映画とネットのDIARY(tDiary版)

since 2004/07/15
ここは古い日記です。2013年11月からadiaryを使った新サイトに移行しました。
検索エンジンからのアクセスで、お探しのキーワードが見あたらない場合はNamazuで再検索してみてください。
映画の感想一覧 2004年7月以降 2005年  2006年  2007年  2008年  2009年

2005年10月20日 [Thu]

「ダーウィンの悪夢」予告編

映画評論家緊張日記2005/10でこの映画のことを知り、予告編を探してみた。IMDB経由ではLe Cauchemar de Darwin - Les bandes-annonces du film sur CineMoviesがあるが、画質が良くない。映画のホームページにあるDarwin's Nightmare Trailerの方がいいし、内容の一端は分かる(これホームページ上からはリンクを探せず、Googleで探した)。

アフリカのビクトリア湖はかつて「ダーウィンの箱庭」と言われるほど様々な魚が住んでいたが、1950年代に放流されたナイルパーチという巨大な肉食魚(大きいものは体長2メートルになるという)が湖の魚を食い荒らしてその多くを絶滅させた。湖の魚で細々と暮らしていたタンザニアの人々は生活の糧がなくなり、ナイルパーチの加工工場で働くか、売春するかしかなくなった。ストリートチルドレンたちは魚を運ぶ発泡スチロールの箱を焼き、それを麻薬代わりに吸っている。そうしないと、生きていくのに耐えられないから。生態系の破壊は地域社会まで破壊した。その経緯はビクトリア湖の悲劇、ナイルパーチアフリカ情報通信(PDFファイル)などに詳しい。

ナイルパーチは日本にも輸出され、ファミリーレストランやスーパーで売られているそうだ。僕も知らずに食べているだろう。やりきれなくなるような話である。監督はフーバート・ザウパー。先日開かれた山形国際ドキュメンタリー映画祭では審査員特別賞受賞。

[MOVIE] 「ヒトラー 最期の12日間」

「ヒトラー 最期の12日間」パンフレットタイトルの意味よりもベルリン陥落か第三帝国の崩壊という感じの内容だなと思ったら、原題はDer Untergang(没落、破滅という意味とのこと)。その通りで特にヒトラーに焦点を絞った映画ではない。だからパンフレットにある「戦後初めてヒトラーを注視した映画」というニューヨークタイムズの批評には疑問を感じる。これまでの映画の中で描かれた悪の象徴としてのヒトラーよりは人間性が描かれているのだろうが、映画の中のヒトラーはベルリン陥落を前に錯乱した人物としか思えないぐらいの描き方である。ヒトラーは戦争を無用に長引かせることによるベルリン市民の犠牲など何とも思っていず、人間性を肯定的に描いた映画では全然ない。第一、ヒトラーがエヴァ・ブラウンとともに自殺した後も映画は延々と続くのだ。とはいっても、日本では昭和天皇をこのヒトラーのように描いた映画などこれまでまったくないことを考えれば、まだまだドイツはえらいと言うべきか。

映画はヒトラーの秘書となり、その最期まで身近にいたトラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)の視点が中心になっている。実は映画で最も心を揺さぶられたのは物語が終わった後に実在の年老いたユンゲが登場するラストである。ここでユンゲはニュールンベルク裁判までユダヤ人が600万人も虐殺されたことを知らなかった、と話す。しかし、自分がヒトラーの秘書になったのと同じ年で虐殺されたユダヤ人女性のことを知り、後悔の念を語るのだ。「もし、私が目を見開いていれば、気づけたはずです」。それはユンゲだけではない。ドイツ国民の多くは目を見開いていなかった。いや、見開いているのに自分が見たものの意味が分からなかった。分かったのにそれを自分に隠していた。隠さずに間違いを主張すれば、殺されるのだから仕方がないとも言えるのだが、映画で描かれたことは60年前に終わったことではないという思いを強くする。そういう状況はいつの時代でもあり得ることだろう。ユンゲの言葉はだからこそ重い。

映画を見て強く印象に残るのはバカな独裁者の妄想を信じた人々とそれに疑問を呈する人々が同じように戦争の犠牲になっていく姿である。砲撃で犠牲になる市民、ヒトラーの自殺の後を追うように自殺する側近たち、裏切り者として親衛隊から殺される男たち、軍を盲目的に信じてソ連兵に銃を向ける少年たち、寝ている間に母親から毒殺されるゲッベルスの子どもたち。この映画、反戦のスタンスを少しも崩していない。同時にドイツも戦争末期は日本と同じような状況だったのだなと思わされる。どこの国も崩壊する時の状況は同じようなことになるのだ。

監督は「es[エス]」のオリバー・ヒルシュビーゲル。刑務所内で役割を固定されたことによる人間性の崩壊を描いた「es」はこの映画に通じるものがあると思う。ヒトラーを演じるのは「ベルリン 天使の詩」のブルーノ・ガンツ。

「ソウ2」予告編

公開は29日。さて、アメリカでの評価はどうかとIMDBを見たら、アメリカでは28日公開だった。同時なわけか。宮崎では今のところ公開予定なし。

ウィルスバスター2006

メールで案内があったのでインストール。タスクトレイのアイコンが変更になったほか、フィッシング詐欺対策が新たに機能追加されている。ほかは目立って新しい部分はないようだ。


[管理人にメールする] [シネマ1987online]