がしぼんだのだ)で野上龍雄の名前はない(名前があったにしても、それほどの期待は持てないんだが)。
ちなみに山根貞男はこの映画について、「この映画はどこかで見たような感じの連続でできている」と書いている。「泣かせるエピソードの数々は、過去の戦争映画で描かれてきたもののパターンを一歩も出ない」。その程度の映画を見て、「日本人ならこの映画で泣くはずだ」「近年の邦画のベスト」などという驚くような意見をネットに書く観客は過去の映画を見ていないのだろう。
2005年12月30日 [Fri]
■ 送信者への警告!
というサブジェクトで「InterScanにより、送信したe-mailからウイルスが検出されました」とのメールが来る。送信者はJTB旅の予約センター(海外)。未だにこういう無駄なメールを出すシステムがあるのにあきれる。ウィルス感染を知らせるこういうお節介システム、ウィルスがアドレスを詐称することは普通なのに、何の意味があるのか。ウィルスに感染していない人に届いた場合、不快感を与えるし、それが企業だった場合、企業イメージも悪くなる。おまけに余計なトラフィックを増やす。資源の無駄遣いでもある。
「そうか、自分のパソコンはウィルスに感染してたんだ。教えてくれてありがとう、JTB」と思う人がどれぐらいいるだろう。JTBはソフト(の設定)を変えてはどうか。こういうメール、スパムでしかない。
■ キネ旬1月上旬号
探したらあった。居間の新聞・雑誌の中に紛れ込んでいた。
松竹の2006年以降のラインナップが紹介されている。期待作は原作ものに限ると、「夜のピクニック」(恩田陸原作、長澤雅彦監督、田部美華子、石田卓也)、「出口のない海」(横山秀夫原作、佐々部清監督、市川海老蔵、伊勢谷友介)、「地下鉄に乗って」(浅田次郎原作、篠原哲雄監督、堤真一、大沢たかお)、「陽気なギャングが地球を回す」(伊坂幸太郎原作、前田哲監督、大沢たかお、鈴木京香)など。
しかし、一番の期待は「花よりもなほ」(是枝裕和監督、岡田准一、宮沢りえ)か。サイトによると、「赤穂四十七士の仇討ちの影に市井のたくましい“生の物語”があった」という映画とのこと。1月下旬号には「“仇討ちもの+長屋もの”のユーモア時代劇とでもいうべきか。シナリオは是枝裕和自身のオリジナル」とある。
2005年12月31日 [Sat]
■ 年末ジャンボ
当たった人もいるんだろうなあ。僕は30枚買って3,900円でした。3,000円が1枚紛れ込んでいたということは末吉ぐらいの運勢か。ウーム。と思って、よーく見たら、4等が当たっていた。1万円である。今回、5等が下2ケタ22、4等が下3ケタ922だったので、下2ケタを見た時点で「ああ、5等か」と思いこんでいた。こういう場合、4等と5等の賞金がもらえるんだろうか? そうならば13,900円になって万々歳である。といっても末吉に変わりはないだろう。
ちなみに買った場所は東京の新橋駅銀座口の売り場と会社に来た名鉄観光の人から(名古屋で発売しているもの。名鉄観光の社員にはノルマがあったらしい)で、地元では買っていない。
2億円当たった人は絶対、ブログには書かないでしょうね。僕は子供に当選かはずれかを見させたのだが、もし当たっていて、子供が言いふらしたらどうしようと余計な心配をしたもの。